- 解説一覧
- トンボ目(Odonata)について
目次
基本情報
- 大きさ・重さ
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成虫体長:20〜150 mm
参考文献
- 朝比奈正二郎@枝重夫 2008 トンボ目 ODONATA 概説, 平嶋義宏、森本桂(監修) 原色昆虫大圖鑑. 北隆館. p. 23.
最終更新日:2020-06-18 鍋
- 別名・流通名・方言名
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奈良時代までは「秋津 (アキヅ) 」、平安時代になると「カゲロフ」と称された。幼虫の別名はヤゴ。
参考文献
- 横尾文子 2004 第1章 蜻蛉、呼称の推移に見られる象徴性, 上田哲行(編) トンボと自然観. 京都大学学術出版会. p. 23.
- 2015 トンボの生態学 - 書籍全体, 渡辺守(著) トンボの生態学. 東京大学出版会. .
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- 分類学的位置付け
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昆虫綱 トンボ目
世界でおよそ6000種ほど、日本では2008年の段階で201種17亜種が知られている。
参考文献
- 朝比奈正二郎@枝重夫 2008 トンボ目 ODONATA 概説, 平嶋義宏、森本桂(監修) 原色昆虫大圖鑑. 北隆館. p. 23.
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- 人間との関係
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かつて日本が「秋津島 (秋津州、蜻蛉州) 」とも呼ばれたように、日本人にとっては身近な昆虫の代表である。武士はトンボを「勝ちムシ」と考え、トンボの姿を兜の形の中に取り入れた。現在でも、各種美術工芸品の意匠に使われている。また、漢方薬として利用されたり、トンボをテーマにした童謡や詩も作られている。(渡辺, 2015, ⅱ-ⅲ)
参考文献
- 2015 トンボの生態学 - 書籍全体, 渡辺守(著) トンボの生態学. 東京大学出版会. .
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形態
- 成虫の形質
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大型または中型の細長い体躯の昆虫。2対の翅は大きく、決して折りたたまれることはない。前後翅はほとんど同形か、あるいは少し異なる。静止の際には翅を左右に開く種と垂直に閉じる種がいる。頭部は胸部より幅広く可動性。口器は咬み型で大顎は強大、触角は著しく退化しており微毛状。複眼が非常に発達しており、頭部の大部分を占める場合が多い。単眼は3個。脚は胸部の前方にあり、歩行に適さない。
羽化直後の成虫は体が柔軟で色彩が淡いが、成熟するに従って硬化し鮮明な体色に変わる。黒化が著しい種類や、体表に白粉を帯びる種類もいる。雌にはしばしば色彩や斑紋に異色的多型が見られる。
参考文献
- 朝比奈正二郎@枝重夫 2008 トンボ目 ODONATA 概説, 平嶋義宏、森本桂(監修) 原色昆虫大圖鑑. 北隆館. p. 23.
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- 幼体の形質
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幼虫はカンポデア (シミ) 型で、水中で生活するため直腸気管にエラを持つ。尾に3個のエラを持つものもおり、これらは尾鰓と呼ばれる。下唇が捕食のために変形している。水底生活の種類は体は扁平で暗褐色であるが、水草中で生活するものは緑色がかったものが多い。
参考文献
- 朝比奈正二郎@枝重夫 2008 トンボ目 ODONATA 概説, 平嶋義宏、森本桂(監修) 原色昆虫大圖鑑. 北隆館. p. 23.
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生態
- 成虫の生息環境
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主に水辺付近で見られる。未熟な個体は摂食のため1ヶ月前後水辺を離れるが、成熟すれば再び水域に飛来する。
参考文献
- 朝比奈正二郎@枝重夫 2008 トンボ目 ODONATA 概説, 平嶋義宏、森本桂(監修) 原色昆虫大圖鑑. 北隆館. p. 23.
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- 幼虫の生息環境
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流水中、あるいは止水中で生活する。
参考文献
- 朝比奈正二郎@枝重夫 2008 トンボ目 ODONATA 概説, 平嶋義宏、森本桂(監修) 原色昆虫大圖鑑. 北隆館. p. 23.
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- 成虫の食性
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カやアブ、ハエ、ハチ、小型の甲虫など、飛んでいる小昆虫を襲って捕食する。(渡辺, 2015, 46)
参考文献
- 2015 トンボの生態学 - 書籍全体, 渡辺守(著) トンボの生態学. 東京大学出版会. .
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- 幼虫の食性
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よく発達した捕獲仮面 (下唇) を用いて水生昆虫、ミジンコ、小エビ、イトミミズ、ボウフラ、オタマジャクシ、小魚といった小動物を捕食する。共食いも起こる。
参考文献
- 朝比奈正二郎@枝重夫 2008 トンボ目 ODONATA 概説, 平嶋義宏、森本桂(監修) 原色昆虫大圖鑑. 北隆館. p. 23.
