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コマルハナバチ(Bombus ardens)の分類 Apidae
コマルハナバチ(Bombus ardens)の概要 Bombus

コマルハナバチ(Bombus ardens)

【 学名 】
Bombus ardens Smith, 1879

基本情報

大きさ・重さ

成虫体長
本州以南亜種:女王バチ 16.7~20.8 ㎜、働きバチ 10.5~16.2 ㎜、雄バチ 12.2~14.5 ㎜
北海道亜種 :女王バチ 15.2~20.7 ㎜、働きバチ 9.4~15.4 ㎜、雄バチ 10.8~15.0 ㎜
対馬亜種  :女王バチ 16.7~20.8 ㎜、働きバチ 10.5~16.2 ㎜、雄バチ 12.2~14.5 ㎜

参考文献

最終更新日:2020-08-12 ひろりこん

活動時期

成虫出現時期(日本国内)
本州以南亜種:3月中旬~7月中旬
北海道亜種 :4月中旬~8月上旬
対馬亜種  :3月中旬~7月上旬

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最終更新日:2020-08-12 ひろりこん

分布

本州以南亜種:北海道(奥尻島)、本州、四国、九州、屋久島/朝鮮半島
北海道亜種 :北海道(奥尻島を除く)、国後
対馬亜種  :対馬

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亜種

コマルハナバチ(コマルハナバチ本州以南亜種) :ssp. ardens
エゾコマルハナバチ(コマルハナバチ北海道亜種):ssp. sakagamii
ツシマコマルハナバチ(コマルハナバチ対馬亜種):ssp. tsushimanus

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人間との関係

攻撃性は弱く、巣を掘っても人に向かってくることは少ない。

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形態

成虫の形質

(本州以南亜種)
女王バチと働きバチの毛色は黒色主体で、よく似たオオマルハナバチやクロマルハナバチとは、マーラーエリアおよび下唇はより長く体長は一回り小さい点、後脚基付節の幅はより狭く外縁の弧のカーブは緩い点で区別できる。
雄バチはヒメマルハナバチの雄バチに似るが、本種では後脚基付節基部のカーブが緩い点とT5、T6がより明瞭な橙褐色である点で区別できる。

(北海道亜種)
女王バチと働きバチは胸部と腹部に淡黄色毛帯を持ち、エゾオオマルハナバチ(オオマルハナバチ北海道亜種)やアイヌヒメマルハナバチ(ヒメマルハナバチ北海道亜種)に似る。エゾオオマルハナバチよりマーラーエリアと下唇は長く、体長は一回り小さい。腹部の毛は一般により立っているためふっくらしてみえることが多い。また女王バチの胸部前縁の淡黄色帯はより暗色である個体が多い。
アイヌヒメマルハナバチの女王バチはT1に黒色毛が全く無い点で本種と異なる。女王バチと雄バチの毛色と体長は比較的安定しているが、働きバチの毛色と体長は個体変異が大きい。

(対馬亜種)
女王バチや働きバチでは本州以南産よりも顕著に明色で淡黄色毛が主体である。胸部およびT1、T3に黒色毛が混じるが、黒色毛の多少は個体によりさまざまである。雄バチでは本州産と顕著な違いは認められない。

オスの交尾器の形状、大きさは個体差もあり、3亜種で顕著な違いは認められない。

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最終更新日:2020-08-12 ひろりこん

地理的変異

(本州以南亜種)
腹部黄色帯は個体差が大きいが、近畿以南の多くの個体は黄色帯を持たない。

(北海道亜種)
道南産の働きバチは胸部前縁の黄色帯が暗色となる比率がやや高い。

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生態

成虫の生息環境

山地、山麓、丘陵地の森林周辺。営巣地は地表、土中、家屋のすき間など。コマルハナバチは他のマルハナバチ類と異なり、大都会にも生息している。

参考文献

  • 片山栄助 1998 マルハナバチ類, 日高敏隆(監修) 石井実、大谷剛、常喜豊(編) 日本動物大百科10:昆虫Ⅲ. 平凡社. pp. 55-57.

