- 解説一覧
- ヘビトンボ(Protohermes grandis)について
ヘビトンボ(Protohermes grandis)
- 【 学名 】
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Protohermes grandis (Thunberg, 1781)
目次
基本情報
- 大きさ・重さ
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・成虫全長:前翅長 50 ㎜
・成虫体長: 40 ㎜前後
・幼虫体長: 60 ㎜
参考文献
- 2006 水生生物ハンドブック改訂版 - 書籍全体, 刈田敏(著) 水生生物ハンドブック改訂版. 文一総合出版. .
- 2012 昆虫好きの生態観察図鑑Ⅱ コウチュウ・ハチ・カメムシ他 - 書籍全体, 鈴木欣司、鈴木悦子(著) 昆虫好きの生態観察図鑑Ⅱ コウチュウ・ハチ・カメムシ他. 緑書房. .
最終更新日:2020-08-09 ひろりこん
- 別名・流通名・方言名
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孫太郎虫(幼虫)
参考文献
- 2012 昆虫好きの生態観察図鑑Ⅱ コウチュウ・ハチ・カメムシ他 - 書籍全体, 鈴木欣司、鈴木悦子(著) 昆虫好きの生態観察図鑑Ⅱ コウチュウ・ハチ・カメムシ他. 緑書房. .
最終更新日:2020-08-09 ひろりこん
- 人間との関係
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幼虫(孫太郎虫)は古くから疳の薬として有名であった。さらに、薬用としてばかりでなく、ご飯のおかずとして食べられることもあった。薬用の場合は乾燥したものを黒焼きにしたり、炙ったりして食べたが、おかずの場合は煮て食べられていた。
参考文献
- 2008 世界昆虫食大全 - 書籍全体, 三橋淳(著) 世界昆虫食大全. 八坂書房. .
最終更新日:2020-08-09 ひろりこん
形態
- 蛹の形質
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蛹は付属肢を自由に動かすことのできる裸蛹で、鮮やかな橙黄色を呈し、蛹室の中で腹部を上に向け、体をまるめた姿勢を取っている。動作はかなり激しく、攻撃的で、物を入れるとかみついたり、砂などが蛹室へ落ちると、大腮ではさんで外へ捨てたりする。
参考文献
最終更新日:2020-08-09 ひろりこん
- 幼体の形質
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腹節側面の付属器は細毛で覆われる。第1~7腹節下面には総状の鰓があり、第8節背面に円錐状の突起がない。また、幼虫の腹部体表面の剛毛の色は体表の地色よりうすく目立たない。
参考文献
最終更新日:2020-08-09 ひろりこん
生態
- 成虫の生息環境
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丘陵帯から低山帯
参考文献
- 2012 昆虫好きの生態観察図鑑Ⅱ コウチュウ・ハチ・カメムシ他 - 書籍全体, 鈴木欣司、鈴木悦子(著) 昆虫好きの生態観察図鑑Ⅱ コウチュウ・ハチ・カメムシ他. 緑書房. .
最終更新日:2020-08-09 ひろりこん
- 幼虫の生息環境
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山間渓流などの川底にある大きい石の裏側で生活する。
参考文献
- 2006 水生生物ハンドブック改訂版 - 書籍全体, 刈田敏(著) 水生生物ハンドブック改訂版. 文一総合出版. .
最終更新日:2020-08-09 ひろりこん
- ライフサイクル
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飼育下での観察によると、3回目の冬を越した幼虫は5月から6月にかけて体色が黒ずんできて、6月下旬には老熟し黒化して蛹化のために陸へ上がる。この幼虫は湿気の多い場所にある大きな石や倒木などの下に潜り込み、楕円形(約 2 ㎝ × 1 ㎝)の穴を掘り、蛹室をつくる。この蛹室と石面との間にはわずかに吐糸がなされ、また入り口は太い絹糸状の糸でふさがれる。蛹化後4-5日経つと、蛹室から出て近くの植物体へはいあがり、羽化する。
参考文献
最終更新日:2020-08-09 ひろりこん
- 活動時間帯
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夜行性で、夜間に雑木林の樹液や、灯火に飛来している。昼間は小川や沢沿いの木に静止している。
参考文献
- 2012 昆虫好きの生態観察図鑑Ⅱ コウチュウ・ハチ・カメムシ他 - 書籍全体, 鈴木欣司、鈴木悦子(著) 昆虫好きの生態観察図鑑Ⅱ コウチュウ・ハチ・カメムシ他. 緑書房. .
最終更新日:2020-08-09 ひろりこん
- 生殖行動
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ヘビトンボは雄が雌に対して婚姻贈呈を行なう。雄は雌を見つけると、後方から雌の下に潜り込み、尾部をサソリのように曲げたかと思うと、数分で雌の尾端に大きなゼリー状の物質を付着させる。雄はすぐに雌から離れてしまうが、雌は体をC字状に曲げて尾端についたゼリーを食べ始める。ゼリーには粘着性があり、雌はこれを少しずつ引きちぎっては食べていく。ゼリーを食べ終えると、精子の入っていた管を引き抜いて、尾部のクリーニングに移る。ここまで少なくとも2時間を要し、そのあいだに管のなかの精子は雌の体内に移動する。もし、管の周りのゼリーが少ないと、雌はゼリーをすぐに食べ終えてしまい、精子がなかに残ったまま管を引き抜いてしまうだろう。精子が入らないと交尾が無効になってしまう。それを防ぐために雄は多量のゼリーを雌に与えなければならない。
食べたゼリーは、雌の栄養になる。実際、雌は1回の交尾で最後まで受精卵を作るのに十分な量の精子を受け取るにもかかわらず、頻繁に交尾をする。そして、交尾回数が多い(つまり多くのゼリーを食べた)雌ほど、生涯に産み落とす卵塊数が増加する傾向がある。逆に、雄は、1回の交尾で体内で合成したゼリーを大量に消費するため、充填が追い付かず、次の交尾がなかなかできないというはめになる。
参考文献
- 林文男 1997 ヘビトンボ・センブリ類, 日高敏明(監修) 石井実、大谷剛、常喜豊(編) 日本動物大百科9:昆虫Ⅱ. 平凡社. p. 12.
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関連情報
- 味や食感
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煮て食べる。孫太郎虫は煮ると丸くなる。皮膚が厚くかたいが、香ばしい味がする。
参考文献
- 2008 世界昆虫食大全 - 書籍全体, 三橋淳(著) 世界昆虫食大全. 八坂書房. .
最終更新日:2020-08-09 ひろりこん