- 解説一覧
- エゾゼミ(Auritibicen japonicus)について
目次
基本情報
- 大きさ・重さ
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成虫全長:59〜66 mm
成虫体長:40〜46 mm
前翅開長:115〜130 mm
参考文献
- 林正美・税所康正 2015 エゾゼミ, 林正美、税所康正(著) 改訂版 日本産セミ科図鑑 詳細解説、形態・生態写真、鳴き声分析図. 誠文堂新光社. p. 62.
最終更新日:2020-12-29 鍋
- 活動時期
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7月中旬〜9月中旬
参考文献
- 林正美・税所康正 2015 エゾゼミ, 林正美、税所康正(著) 改訂版 日本産セミ科図鑑 詳細解説、形態・生態写真、鳴き声分析図. 誠文堂新光社. p. 62.
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- 分布
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北海道・本州・四国・九州
参考文献
- 林正美・税所康正 2015 エゾゼミ, 林正美、税所康正(著) 改訂版 日本産セミ科図鑑 詳細解説、形態・生態写真、鳴き声分析図. 誠文堂新光社. p. 62.
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- 分類学的位置付け
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昆虫綱 カメムシ目 セミ上科 セミ科 セミ亜科 クマゼミ族 エゾゼミ属 エゾゼミ
属名は従来 Tibicen が用いられてきたが、タイプ種の誤認を含め命名規約上無効とされ、最近ではLyristesへ移行する傾向が強くなってきている。しかし、GBIF では本種の学名は Auritibicen bihamatus とされているので、ZUKAN はこれに従う。
参考文献
- 林正美・税所康正 2015 エゾゼミ属, 林正美、税所康正(著) 改訂版 日本産セミ科図鑑 詳細解説、形態・生態写真、鳴き声分析図. 誠文堂新光社. p. 56.
- 税所康正 2019 日本産セミの分類, 税所康正(著) セミ ハンドブック. 文一総合出版. p. 18.
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形態
- 成虫の形質
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大型種。コエゾゼミに似るが、体のサイズが大きいことや、斑紋が一般に細くより暗色で、黄褐色〜橙褐色になることで区別される。中胸背は黒地にオレンジ色のW字型の斑紋があり、側方は白粉で覆われる。前胸背外片には黄褐色の帯があり、これは左右端で切断されずに前胸背を取り囲むことが多い。複眼は暗赤色であるが、時に暗緑色になる。前翅の暗色紋は各横脈上に合計4個見られる。第1, 2横脈上のものは互いに連結してジグザグ紋となることが多い。オスの腹弁は短く丸みがあり、左右が重なる。
多くの斑紋変異があり、特筆すべきなのは通称エチゴ型と呼ばれるもので、体全体が黄色で、中胸背中央部に茶色の広い半楕円形紋がある。エチゴ型は新潟県中部から山形県南部にかけての地域に限って見られる。他にも腹部背面全体、あるいは第1〜2節中央を除いた全体が黄褐色になるもの、中胸背のW字紋が退化し1対の橙黄色紋となるものや完全に消失するものなどがいる。
参考文献
- 林正美・税所康正 2015 エゾゼミ, 林正美、税所康正(著) 改訂版 日本産セミ科図鑑 詳細解説、形態・生態写真、鳴き声分析図. 誠文堂新光社. p. 62.
- 税所康正 2019 エゾゼミ, 税所康正(著) セミ ハンドブック. 文一総合出版. p. 34.
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- 似ている種 (間違えやすい種)
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コエゾゼミ・キュウシュウエゾゼミ
参考文献
- 林正美・税所康正 2015 エゾゼミ, 林正美、税所康正(著) 改訂版 日本産セミ科図鑑 詳細解説、形態・生態写真、鳴き声分析図. 誠文堂新光社. p. 62.
- 税所康正 2019 エゾゼミ, 税所康正(著) セミ ハンドブック. 文一総合出版. p. 34.
