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- ミヤマクワガタ(Lucanus maculifemoratus)について
ミヤマクワガタ(Lucanus maculifemoratus)
- 【 学名 】
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Lucanus maculifemoratus Motschulsky, 1861
基本情報
- 分布
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国内:北海道、国後島、択捉島、奥尻島、本州、佐渡島、飛島、伊豆諸島、隠岐、淡路島、四国、九州、五島列島、甑島列島、大隅諸島黒島
国外:台湾、朝鮮半島、中国、ロシア南東部
参考文献
最終更新日:2020-05-21 瀬戸内味わいにぼし
- 亜種
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・maculifemoratus Motschulsky, 1861 原名亜種
・adachii Tsukawaki, 1994 伊豆諸島亜種
・taiwanus Miwa, 1936 台湾
・dybowskyi Parry, 1873 朝鮮半島、中国、ロシア南東部
参考文献
最終更新日:2020-05-21 瀬戸内味わいにぼし
形態
- 成虫の形質
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雄
体色は赤褐色から黒褐色。
羽化直後は金灰色の微毛が全身を覆っているが、活動するにしたがって徐々に脱落する。
大あごは内歯形状の違いによって「基本型」「エゾ型」「フジ型」の3つの型に分けられる。
基本型の大あごはやや下方内側に湾曲し、先端は二股に分かれ、4~5本の内歯があり、第一内歯と第三内歯がほぼ同長であり最も長い。
エゾ型は大あご先端の二股部が大きく開き、第一内歯は発達せず、短い。
大あご先端の二股部が短くて狭く、内歯は第一内歯が長く伸びる。
3つの型は大型個体ほど顕著であるが、中~小型個体でも認められる。
これらの型は幼虫時代の生息環境の温度条件により決定される。
頭部は、前縁中央に上向きの突起があり、後方両側に耳状突起が大きく張り出す。
この突起は大型個体ほど顕著になる。
頭楯は細く舌状で、前方斜め下へ伸長する。
複眼の縁取りは複眼の半分に達しない。
前胸背板は上翅幅より狭く、側縁は凹凸が少ない。
腿節の背面及び腹面に黄褐色部があり、中、後脛節先端部よりにも同様の特徴が出現する個体もいる。
ただし、エゾ型では腿節の黄褐色部は発達せず、ときには完全に消失する。
脛節には数本のとげがある。
雌
体色は赤褐色から黒褐色で光沢をもつ。
大あごは太く厚みがあり、内側に湾曲する。
頭楯は短く屋根型。前胸背板は背面が小点刻で密に覆われ、側縁は中央やや後方で最も幅が広く、その後方は内側に切れ込む。
上翅は点刻で密に覆われるが、その点刻は小さくて浅いため目立たない。
前脛節は幅広で内側に湾曲し、先端2外歯が発達する。
前・中・後腿節は雄と同様に黄褐色部があるが、前腿節の黄褐色部を欠くものも多い。
脛節には数本のとげがある。
伊豆諸島亜種
雄頭部後方の耳状突起の発達が悪く、大あごは短く、先端は小さく二股状となる。
雌では原名亜種に比べてやや腹部が大きい。
雄雌共に腿節の黄褐色部はよく発達し、黄色みが強い。
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最終更新日:2020-05-21 瀬戸内味わいにぼし
生態
- ライフサイクル
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雌は白色腐朽菌によって朽ちた立ち枯れの広葉樹に飛来し、地下部に潜り、根部周辺の土中に産卵するものと思われる。
孵化した1齢幼虫は土中を移動して水分含有量の多い根部にたどり着き、腐朽部を食す。
幼虫は孵化した年の冬を2齢で、翌年の冬を3齢で越し、2年目の初夏~初秋にかけて根部から脱出し、土中に楕円形の蛹室を作って蛹化する。
蛹期間約2週間を経て羽化した新成虫はそのまま蛹室内に留まり越冬、よくとしの初夏に地上に現れる。
参考文献
最終更新日:2020-05-21 瀬戸内味わいにぼし