- 解説一覧
- オオセンチコガネ(Phelotrupes (Chromogeotrupes) auratus)について
オオセンチコガネ(Phelotrupes (Chromogeotrupes) auratus)
- 【 学名 】
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Phelotrupes (Chromogeotrupes) auratus (Motschulsky, 1857)
基本情報
- 亜種
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屋久島亜種 yaku (Tsukamoto, 1958)
屋久島に分布する。
名義タイプ亜種と比較し、体がやや小型で頭楯は前縁でほぼ丸くなり、中胸腹板中央の突起はほとんど突出しない。
また、雄交尾器は太くて短くなる。
参考文献
最終更新日:2020-05-20 瀬戸内味わいにぼし
形態
- 成虫の形質
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体は黒色で、表面に赤紫、紫、青紫、金緑色などの強い金属光沢をもつ。
上唇は前方で明瞭に湾入する。
頭楯は側縁がほぼまっすぐで、前縁がゆるく丸くなるかやや左右非対称に丸くなる。
全体の輪郭はやや縦長の台形か急な放物線に近い形となり、雌のほうが明らかに強く前方に突出する。
雄では表面の金属光沢が強いが、雌では黒味が強くて金属光沢は弱くなる。
頭楯中央部に縦長のこぶが隆起するが、短く、あまり高くならない。
前頭頭楯縫合線は明瞭な刻印があり、中央部は刻印がT(Y)字型になる。複眼の近くにある内側のこぶはあまり高くならず、鈍い。
頬(眼縁突起)は外側でよく丸くなる。
表面は、頭楯できわめて密に、あらくしわ状に彫刻されるが点刻は目立たず、雌では彫刻や点刻は雄よりさらに強くなる。
頬では頭楯よりも弱い皺があり、前頭頭楯縫合線より後方では雄で滑らかでまばらな点刻があり、雌では頭楯よりも弱いしわ状の点刻がある。
前胸背板は単純な形で、雄のほうが雌より少し強く膨隆し、表面はなめらかで中央部はほとんど無点刻、側部でしわ状にやや密に点刻がある。
前縁中央付近で広く開いたV字型のくぼみがあり、大型個体ではやや明瞭、小型個体では不明瞭となる。
肉眼で見て、中縦線に沿って細い中縦溝が走る。
側縁は縁どられ、縁取り線は前方に向かいやや細くなり、縁取り線にそって、その内側でやや幅広い平圧部があり、平圧部は雄ではやや狭く、雌では広い。
基部は小楯板の幅よりやや広く後方に張り出し、張り出し部分は明瞭に縁どられるが、その両側は湾入して、縁取りを欠き、再び後角近くで縁取られる。
小楯板は中縦線に沿って弱いくぼみがある。
上翅では、条溝は肩部より内側では明瞭に刻印されて弱い点刻が並ぶ。
間室は適度な膨隆を示し、表面はきわめて滑らかでほとんど無点刻。
上翅側縁は縁取り線に沿ってその内側で幅広い平圧部がある。
中胸腹板中央の突起は前方によく突出し、とがる。
後腿節後縁の基部寄りのところに雄では1個の刺状突起があるが、雌ではこれを欠く。
前脛節では、雄では先端歯が細長く伸張し、下に緩く曲がり、先端で丸くなり、下面基部寄りの所に6個前後の下向きの刺状突起が縦に並ぶ。
雌では先端歯は単調にとがり、下面基部寄りの所に目立たない小歯を3,4個並べる程度である。
雄交尾器片は片状部の発達が弱く、左右対称に形作られる。
交尾鈎はほぼ左右対称。
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最終更新日:2020-05-20 瀬戸内味わいにぼし
- 地理的変異
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紀伊半島を中心に奈良県から和歌山県、三重県にかけて青みの強い「ルリ型」が、京都府を中心に滋賀県、三重県にかけて緑みの強い「ミドリ型」が分布する。
東日本には紫がかった赤色の「赤紫型」が、西日本には緑色がかった赤色の「赤緑型」が多い。
北海道のいくつかの地域や大阪府の能勢地方でも「ミドリ型」が出現し、九州本土南端でも色調の若干異なる「ルリ型」がみられる。
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