- 解説一覧
- センチコガネ(Phelotrupes (Eogeotrupes) laevistriatus)について
センチコガネ(Phelotrupes (Eogeotrupes) laevistriatus)
- 【 学名 】
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Phelotrupes (Eogeotrupes) laevistriatus (Motschulsky, 1857)
目次
基本情報
- 分布
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北海道、国後島、色丹島、利尻島、焼尻島、奥尻島、本州、佐渡島、飛島、伊豆諸島(大島、利島、新島)、淡路島、小豆島、隠岐、四国、九州、対馬、壱岐、五島列島、甑列島、屋久島、サハリンのほか、済州島、朝鮮半島、中国、ロシア南東部に分布
参考文献
最終更新日:2020-08-11 ひろりこん
形態
- 成虫の形質
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頭部では、頭楯は短い半円形、前胸背板では、縁の縁取り線のすぐ後ろは単純な形となる。表面は光沢があり滑らかで、中央部付近は中縦溝をのぞいて点刻がほとんどない。中縦線にそって後半部で不明瞭な点刻をともなった弱い縦溝が走るが、しばしば痕跡的。
上翅の間室は適度に膨隆し、側縁の縁取り線にそった内側でやや幅広い平圧部がある。上翅表面は金属光沢がある。
また、雄の前脛節には下向きの突起が1本ある。
参考文献
最終更新日:2020-08-11 ひろりこん
- 地理的変異
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北海道の個体群は、地域により後翅が退化したものが見られ、上翅条溝も浅く弱くなる傾向がある。また、北海道以北の北方領土やサハリンの個体群も肩部が丸く、その傾向が強く見られる。
オオセンチコガネ以上に地域による色彩変異に富む。特に「レインボーセンチコガネ」(虹のように美しい色彩変異があるという意味)と呼ばれる個体群は、金色、銅色、赤銅色、紫銅色、紫色、紺色、青色、緑銅色などに輝き、変異の幅が豊富である。
一方、島の個体群はほぼ紺色の濃い黒色や紫銅色を基調にした色彩のものなどが知られ、内陸部の個体群と対照的である。今後、DNAでの分子系統解析研究が期待されるところである。
参考文献
最終更新日:2020-08-11 ひろりこん
生態
- 成虫の食性
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広食性の傾向が強い。シカ、ヒト、ウシ、サル、ヒツジ、イノシシ、キツネ、タヌキなどの糞に来集し、また、腐肉、タケノコの腐敗した皮、キノコなどにも集まり、これらを食べる。
ただし、同じ種の糞であっても古くなって乾いたものにはほとんど集まらず、水気の多い表面が湿っているような糞や死がいを好むようである。
参考文献
- 小林裕和 1998 コガネムシ上科の仲間たち, 日高敏隆(監修) 石井実、大谷剛、常喜豊(編) 日本動物大百科10:昆虫Ⅲ. 平凡社. pp. 108-110.
最終更新日:2020-08-11 ひろりこん
- 発音(鳴き声)
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捕えるとよく音を出すが、詳しい発音機構はわかっていない。
参考文献
- 沢田佳久 1998 複雑な発音システム, 日高敏隆(監修) 石井実、大谷剛、常喜豊(編) 日本動物大百科10:昆虫Ⅲ. 平凡社. p. 156.
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- ライフサイクル
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成虫は3月中旬より現れ、好んで糞に来るが、動物の死がいや腐ったキノコなどにも来る。多くの場合、糞などの下に深さ 10 ㎝ほどの穴を掘ってその中にいる。
秋に巣穴をほって産卵し、ふ化した幼虫は巣穴に詰め込まれた糞を食べて成育、越冬する。翌春に蛹化し、さらに成虫となって地上に現れる。
また、成虫も朽ち木内部や落ち葉、石の下などで越冬する。
参考文献
- 2006 新装版山渓フィールドブックス 甲虫 - 書籍全体, 黒沢良彦、渡辺泰明(著) 新装版山渓フィールドブックス 甲虫. 山と渓谷社. .
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- 生殖行動
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交尾期には林間で雄が雌を追う求愛飛翔が見られる。
参考文献
- 2012 昆虫好きの生態観察図鑑Ⅱ コウチュウ・ハチ・カメムシ他 - 書籍全体, 鈴木欣司、鈴木悦子(著) 昆虫好きの生態観察図鑑Ⅱ コウチュウ・ハチ・カメムシ他. 緑書房. .
最終更新日:2020-08-11 ひろりこん
- 産卵
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秋に、糞の下に深さ 30 ㎝ほどの穴を掘り、端に設けた卵室に卵を産み付け、糞を運び込んで詰め込む。
参考文献
- 2006 新装版山渓フィールドブックス 甲虫 - 書籍全体, 黒沢良彦、渡辺泰明(著) 新装版山渓フィールドブックス 甲虫. 山と渓谷社. .
最終更新日:2020-08-11 ひろりこん