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カマキリ目(Mantodea)の分類 節足動物門(Arthropoda)
カマキリ目(Mantodea)の概要 昆虫綱(Insecta)

カマキリ目(Mantodea)

【 学名 】
Mantodea

基本情報

大きさ・重さ

小型のヒナカマキリは 18 mm, 大型のオオカマキリは 90 mm 以上

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最終更新日:2020-06-17

分布

日本全土。熱帯・亜熱帯に多く、寒冷地になると急速に減っていく。

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別名・流通名・方言名

オガメ・オガミムシ・ネギサマ

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分類学的位置付け

昆虫綱 カマキリ目
日本には2科6属9種が、世界には8科約2000種が生息。

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人間との関係

古くから人々によく知られていて、銅鐸にもその絵柄を見ることができる。害虫・益虫ともに餌にするが、害虫を食べるのでどちらかと言えば益虫。

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形態

成虫の形質

最大の特徴として、前足が変形して鎌になっている。鎌は腿節と脛節が変形してできたもので、内側にとげや細かい歯がはえていて、獲物をしっかりとつかむことができる。前胸が細長く伸長しており、その先端に頭部がつくが、頭は比較的小さく、前方から見ると逆三角形をしており、複眼がとても大きい。鎌形の前脚が強大であるのに対し、中脚・後脚は一般にたいへん細くて、しかも長い。胸部から腹部にかけては平たく、特に腹部は一般に幅広である。中には逆に細くなったり、極端に幅広になったものもいる。口は咬み型である。
多くのものは、一般の直翅類と同様、緑色や褐色の体色を持ち、葉の上などにいると目立たない。樹皮上に住む外国の種では、完全に樹皮と見まがうほど木肌を模しており、コケ群落の色彩に似せたりして、敵の目を欺いている。花上、特にピンク色のランの花上に来るものでは、ランの花に色も形も似せていたりする。

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幼体の形質

1齢幼虫の形態は親と似ているが、アリに似た姿を持つものも多い。

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卵の形質

卵鞘は一般的に卵の収まっている房室部と空気を取り入れる薄膜とがあり、上方末端に孵化時の脱出孔となる部分がある。堅牢な卵鞘はなまこ状のもの (コカマキリ等) や球状のもの (ハラビロカマキリ等) が一般的で、冬の低温に対し防温防湿の効果が優れて大きい。

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生態

成虫の生息環境

草原や林縁でよく見られる。東南アジアには樹上に住む種類や樹皮上にのみ生活している種類もある。餌をとるため花上に待ち伏せすることも多い。外国では砂漠の砂上に住むものも知られている。

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成虫の食性

例外なく肉食性で、鎌でチョウやハエなどの小昆虫を捕らえて食べる。自分より小さいものを捕食するのがほとんどであるが、鎌でつかめる太さのものであれば大型の昆虫にも手を出し、時には小さいトカゲやカエルなどを捕まえることもある。共食いも起こる。

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成虫の天敵

カマキリヤドリバエに寄生される。

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幼虫の天敵

徘徊性のクモ類やアリ類による捕食が多い。トカゲ類や鳥類による捕食も考えられるが、どの程度影響があるかについては調べられていない。またカマキリヤドリバエに寄生される。

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ライフサイクル

卵〜幼虫を経て蛹を経ずそのまま成虫になる不完全変態の昆虫である。日本のような温帯圏では、春の前半に孵化が起こり、一斉に幼虫が出てきて、その後幼虫は単独行動する。基本的に6〜7齢が終齢で、晩夏から秋に成虫になり、この時期に交尾・産卵が行われる。生殖を終えた成虫はやがて深まる秋の低温に耐えきれずに死んでしまう。一般的に卵で越冬、休眠する。多くの場合1年1化性である。

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活動時間帯

主に昼行性。

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孵化・脱皮・羽化

晩夏から秋にかけて羽化し、成虫になる。

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生殖行動

成熟した雄はフェロモンを頼りに雌を探す。雌を見つけた雄はただちに同種と判断し、雌に飛び乗って交尾が行われる。交尾は2時間ほど続き、この間に雄は精子の詰まった包み (精包) を雌に与えて、交尾が終了する。
交尾中に雄が雌に食われてしまう話はよく知られる。異常交尾は多くは雌が雄の頭部を食べてしまうことから起こる。無頭の雄は神経抑制が切れて、交尾行動が起こってしまい、そのまま雌と交尾してしまう。

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産卵

交尾して、腹のぼってりと太った雌はやがて木の枝などに産卵する。雌は尾端をくねらせ、腹端から泡状の分泌物を出し、最終腹板をこてのように用いて卵鞘を形成していく。産卵は5〜20回にわたって行われ、卵数はオオカマキリで260前後である。

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特徴的な行動

餌を見つけると、まず動きを止め、一瞬そこに凍りついたような状態になる。この時、前胸を持ち上げ、胸を上げたまま動かさず、頭だけは餌の動きを追って相手の動きを見ながら動かしていく。鎌は閉じられていて、左右の鎌を合わせて持ち上げ、ちょうどお祈りをしているような姿になる。獲物が少し離れると、再び不動状態になる。こうやって繰り返し接近を行なって、鎌の届く範囲に入ると、素早くこれを打ち下ろし、餌となる小昆虫を瞬間的に捕らえる。
外敵に遭遇すると、鎌を持ち上げてそれを左右に広げ、鎌の内側の朱色や紫色、黒色の斑紋を見せて敵を驚かす。さらに、胸と腹を互いに持ち上げ反らし、前後翅を持ち上げ、時には広げて威嚇する。中には後脚の腿節と脛節を擦って摩擦音を出すものもいる。

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その他生態

卵の寄生者としてカマキリタマゴカツオブシムシやオナガアシブトコバチなどが存在する。

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最終更新日:2020-06-17

関連情報

飼育方法

餌の供給さえ怠らなければそれほど手間のかかる生き物ではない。共食いを防ぐために個別に分けて飼育する。容器は市販の昆虫飼育ケースで十分であるが、体長の2倍以上の高さがないと脱皮に失敗する確率が高くなるので注意する。脱皮の際にはしっかりとした足場が必要なので、木の枝や金網を立てて入れてやるか、ケースの壁に網を貼るとよい。
餌は2日に1回程度、生きた昆虫を与える。ほとんど全ての昆虫が餌になるが、アリや表皮の固い甲虫類は好ましくない。餌のサイズが小さすぎると鎌でつかむことができず、逆に大きすぎると捕まえても逃げられてしまう。カマキリの頭部のサイズの1〜3倍ぐらいがちょうど良い。餌は野外で調達できるが、ペットの爬虫類の餌として市販されているコオロギやゴキブリを与えてもよい。生まれたばかりの1齢幼虫にはショウジョウバエやアブラムシを与える。水分も必要なので、やはり2日に1回程度は霧吹きで水を散布してやる。餌の食べ残しやカマキリの糞は定期的に取り除く。
繁殖させる際は、成熟した未交尾の雌雄を同じケースに入れておけば交尾する。オオカマキリの場合、雌は飼育ケース上部の固い部分に産卵する。

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種・分類一覧