- 解説一覧
- オオマルハナバチ(Bombus hypocrita)について
基本情報
- 大きさ・重さ
-
本州以南亜種:女王バチ 19.9~22.5 ㎜、働きバチ 12.6~16.8 ㎜、雄バチ 15.1~18.7 ㎜
北海道亜種 :女王バチ 18.2~23.1 ㎜、働きバチ 9.7~19.7 ㎜、雄バチ 12.4~16.7 ㎜
参考文献
最終更新日:2020-08-12 ひろりこん
形態
- 成虫の形質
-
(本州以南亜種)
女王バチと働きバチは黒色毛主体で腹部に淡黄色帯を持つ。コマルハナバチに似るが本種はマーラーエリアと下唇は顕著に短く、後脚基付節の幅はより広く、一般に胸部前縁に淡黄色~暗褐色の帯を持つ。ただし、この帯は不明瞭なことがあるので注意が必要である。
雄バチはクロマルハナバチに似るが、クロマルハナバチでは顔面の触角より下方に黒色毛をほとんど含まず、T4に黒色毛は見られない点で区別できる。また、クロマルハナバチ各カーストのT5、T6の橙褐色毛は濃く鮮明で範囲が広い。
(北海道亜種)
女王バチと働きバチは胸部と腹部に淡黄色毛帯を持ち、エゾコマルハナバチ(コマルハナバチ北海道亜種)やアイヌヒメマルハナバチ(ヒメマルハナバチ北海道亜種)に似るがマーラーエリアと下唇は顕著に短く、後脚基付節の幅はより広い。また本種はやや大型で、胸部前縁付近の黄白色帯の色はエゾコマルハナバチより明色であることが多い。雄バチでは本種は大型である点と一般に胸部および腹部に黒色毛帯を持つ(例外がある)点で区別できる。
参考文献
最終更新日:2020-08-12 ひろりこん
生態
- 成虫の生息環境
-
本州以南亜種:低山地~亜高山帯の森林周辺
北海道亜種 :海岸部~高山帯
営巣場所は、土中、地表、家屋の屋根裏など。
北海道・本州北部では平地より高山帯まで普通に産するが本州中部以南では山地のみに産し、四国・九州では少ない。
参考文献
最終更新日:2020-08-12 ひろりこん
- 成虫の食性
-
女王バチは蜜源が花の奥深くにある場合は、大顎で距に穴をあけて盗蜜を行う。
(本州以南亜種)
女王バチ:サクラ類、タンポポ類、ツガザクラ、アオノツガザクラ、ブルーベリーなどツツジ科、コンフリー、ウツギ類、フジ、キイチゴ類、ヤナギ類、ズミ、エゾノコリンゴ、グミ類、カエデ類、アブラムシの甘露など
働きバチ:タンポポ類、シロツメクサ、アベリヤ、シモツケ、コンフリー、タケニグサ、ミヤマママコナ、ナギナタコウジュ、アザミ類、ラベンダー、センダングサ、イヌエンジュ、ノイバラ、カブイバラ、スイバ、ヤナギラン、イチヤクソウ、シモツケ類、ワレモコウ、シシウド類、ウド、イタドリ類、ショウマ類、ナンテン、タラノキ、ヤマアジサイ、ヤブガラシ、シロバナトウチクソウなど
雄バチ:アザミ類、ノコンギク、オオアワダチソウ、オオハンゴンソウなどキク科、カメバヒキオコシ、シシウド類、ウド、シモツケ類、イタドリ類、ショウマ類、タラノキ、ソバ、クガイソウ、シオガマギク、トラノオ、ヒマワリ、コスモスなど
(北海道亜種)
女王バチ:エゾエンゴサク、サクラ類、ヤナギ類、タンポポ類、アキタブキ、キバナシャクナゲ、コヨウラクツツジ、ミネズオウ、ムラサキヤシオなどツツジ科、セイヨウヤマガラシ、オドリコソウ、タニウツギ、ウコンウツギ、シロツメクサ、アカツメクサ、スミレ類、ハウチワカエデなど
働きバチ:タンポポ類、シロツメクサ、ルピナス、シナガワハギ、コンフリー、ミヤマママコナ、アザミ類、ミミコウモリ、エゾオグルマ、コガネギク、シオガマギクなどキク科、オオイタドリ、ヤブガラシ、サラシナショウマ、ナガボノシロワレモコウ、チングルマ、キイチゴ類、シモツケ類、ハマナスなどバラ科、キバナシャクナゲなどツツジ科、ラベンダーなどシソ科、エゾアジサイ、イケマなど
雄バチ:オオアワダチソウ、タンポポ類、エゾオグルマ、オオハンゴンソウ、ハンゴンソウ、ミミコウモリ、アザミ類、エゾノコンギク、エゾゴマナなどキク科、シロツメクサ、エゾヤマハギ、ナガボノシロワレモコウ、サラシナショウマ、ソバ、シナノキ、オオイタドリ、ヨツバヒヨドリなど
参考文献
最終更新日:2020-08-12 ひろりこん
- 特徴的な行動
-
オオマルハナバチは口吻が短いので、長い筒状の花や蜜源が奥深く隠された花を訪れると、花の基部に外側から口吻を突き刺して蜜だけ吸い、受粉は行わない。これを盗蜜行動という。
参考文献
- 片山栄助 1998 マルハナバチ類, 日高敏隆(監修) 石井実、大谷剛、常喜豊(編) 日本動物大百科10:昆虫Ⅲ. 平凡社. pp. 55-57.
最終更新日:2020-08-12 ひろりこん
- その他生態
-
本州では本種とクロマルハナバチ、コマルハナバチは体全体が黒く、腹部の末端だけが橙色をしている色彩パターンを持つ。また、北海道では本種とコマルハナバチは胸部の前縁と腹部末端に白帯がでてきて、エゾマルハナバチとよく似た色彩パターンになってくる。これらは、ミュラー型擬態であると考えられる。
参考文献
- 加藤真 1998 ハチ類の擬態・警戒色, 日高敏隆(監修) 石井実、大谷剛、常喜豊(編) 日本動物大百科10:昆虫Ⅲ. 平凡社. p. 64.
最終更新日:2020-08-12 ひろりこん