- 解説一覧
- バッタ目(Orthoptera)について
基本情報
- 人間との関係
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トノサマバッタなど一部の種類のバッタはときおり大発生して集団で移動しながら作物を食い荒らすことがあり、これは「飛蝗」と呼ばれ特に中国、中央アジア、西アフリカで非常に恐れられる。
参考文献
最終更新日:2020-06-17 鍋
形態
- 成虫の形質
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跳躍のために顕著に発達した後脚が最大の特徴。体の大きさは微小のものから大型のものまで変化に富んでいる。頭部は球形〜縦卵形で、口は咬み型。
翅は普通4枚あり、よく発達するが、カマドウマ類やハネナシコロギスなどは完全に退化・消失しており、バッタ科のミカドフキバッタ類やキリギリス科のコバネヒメギスなどは翅が短くて飛べない。前翅は通常幅狭いが、広がりを見せることもある。後翅は扇子状で、長い縦脈を持ち、縦脈に沿って畳まれ、前翅下に収められる。コオロギ科、キリギリス科の多くのオスでは前翅が発音用に特殊化している。
産卵管の形状は変化に富んでおり、長い剣状・短い鎌状 (キリギリス類) 、長い槍状・短い薙刀状 (コオロギ類)・掘削型 (バッタ類) などの形状が見られる。
触角は通常単純な形態であり、糸状で体より長いものから、体より短く、やや太めになるものなどある。
キリギリスやコオロギ類では前脚脛節基方に、バッタ類では腹部第1節側方に聴器 (鼓膜) がある。
隠蔽擬態をするものが多く、特にキリギリス類では草木の葉に擬態するものが多い。
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最終更新日:2020-06-17 鍋
生態
- 成虫の食性
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食性は幅広く、植物食から雑食、肉食のものがいる。イナゴ科やバッタ科のものはイネ科植物を食べるものが多い。オンブバッタ科、フキバッタ属は主に広葉の植物を食べる。またツユムシ科、およびキリギリス科のクサキリ亜科は植物食である。同じキリギリス科のヤブキリやウマオイは、幼虫時代は植物質のものも多く食べるが、成長するに従って他の昆虫などの肉食がメインになる。一方、コオロギ科やカマドウマ科は多くが雑食である。
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- 発音(鳴き声)
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雄が発音するものが多く、特にキリギリスやコオロギ類では左右前翅によく発達した発音器を持っており、その部分の翅脈をこすり合わせて種特有の鳴き声を出す。これに応じ前脚脛節基方には聴器 (鼓膜) がある。発音は雌雄間のコミュニケーションの手段で、これによって交尾に至ることになる。
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- ライフサイクル
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不完全変態で、成虫までは普通5〜8回脱皮する。多くの種が春に孵化して秋に成虫になり、卵で越冬するという年1化型である。同じ卵越冬でも、静岡県以南のウスイロササキリやエゾツユムシは年2化、ヒナバッタは年3化以上する。
カマドウマやナツノツヅレサセコオロギ、エゾスズなどは幼虫越冬で春に成虫になって卵を産み、夏から秋に孵化する。ツチイナゴ、クビキリギスなどは成虫越冬する。
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