- 解説一覧
- Aedes albopictusについて
目次
基本情報
- 分布
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本州、伊豆諸島、四国、九州、対馬、屋久島、琉球列島、大東諸島、小笠原諸島;朝鮮半島、済州島、中国大陸、東洋熱帯区、マリアナ諸島、ハワイ諸島、ニューギニア、オーストラリア北部、チャゴス諸島、セイシェル、レユニオン、モーリシャス、マダガスカル、仏領ソマリア
本来東洋熱帯地方の種であるが、温帯気候にもよく適応している。
参考文献
最終更新日:2020-08-09 ひろりこん
- 分類学的位置付け
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ヤブカ属(Aedes) シマカ亜属(Stegomyia) ヒトスジシマカ(Aedes (Stegomyia) albopictus)
本種とヤマダシマカは albopictus 亜群に属する。
参考文献
最終更新日:2020-08-09 ひろりこん
- 人間との関係
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東南アジアではネッタイシマカとともにデング熱の媒介蚊として注目されている。日本でも、外国旅行者が感染して帰国し、発病して感染源となることがありうる。屋外ではイヌからも吸血し、イヌ糸状虫の媒介もしている。
ヒトスジシマカは人々の移動の際に卵が荷物に紛れ込み、吸血源として人嗜好性が強く越冬機能も持つことから、世界中に分布が広がった。
また、温暖化などの影響で日本における本種の地理的分布も年々北へ拡大している。
参考文献
- 2013 蚊の観察と生態調査 - 書籍全体, 津田良夫(著) 津田良夫(編) 蚊の観察と生態調査. 北隆館. .
最終更新日:2020-08-09 ひろりこん
形態
- 成虫の形質
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黒白の縞模様で、胸部背面中央には縦一筋の白い線が走る。
胸部側面の白鱗斑は明瞭な2本の平行条を形成しないことと、後脚付節基部の白帯はかなり安定した特徴である。
参考文献
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生態
- 幼虫の生息環境
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樹洞、竹および木性シダの切り株、葉腋など様々の自然の小容器に発生。南方ではヤシ殻に極めて多い。また、人間の居住域であらゆる人工小容器を利用し、人為環境に最もよく適応したカの一つである。
参考文献
最終更新日:2020-08-09 ひろりこん
- 成虫の食性
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花蜜を吸う。雌成虫はヒト以外にもペット動物やネズミ、野鳥、カメなど多種類の動物の血液を吸うことが知られている。
参考文献
- 2013 蚊の観察と生態調査 - 書籍全体, 津田良夫(著) 津田良夫(編) 蚊の観察と生態調査. 北隆館. .
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- ライフサイクル
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秋に産卵した卵は休眠卵で、すぐには孵化せず越冬して、3~4月頃に孵化し幼虫になる。沖縄県でも10月中旬~12月に生まれた卵は休眠卵だという。気温にもよるが、夏ならほぼ10日間の幼虫期間をへて羽化する。吸血後2日ほどで産卵する。
参考文献
最終更新日:2020-08-09 ひろりこん
- 生殖行動
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ヒトスジシマカの雄は小さい蚊柱をつくる。ヒトスジシマカの雄は動物の周囲に集まってきて盛んに飛び回り、あまりはっきりしないがゆるい蚊柱のような状態を作っている。そこへ雌が吸血のために飛来すると、すぐに雌を捕えて交尾しようとする。
ほとんどの種類の蚊は、羽化後の数日間に卵巣や精巣が発育して性的に成熟するとともに、雌個体のほとんどは交尾して貯精嚢に精子を蓄える。そのため、吸血のために飛来する雌個体は、ほとんどが交尾を済ませているのがふつうである。また雌は1回交尾するだけで、一生の間に産む卵のすべてを受精させるのに十分な数の精子を貯えることができるといわれている。
参考文献
- 2013 蚊の観察と生態調査 - 書籍全体, 津田良夫(著) 津田良夫(編) 蚊の観察と生態調査. 北隆館. .
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- 特徴的な行動
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ヒトスジシマカは吸血のとき、待ち伏せ型の行動をとる。このタイプの蚊は葉裏や植物の茂みなどに潜んでいて、その近くを動物が通りかかるとそれを察知して刺しに来る。ヒトスジシマカの場合、蚊が潜伏している場所から 4 mぐらいの距離に人が近づくと察知することができるらしい。
近くを動物が通りかからないと吸血できないので、ある時間潜伏して動物が来ない場合は、別の潜伏場所へ移動して待ち伏せていると考えられている。そして、このような移動をしているときに偶然動物と出会えば、もちろん吸血のために飛んでいく。
参考文献
- 2013 蚊の観察と生態調査 - 書籍全体, 津田良夫(著) 津田良夫(編) 蚊の観察と生態調査. 北隆館. .
