- 解説一覧
- ナミテントウ(Harmonia axyridis)について
目次
基本情報
- 大きさ・重さ
-
・成虫体長 :4.7~8.2 ㎜
・卵の大きさ:長軸 1.4 ㎜ × 短軸 0.65 ㎜
参考文献
- 2018 テントウムシハンドブック - 書籍全体, 阪本優介(著) テントウムシハンドブック. 文一総合出版. .
- 2012 虫の卵ハンドブック - 書籍全体, 鈴木知之(著) 虫の卵ハンドブック. 文一総合出版. .
最終更新日:2020-08-11 ひろりこん
- 分布
-
北海道、本州、四国、九州、対馬、南西諸島(沖縄島、石垣島)。国外ではサハリン、シベリア、中国、朝鮮半島、台湾など。北米に生物防除剤として導入され、イギリスにも侵入している。
参考文献
- 2018 テントウムシハンドブック - 書籍全体, 阪本優介(著) テントウムシハンドブック. 文一総合出版. .
最終更新日:2020-08-11 ひろりこん
形態
- 成虫の形質
-
前胸背板は黒色で側方に白色部を持つか、白色で中央に2対の黒紋またはM字形紋をもつなど変異があり、上翅には基本的には4つの遺伝的斑紋多型がある。
二紋型は黒色地に中央前に1対の赤紋がある。四紋型は各翅の前後に並ぶ2個の赤紋がある。斑型は黒色地に各翅1-2-2-1に並ぶ赤紋がある。紅型は黄~赤色地に2-3-3-1に配列する黒紋をもつが、しばしば一部の紋が融合したり、消失することがあり、黒紋がまったく消失することもある。
そのほか、頻度は少ないが、上翅の周辺部だけが黒色になる型や、上翅中央部に赤帯をもつ型など多数の遺伝的多型がある。
成虫の翅端前に現れる横ひだは本種に特異な遺伝形質でその出現はほぼ半数である。
参考文献
最終更新日:2020-08-11 ひろりこん
- 幼体の形質
-
幼虫形態は安定しており、腹部背線突起が三叉状(本属の特徴)、腹部第1節、第4・5節背線突起が淡色、腹部第1~5節の背側部が淡色である。
参考文献
最終更新日:2020-08-11 ひろりこん
- 似ている種 (間違えやすい種)
-
クリサキテントウ、ダンダラテントウ、ヤホシテントウ
参考文献
- 2018 テントウムシハンドブック - 書籍全体, 阪本優介(著) テントウムシハンドブック. 文一総合出版. .
最終更新日:2020-08-11 ひろりこん
生態
- 成虫の天敵
-
テントウハラボソコマユバチ Dinocampus coccinellae :成虫に産卵し、体内で育った幼虫は体外に脱出したあと、腹部で繭を作る。
参考文献
- 前藤薫 1998 コマユバチ科, 日高敏隆(監修) 石井実、大谷剛、常喜豊(編) 日本動物大百科10:昆虫Ⅲ. 平凡社. pp. 25-27.
最終更新日:2020-08-11 ひろりこん
- ライフサイクル
-
春先と秋は樹木上に多い。夏期は草本植物に移動する。越冬成虫は日だまりの壁面、材木の下、枯葉の下などで集団で過ごしているのを見かけることがある。
参考文献
最終更新日:2020-08-11 ひろりこん
- 産卵
-
20~50卵をまとめて、幹の窪みや樹木の葉裏などに産卵する。
参考文献
- 2012 虫の卵ハンドブック - 書籍全体, 鈴木知之(著) 虫の卵ハンドブック. 文一総合出版. .
最終更新日:2020-08-11 ひろりこん
- 特徴的な行動
-
おもに脚の腿節と脛節の関節部から苦く独特なにおいをもつ体液を分泌する。一説によるとこれは彼らの血液である。中には脊椎動物に対して有毒な物質が含まれており、防御効果をもつと考えられている。
参考文献
- 片倉晴雄 1998 愛らしい姿は捕食者に対する警告, 日高敏隆(監修) 石井実、大谷剛、常喜豊(編) 日本動物大百科10:昆虫Ⅲ. 平凡社. pp. 135-136.
最終更新日:2020-08-11 ひろりこん
関連情報
- 研究されているテーマ
-
世界各地に導入されたナミテントウが在来種のテントウムシに置き換わっている要因として、ナミテントウを宿主とする微胞子虫の存在が指摘されている。この微胞子虫はナミテントウには無害だが、在来のテントウムシにとっては致死性の病原体であり、在来のテントウムシが微胞子虫を含んだナミテントウの卵や蛹を食べることによってそれらを死に至らしめている。
参考文献
最終更新日:2020-08-11 ひろりこん
- 外来種としての影響
-
米国カリフォルニア州 ・ワシントン州等に導入され、未放飼の州でも定着が確認されている。1993年~1994年にはオレゴン州で大発生し,樹木上の全テントウムシ類の70%を占めるほどにもなった。
イギリスにも侵入し、土着テントウを捕食するので有害侵入生物にされている。
参考文献
最終更新日:2020-08-11 ひろりこん