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アオドウガネ(Anomala albopilosa)の分類 Rutelidae
アオドウガネ(Anomala albopilosa)の概要 Anomala

アオドウガネ(Anomala albopilosa)

【 学名 】
Anomala albopilosa (Hope, 1839)

基本情報

大きさ・重さ

・成虫体長:17.5~25.0 ㎜
・幼虫体長:50 ㎜(成熟幼虫)

参考文献

最終更新日:2020-08-11 ひろりこん

活動時期

成虫出現時期(日本国内):4~10月下旬

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最終更新日:2020-08-11 ひろりこん

分布

本州、佐渡島、伊豆諸島(大島、三宅島、式根島、御蔵島、神津島、八丈島)、四国、九州、対馬、壱岐、甑島列島、大隅諸島、吐噶喇列島(口之島、中之島、悪石島、小宝島、宝島)、奄美大島、徳之島、沖永良部島、与論島、沖縄島、伊平屋島、伊是名島、久米島、宮古島、多良間島、石垣島、西表島、与那国島。国外では、台湾、済州島、朝鮮半島。

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生息状況

本州では北上が著しく、各地でドウガネブイブイやヤマトアオドウガネを駆逐しつつ分布を広げている。

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亜種

ミトコンドリアDNA塩基配列に基づく分子系統解析の結果、100万年以上前の地理的隔離により、大きく本土グループ(種子島以北のグループ、名義タイプ亜種に相当)・奄美地方グループ(奄美亜種に相当)・沖縄地方グループ(沖縄亜種に相当)・先島地方グループ(先島亜種に相当)・台湾グループ(台湾亜種に相当)に分けられる。

・名義タイプ亜種:成虫は広食性で、さまざまな植物の生葉を後食する。近年北上し、各地域で個体数が増加している。灯火に飛来する。
・奄美亜種:各種広葉樹のすくい網で得られることから、原名亜種同様、かなり多くの植物の生葉を後食するものと思われる。灯火に飛来する。
・沖縄亜種:灯火に飛来する。植生の単純な離島では大量に発生することがある。サトウキビへの食害が知られる。
・先島亜種:灯火に飛来する。市街地や海岸にも多く、植樹されたクサトベラやオキナワキョウチクトウを集団で加害することがある。
・与那国島亜種:灯火に飛来する。

1970年代までの標本では、以下のように亜種分類が可能である(かつて側縁隆起の発達の度合いが各亜種の特徴として安定していたが、本種の北上にともない、2000年以降の標本では確実な指標とすることはできなくなった)。

・名義タイプ亜種
上翅の側縁隆起は後角の後方に達し、側縁膜は後基節の前縁角付近から始まる。
分布:本州、佐渡島、伊豆諸島(大島、三宅島、式根島、御蔵島、神津島、八丈島)、四国、九州、対馬、壱岐、甑島列島、大隅諸島、屋久島。国外では、済州島、朝鮮半島

・奄美亜種 gracilis Schõnfeldt, 1890
上翅の側縁隆起は後角付近で消失し、側縁膜は後基節の前縁角付近から始まる。前胸背板の側縁は多くの場合、狭くやや黄色がかる。
分布:吐噶喇列島(口之島、中之島、悪石島、小宝島、宝島)、奄美大島、徳之島

・沖縄亜種 yashiroi Sawada, 1950
上翅の側縁隆起は後角付近に達するが、しばしばそれよりわずかに前方で消失する。側縁膜は後基節の後縁角付近から始まる。前胸背板の前角付近はときに、やや黄色がかる。
分布:沖永良部島、与論島、沖縄本島

・先島亜種 sakishimana Nomura, 1964
上翅の側縁隆起は多くの場合、後角よりやや前方で消失する。側縁膜は後基節の後縁角付近から始まる。前胸背板は一様に緑色で、前縁中央は縁取られない。
分布:宮古島、石垣島、西表島

・与那国島亜種 yonaguniana Nomura, 1964
上翅の側縁隆起は後角付近で消失する。側縁膜は後基節の後縁角付近から始まる。前胸背板前縁中央は縁取られない。背面の点刻は小さくまばら。
分布:与那国島

・台湾亜種 trachypyga H. Bates, 1866
分布:台湾

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最終更新日:2020-08-11 ひろりこん

形態

成虫の形質

前脚の脛節に2本の外歯をもち、第1外歯先端はヘラ状に丸まり、雌雄ともに第2外歯は発達が弱く鈍角。腹部腹板の側部には密生した黄褐色の長毛束がある。腹板第1~4節に側部稜がある。
上翅の側縁隆起は細いが後角付近まで縁取られる。側縁膜は赤褐色~暗赤褐色。尾節板は黄褐色の長毛でおおわれるが、地域によってはまばらで、中央部に毛を欠く。

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幼体の形質

体は乳白色であるが、摂食時期には暗褐色の糞が体の後部の皮膚を透かして見える。また蛹化が近く摂食をやめた個体は、体内の脂肪が透けて見えるため、全体が淡黄色となる(これを黄熟という)。

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生態

成虫の食性

広食性で、様々な植物を摂食する。沖縄ではサトウキビの害虫である。

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幼虫の食性

植物の根。農作物ではサトウキビ、パイナップル、サツマイモ、イチゴ、ブルーベリーなど。サトウキビやブルーベリーでは株が枯死することもあるが、イチゴ、サツマイモなどでは被害の程度は軽い。

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ライフサイクル

年1回の発生。幼虫が地中で越冬し翌年初夏に蛹化する。成虫は5~9月に出現し、交尾後、雌成虫は地下に潜って産卵する。幼虫は土中で植物の根を摂食し、3齢(終齢)幼虫で越冬する。

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活動時間帯

夜間活動性

参考文献

  • 2006 新装版山渓フィールドブックス 甲虫 - 書籍全体, 黒沢良彦、渡辺泰明(著) 新装版山渓フィールドブックス 甲虫. 山と渓谷社. .

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特徴的な行動

成虫は集合して摂食する習性があるため、特定の樹に被害が集中する傾向がある。

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関連情報

採集方法

各種広葉樹のスウィーピング。灯火にも来る。

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外来種としての影響

本州では北上が著しく、各地でドウガネブイブイやヤマトアオドウガネを駆逐しつつ分布を広げている。
伊豆諸島では青ヶ島をのぞき、各島に侵入して個体数を増やしている。八丈島では10数年前から侵入し、2011年の調査では、沿岸部でほとんどの地域で、ヤマトアオドウガネに置き換わって優占種となっている。同時に従来ヤマトアオドウガネとともに多く見られたヒメコガネの生息数も減少している。
各地域における本州の優占種化については、単純な温暖化だけによる種類の変化とは考えられず、近縁な他種との生態を比較したうえでの要因の検討が必要である。
また、沖縄地方グループの人為的な分布域拡大として、奄美地方や先島地方へ侵入したと推定される結果が得られている。

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最終更新日:2020-08-11 ひろりこん

種・分類一覧