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関連情報
- 採集方法
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飛来する蚊を妨げないようにゆっくりと網を振り、体の周りを網でふき取るようなつもりで捕まえる。ゆっくりと網を振るという方法は、人を刺しに来る蚊だけでなく、ほかの動物、たとえばウシやブタなどの家畜を吸血に来る蚊の場合も同じ。捕虫網の中から蚊を取り出すには、ふつう吸虫管を使う。
捕虫網は潜伏場所にいる蚊(すでに吸血した蚊や吸血活動をせずに休息している蚊)を採集するためにも使われる。この場合の網の使い方は、吸血のために飛来する蚊の場合とはだいぶ違う。潜伏している蚊を肉眼で見つけて採ることは難しいので、蚊が潜伏していると思われる場所(草の茂みや樹木の根元、地面にできた凹みなど)を捕虫網でそっとたたくように触れる。注意してみていると網が触れた後で虫が飛び立つのがわかる。これを網でそっとすくうようにして捕まえる。飛び立つ虫が見えないことが多いのだが、その場合でも網で触れたあたりをもう一度ゆっくりと網ですくうようにすると、蚊が採れることが多い。
吸血蚊の潜伏場所は蚊の種類によってだいぶ違うように感じられる。ヒトスジシマカは日陰の草本植物に潜んでいることが多く、たくさん刺しに来る場所の周辺にある草叢を網ですくうと吸血蚊も未吸血蚊も一緒に採れる。
参考文献
- 2013 蚊の観察と生態調査 - 書籍全体, 津田良夫(著) 津田良夫(編) 蚊の観察と生態調査. 北隆館. .
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- 飼育方法
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幼虫を育てるとき、一番注意しなければならないのは水が腐らないようにすること。幼虫を飼育するのに使う水は、雨水が一番無難だが、水道水をくんで2~3日そのまま放置してから使えば問題ない。
幼虫の餌には特別なものを与える必要はない。パンの破片を乾燥させ、指先で砕いて細かい粉にしたものも食べるが、実験で使われる場合はマウスの固形飼料を粉にしたものがよく使われる。野外採集のときに携帯する餌としては、乾燥酵母がある。水に溶かして上澄み液を1~2滴与えると水が腐りにくい。餌を与えるときの基本は、一度にたくさん与えるのではなく、少量を何回かに分けてやることである。
一口に水中に住んでいるといっても、餌のとり方はグループによって微妙に異なっており、ヤブカの幼虫は容器の底に沈んだ餌をかじって食べる。そのため、餌を大きめの塊にして水の中に沈めるとよい。
食べ残しが容器の底にたまって水が濁ってしまった場合は、金魚用の網などを利用して幼虫を漉しとり、きれいな水に移すとよい。
蛹は2日ほどで羽化する種類が多い。羽化が始まると羽化した成虫は羽化後わずか数分で飛べるようになる。そこで少なくとも1日おきに、蛹を拾い出して別の容器に移し、成虫が羽化する前にさなぎを成虫飼育用のケージに入れる。成虫飼育ケージは一片の長さ 20 ㎝か 30 ㎝の立方体あるいは 20 × 20 × 30 ㎝の針金製の枠を作り、この枠がぴったり入る大きさの袋を捕虫網と同じ生地の布で作るとよい。
成虫は雌雄ともに砂糖水を必要とする。砂糖水は 3~5%の濃度で、これを脱脂綿に浸み込ませてケージの中につるす。あるいは砂糖水を容量 300 mlぐらいのボトルに入れ、脱脂綿で芯を作ってボトルにさす。成虫は乾燥に弱く、砂糖水がなくなると1日ほどで死亡してしまうので、注意が必要である。
参考文献
- 2013 蚊の観察と生態調査 - 書籍全体, 津田良夫(著) 津田良夫(編) 蚊の観察と生態調査. 北隆館. .
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- 外来種としての影響
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水のたまった古タイヤは格好の産卵場所で、近年輸出された古タイヤについて世界中に広がっている。1979年アルバニアで目撃されたのを皮切りに、1983年北米のテネシー州メンフィスで成虫が一匹発見され、1986年にはすでに北米のテキサス州ほか12州とブラジルに定着していたことが分かり、さらに、メキシコ(1988)、フィジー(1988)、イタリア(1990)、オーストラリア(1990)、南アフリカ(1991)、ナイジェリア(1991)、ニュージーランド(1992)、ドミニカ(1993)、バルバドス(1993)、キューバ(1995)、グァテマラ(1995)、ボリヴィア(1995)、エル・サルヴァドル(1996)、カイマン(1997)、コロンビア(1997)などで発見され、多くの地で定着し、特にアメリカ合衆国では1997年現在24の州に広がっており、撲滅の可能性はなくなった。本種はデングおよび黄熱病のほか、アメリカでは東部馬脳炎そのほか多くのウイルス病を媒介することが実験的にわかり、各地で大問題になっている。なお、日本では近年都会地で増加しているが、この種が媒介するウイルス病は日本ではあまりないので、今のところ大きな問題とはならない。
参考文献
最終更新日:2020-08-09 ひろりこん