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生態
- 成虫の生息環境
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北海道や東北では主に平地に住むが、本州中部以西では標高 500〜1000 m の低山地帯に見られる。ブナやミズナラなどにも生息するが、アカマツなどの針葉樹を特に好み、スギ・ヒノキ植林にも普通に見られる。
参考文献
- 林正美・税所康正 2015 エゾゼミ, 林正美、税所康正(著) 改訂版 日本産セミ科図鑑 詳細解説、形態・生態写真、鳴き声分析図. 誠文堂新光社. p. 62.
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- 成虫の食性
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植物の樹液 (導管液) を吸う。
参考文献
- 森山実 2015 Ⅰ 生態一般, 林正美、税所康正(著) 改訂版 日本産セミ科図鑑 詳細解説、形態・生態写真、鳴き声分析図. 誠文堂新光社. p. 20.
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- 幼虫の食性
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成虫同様、植物の樹液 (導管液) を吸う。
参考文献
- 森山実 2015 Ⅰ 生態一般, 林正美、税所康正(著) 改訂版 日本産セミ科図鑑 詳細解説、形態・生態写真、鳴き声分析図. 誠文堂新光社. p. 20.
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- 成虫の天敵
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鳥類のほか、カマキリやヤブキリ、スズメバチ (特にモンスズメバチ) 、アリなどの昆虫類やオニグモ、コガネグモなどのクモ類、多足類のオオムカデ類やゲジ類などに捕食される。また、寄生者としてセミヤドリニクバエなどが知られている。
参考文献
- 林田直哉 2015 Ⅱ 天敵, 林正美、税所康正(著) 改訂版 日本産セミ科図鑑 詳細解説、形態・生態写真、鳴き声分析図. 誠文堂新光社. pp. 24-25.
- 林田直哉 2015 Ⅱ 天敵, 林正美、税所康正(著) 改訂版 日本産セミ科図鑑 詳細解説、形態・生態写真、鳴き声分析図. 誠文堂新光社. p. 28.
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- 発音(鳴き声)
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震えるような低いビート音を含みながら "ギーーーー" と鳴く。間奏音には "ギッ, ギッ, ギッ, ギッ" という断続音で鳴く。
参考文献
- 税所康正 2019 エゾゼミ, 税所康正(著) セミ ハンドブック. 文一総合出版. p. 35.
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- ライフサイクル
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成虫は7月中旬から9月中旬にかけて出現する。卵期は300〜350日。
参考文献
- 林正美 1996 セミ類, 日高敏隆(監修) 石井実、大谷剛、常喜豊(編) 日本動物大百科8:昆虫Ⅰ. 平凡社. p. 133.
- 林正美・税所康正 2015 エゾゼミ, 林正美、税所康正(著) 改訂版 日本産セミ科図鑑 詳細解説、形態・生態写真、鳴き声分析図. 誠文堂新光社. p. 62.
最終更新日:2020-12-29 鍋
- 生殖行動
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メスが飛来して同じ枝に止まるとオスはすぐに交尾行動に移る。交尾体勢はV字型。
参考文献
- 林正美・税所康正 2015 エゾゼミ, 林正美、税所康正(著) 改訂版 日本産セミ科図鑑 詳細解説、形態・生態写真、鳴き声分析図. 誠文堂新光社. p. 62.
最終更新日:2020-12-29 鍋
- 特徴的な行動
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梢や小枝に頭を下に逆さにとまって鳴く。飛翔力はあまり強くなく、水平以上に飛び立つことはないため、低い位置にとまっている個体に振動を与えると、地面に落下することがある。
参考文献
- 林正美・税所康正 2015 エゾゼミ, 林正美、税所康正(著) 改訂版 日本産セミ科図鑑 詳細解説、形態・生態写真、鳴き声分析図. 誠文堂新光社. p. 62.
最終更新日:2020-12-29 鍋
- その他生態
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生息地によっては年ごとの個体数の変動が大きく、ほとんど鳴き声を聞かないこともある。鳴いているオスは枝のわずかな振動に非常に敏感である。
参考文献
- 林正美・税所康正 2015 エゾゼミ, 林正美、税所康正(著) 改訂版 日本産セミ科図鑑 詳細解説、形態・生態写真、鳴き声分析図. 誠文堂新光社. p. 62.
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