- 解説一覧
- Drosophila melanogasterについて
Drosophila melanogaster
- 【 学名 】
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Drosophila melanogaster Meigen, 1830
目次
基本情報
- 大きさ・重さ
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・成虫体長 :約 2 ㎜
・蛹体長 :2~3 ㎜
・卵の大きさ:長さ 0.53 ㎜ × 直径 0.2 ㎜
参考文献
- 2012 虫の卵ハンドブック - 書籍全体, 鈴木知之(著) 虫の卵ハンドブック. 文一総合出版. .
最終更新日:2020-08-11 ひろりこん
- 活動時期
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成虫出現時期(日本国内):1年中
参考文献
- 1999 校庭の昆虫 - 書籍全体, 田中義弘、鈴木信夫(著) 校庭の昆虫. 全国農村教育協会. .
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- 生息状況
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日本では国内全土に分布するが、特に南西地域に多い。しかし、近年、本種はむしろ減少気味で、類似の種であるオナジショウジョウバエ D. simulans が増える傾向にある。
参考文献
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- 人間との関係
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ハーバード大学で Castle らが近親繁殖の研究の材料としたのがはじまりであり、特に米国のモーガンら(1910)により、白眼の突然変異個体が発見されて以来、遺伝学の発展に大きく寄与してきた。
発酵した植物体に集まり、産卵して発生場所になる。小型のハエであるが、結構広範囲に移動して産卵を行うので、特に乳製品などの工場、酒、醤油、味噌の醸造工場では、食品衛生上の重要な害虫になる。また人家内に侵入して食品にたかることもあり、不潔である。
参考文献
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形態
- 成虫の形質
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黄赤色。小顎肢下面に数個の刺毛を列生する。雄の前脚の第1性櫛は約10個よりなり斜位、第2性櫛はない。
雌は体長が雄よりやや大きく、前脚に性櫛はない。腹部の第2~5腹背板各環節の後半には黒褐色帯があり、末端の節ほど幅は広くなるが、雄のように末端2節全体が黒色とはならない。
参考文献
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生態
- 成虫の生息環境
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人家内の腐敗した野菜、果物、発酵した植物質、漬物や、ビール工場、果物の缶詰工場。また、ビニールハウス周辺の収穫した野菜、果物が野積されている場所で発生することもある。
参考文献
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- 成虫の食性
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酵母菌などを食べる。
ショウジョウバエは酵母菌を食べるとき、同時に発酵産物であるエチルアルコールを摂取する。ふつうショウジョウバエは2%程度、下戸ではわずか1%未満のアルコールに嘔吐や千鳥足などの中毒症状を呈し、まもなく死に至る。
しかし、キイロショウジョウバエやクロショウジョウバエなどアルコールに強い種類は、日本酒くらいの濃度(16%)のアルコールを与え続けても死なず、8%以下のアルコールではストレスとはならず、エネルギー資源にできる。ちなみに、雌は雄よりもアルコールに強い。
参考文献
- 渡辺英昭 1997 下戸がいればうわばみもいる, 日高敏明(監修) 石井実、大谷剛、常喜豊(編) 日本動物大百科9:昆虫Ⅱ. 平凡社. p. 144.
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- ライフサイクル
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雌は羽化後3~4日で産卵し、15~30日間生きる。幼虫は産み付けられた過熟した果物、ぬかみそ、酒かすのなかで成育し、蛹化が近づくと乾燥した壁面などに移動して蛹化する。幼虫は25℃で卵から成虫まで約8~10日間で発育する。
一般に7月下旬より多発生し、9月にピークをもつ秋型の単峰型であり、10月中旬に個体数は減少に向かうが、冬期を除いて常に発生する。
参考文献
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- 生殖行動
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キイロショウジョウバエ雄の求愛行動は5種類の行動要素から構成される。すなわち、雌に対する定位(orientation)、前肢で雌の腹部に触れるタッピング(tapping)、片翅の伸展・振動による求愛歌の発生(wing extension/vibration)、口器で雌の交尾器を舐めるリッキング(licking)、雌の背後 に回り込み、腹部を屈曲させて交尾を試みる交尾試行 (attempted copulation)である。これらの行動要素は雄雌の相互作用の中で相前後しつつも概ね上記の順序で発現し、これらの過程を経て雌の受容性が高まると、最終 的に交尾(copulation)が成立する。
参考文献
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関連情報
- 外来種としての影響
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もともと日本に生育していたわけではなく、そう遠くない昔に人間や物の移動に伴って、日本に入り込んできたと考えられる。ホテルや旅館、寮といった建物付近でもよく見られるが、自然環境内でも遊歩道のわきや湖沼の周辺など、観光客が休息したりするような場所でもまとまった数が採集されることもある。こうした場所では、夏季を中心に人間生活に伴って出た生ごみや、付近に捨てられた残飯のようなものを利用して繁殖し、個体数を増やして自然環境内へと広がるのではないかと考えられる。
自然環境が保全されている場所では本種のような人家性のショウジョウバエの個体数は野生のショウジョウバエとは比較にならないほど大きく変化する。しかし、こうしたショウジョウバエがたとえ1年のうち限られた季節とはいえ自然環境に入り込めば、野生種との何らかの競争は避けられず、野生種の生活にさまざまな影響を与える可能性がある。
参考文献
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