最終更新日:2020-08-12 ひろりこん

成虫の食性

主な訪花植物

(本州以南亜種)
女王バチ:ヤナギ類、ツツジ類、ケマンソウ類、サクラ類、リンゴ、タンポポ類、シロツメクサ、ウツギ類(タニウツギ属の仲間)、フジ、キイチゴ類、シャクナゲ類、アマドコロ、ヒメイカリソウ、ブルーベリー、ミヤマキケマン、ラベンダー、キャットミントなど
働きバチ:タンポポ類、ヒメオドリコソウ、キャットミントなどのシソ科、シロツメクサ、サラサドウダン、シャクナゲ類などツツジ科、アザミ類、ブルーベリー、コンフリー、ルピナス、フジ、キイチゴ類、ノイバラ、エゾノコリンゴ、エゴノキ、ヒメイカリソウ、ケナツノタムラ、ウツギ類、ラベンダーなど
雄バチ:タンポポ類、シロツメクサ、アザミ類、ナツハゼ、グミ類、シャクナゲ類、ノイバラ、サツキ、ヒナノウスツボ、キャットミント、ラベンダー、コンフリーなど

(北海道亜種)
女王バチ:ヤナギ類、エゾエンゴサク、エゾヤマザクラなどサクラ類、タンポポ類、シロツメクサ、ヤマツツジ、エゾムラサキツツジ、セイヨウシャクナゲ、コヨウラクツツジ、クロウスゴなどツツジ科、ウコンウツギ、カタクリ、オドリコソウ、ハウチワカエデ、アキグミ、ハクサンボウフウ、ムスカリ、キリンソウなど
働きバチ:タンポポ類、シロツメクサ、ヤナギラン、アザミ類、コンフリー、ルピナス、サラサドウダン、サルナシ、ナガボノシロワレコモウ、キイチゴ類、エゴノキ、オドリコソウ、シャクナゲ類、ハマナス、ラベンダーなど
雄バチ:アザミ類、タンポポ類、タニウツギ、ヤマルリトラノオ、ラベンダー、ハコネウツギ、ナガボノシロワレコモウ、ヤマブキショウマ、キイチゴ類、キリンソウ、ハマナス、ニセアカシア、ギボウシ、オオハナウドなどセリ科など

(対馬亜種)
女王バチ:ツツジ類、キイチゴ類、サクラ類、タンポポ類、シロツメクサ、ウツギ類(タニウツギ属の仲間)、オドリコソウ、ユズ、ミカン、キケマン、フジなど
働きバチ:ツツジ類、タンポポ類、シロツメクサ、アザミ類、ウツギ類(タニウツギ属の仲間)、コンフリー、ルピナス、オドリコソウ、サカキ、クリ、キイチゴ類、エゴノキ、キウイフルーツ、ヤマイバラ、ピラカンサ、キケマン、フジなど
雄バチ:シロツメクサ、アザミ類、ツツジ科、サカキ、クリ、オカトラノオなど

参考文献

最終更新日:2020-08-12 ひろりこん

ライフサイクル

土中で越冬した女王バチは、本州以南では3月下旬ごろから活動を開始し、地中や地表にあるネズミなどの小動物の廃巣を見つけ、そのすきまに巣を作り、産卵を行う。まず、7~10匹の働きバチを単独で育てる。

以後、これらの羽化が続いたのち、5月下旬以降、オス、新女王バチが羽化し、通常は7月中旬までには営巣を終了する。新女王バチは巣外で交尾し、越夏・越冬して翌年まで生きるが、それ以外はすべて死亡する。

同じ地域に生息するオオマルハナバチやトラマルハナバチは、9~10月まで営巣を続けるので、本種の活動期間は約半分と短い。

参考文献

  • 米田昌浩 1998 コマルハナバチの分業, 日高敏隆(監修) 石井実、大谷剛、常喜豊(編) 日本動物大百科10:昆虫Ⅲ. 平凡社. p. 56.

最終更新日:2020-08-12 ひろりこん

特徴的な行動

本種の働きバチの分業では、幼虫への給餌をはじめとする巣内部での仕事(内役)と、巣外で餌となる花粉や蜜を集める仕事(外役)では、比較的はっきりとした分化が見られる。ただし、外役バチでも夜間や、コロニーの状況によっては給餌等巣内のあらゆる仕事を行う。

参考文献

  • 米田昌浩 1998 コマルハナバチの分業, 日高敏隆(監修) 石井実、大谷剛、常喜豊(編) 日本動物大百科10:昆虫Ⅲ. 平凡社. p. 56.

最終更新日:2020-08-12 ひろりこん

その他生態

本州の野山には本種のほかにクロマルハナバチ、オオマルハナバチと2種の体全体が黒く、腹部末端が橙色のマルハナバチがいる。また北海道では、本種もオオマルハナバチもエゾマルハナバチに似て胸部の前縁と腹部末端に白帯がでてくる。さらに、対馬ではクロマルハナバチもオオマルハナバチもいない代わりに、本種はトラマルハナバチに擬態している。これらはすべてミュラー型擬態であると考えられる。

参考文献

  • 加藤真 1998 ハチ類の擬態・警戒色, 日高敏隆(監修) 石井実、大谷剛、常喜豊(編) 日本動物大百科10:昆虫Ⅲ. 平凡社. p. 64.

最終更新日:2020-08-12 ひろりこん

種・分類一覧