- 2015 トンボの生態学 - 書籍全体, 渡辺守(著) トンボの生態学. 東京大学出版会. .
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- 成虫の天敵
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鳥、カエル、ムシヒキアブ、カマキリ、クモなどに捕食される。水面や水中で産卵中の雌が魚に捕食された例もある。(渡辺, 2015, 34)
参考文献
- 2015 トンボの生態学 - 書籍全体, 渡辺守(著) トンボの生態学. 東京大学出版会. .
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- 幼虫の天敵
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魚類、ザリガニ、カエル、鳥類などに捕食される。(渡辺, 2015, 37)
参考文献
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- ライフサイクル
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不完全変態の昆虫。多くは年1化だが、年2化のものや、1世代に2, 3年以上かかるものもいる。成虫の出現時期は属や種によって決まっており、春に現れるものと夏を中心に現れるものがいる。越冬態は種によって異なり、ホソミイトトンボ、オツネントンボ、ホソミオツネントンボは成虫で越冬する。
参考文献
- 朝比奈正二郎@枝重夫 2008 トンボ目 ODONATA 概説, 平嶋義宏、森本桂(監修) 原色昆虫大圖鑑. 北隆館. p. 23.
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- 活動時間帯
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昼間が主であるが、薄暮薄明を好む種類もいる。
参考文献
- 朝比奈正二郎@枝重夫 2008 トンボ目 ODONATA 概説, 平嶋義宏、森本桂(監修) 原色昆虫大圖鑑. 北隆館. p. 23.
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- 孵化・脱皮・羽化
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幼虫は10〜15回の脱皮を経て羽化する。羽化は水中から出て付近の植物等に止まって行われる。
参考文献
- 朝比奈正二郎@枝重夫 2008 トンボ目 ODONATA 概説, 平嶋義宏、森本桂(監修) 原色昆虫大圖鑑. 北隆館. p. 23.
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- 生殖行動
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交尾は飛翔しつつはじまり、まず雄が雌の頭部 (不均翅亜目) 、あるいは前胸部 (均翅亜目) を尾部付属器で把持し、第9腹節より精細胞を第2, 3節の副性器に移す。雌は腹部を曲げて生殖門をこれに接し、雄と雌が環状になって精細胞の受け渡しを行う。
参考文献
- 朝比奈正二郎@枝重夫 2008 トンボ目 ODONATA 概説, 平嶋義宏、森本桂(監修) 原色昆虫大圖鑑. 北隆館. p. 23.
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- 産卵
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卵は水中 (まれに水上) の植物の組織内、または水中に産み付けられる。均翅亜目は別の雄に雌が横取りされないように、雄が連結したまま産卵を行う (連結産卵) 。連結産卵を行わない不均翅亜目でも、雄が産卵中の雌の周囲に留まって警護するものがいる。
参考文献
- 朝比奈正二郎@枝重夫 2008 トンボ目 ODONATA 概説, 平嶋義宏、森本桂(監修) 原色昆虫大圖鑑. 北隆館. p. 23.
- 2015 トンボの生態学 - 書籍全体, 渡辺守(著) トンボの生態学. 東京大学出版会. .
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- 特徴的な行動
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完全な飛翔昆虫である。飛翔習性の観察から、"peacher" と "flyer" に分けられる。前者は活動時間帯に草の先端などで静止していることの多い種を指し、主に均翅亜目である。後者は常に活発な飛翔を行っている種で、主に不均翅亜目である。これらの活動形態の違いは均翅亜目と不均翅亜目の翅形の違いに起因している。均翅亜目は、前後の翅の形が似ているため、比較的単純な羽ばたき飛翔しかできず、長時間の飛翔が難しい。一方不均翅亜目は前後の翅の形が異なるため、飛行姿勢や速度、経路を細かく制御でき、ホバリングや滑空飛翔、種によっては宙返りを行うこともできる。
成熟した雄は縄張りを形成して雌を待つことが多く、侵入してきた別の雄に対しては攻撃を仕掛ける。攻撃はふつう威嚇や追飛からはじまり、体当たりや格闘が生じることもある。
参考文献
- 朝比奈正二郎@枝重夫 2008 トンボ目 ODONATA 概説, 平嶋義宏、森本桂(監修) 原色昆虫大圖鑑. 北隆館. p. 23.
- 2015 トンボの生態学 - 書籍全体, 渡辺守(著) トンボの生態学. 東京大学出版会. .
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