- 解説一覧
- セグロアシナガバチ(Polistes jokahamae)について
目次
基本情報
- 大きさ・重さ
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・成虫体長 :20~26 ㎜
・卵の大きさ:長さ 2.5 ㎜
本種はキアシナガバチと並んで日本のアシナガバチでは最大。
参考文献
- 2012 虫の卵ハンドブック - 書籍全体, 鈴木知之(著) 虫の卵ハンドブック. 文一総合出版. .
最終更新日:2020-08-12 ひろりこん
- 人間との関係
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アシナガバチ類は幼虫の食物としてチョウ・ガの幼虫など各種の昆虫を狩る益虫であるが、人を刺すこともある。女王バチが巣を守っている間は人に対する攻撃性はほとんどないが、働きバチの羽化後は巣を守る習性が発達し、刺激すると攻撃するようになる。
腹端に毒針を持ち、刺されても大抵の人は痛みと腫れだけで数日後に回復するが、蜂毒にアレルギー体質の人は血圧低下、発疹、吐き気など全身症状を呈し、2回目以降は死亡することもある。
巣に刺激を与えたときの本種の攻撃性はやや強く、7~8月に草刈り、庭木や果樹の剪定などによって巣を振動すると働きバチの攻撃を受ける場合が多い。
また、8~9月にスズメバチの攻撃や台風などで巣を失うと、生き残ったハチが家屋内に浸入し、天井などに集団を作ることがある。越冬のためにも人家の屋根裏や山小屋の天井に数十~数百の集団を作ることがあるが、これらの個体に攻撃性はない。
参考文献
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形態
- 成虫の形質
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体は全体が黒色で、黄褐色の斑紋がある。翅はやや黄色く、外~後縁部はやや暗色。前伸腹節は黄斑を欠き、基部側方の角ばりは弱い。オスの触角先端は細まる。オスにはしばしば著しく黒化したものが出現する。
参考文献
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生態
- 成虫の生息環境
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平地および人家付近ではフタモンアシナガバチと並んでふつうに見られ、人家の軒、木の枝、岩陰などに下垂した巣を作る。女王巣の育房数は20~25房で、働きバチの羽化後は急速に発達し、大きい巣では300~400房をもつ。
巣は灰色で、巣柄を中心に円形または不整な円形に発達する。巣盤の背面は巣柄を中心に黒光りした上塗りがある。育房は直径 8~9 ㎜、深さ 25~50 ㎜で、中央部のものは周辺部に比べ深い。
参考文献
最終更新日:2020-08-12 ひろりこん
- 成虫の天敵
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ヒメスズメバチ
参考文献
- 牧野俊一 1998 セグロアシナガバチ, 日高敏隆(監修) 石井実、大谷剛、常喜豊(編) 日本動物大百科10:昆虫Ⅲ. 平凡社. p. 43.
最終更新日:2020-08-12 ひろりこん
- 幼虫の天敵
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幼虫に寄生するハチノスヤドリバチや、巣材や幼虫を食べるモモイロシマメイガが知られている。
参考文献
- 牧野俊一 1998 セグロアシナガバチ, 日高敏隆(監修) 石井実、大谷剛、常喜豊(編) 日本動物大百科10:昆虫Ⅲ. 平凡社. p. 43.
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- ライフサイクル
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越冬から目覚めた女王バチは、本州以南では4月下旬ごろより営巣をはじめ、5月下旬に働きバチが羽化する。雄バチ、新女王バチは8月中旬ごろに出現する。出現した雄、新女王は巣上に10月下旬ごろまで長期間とどまり、10月下旬から11月上旬にかけ、晴天の日、巣を離れ交尾する。
交尾を済ませた新女王は越冬に向かうが、壁面、石垣、木の枝、瓦の陰などで集団で一時生活する。気温の低下とともに集団はばらばらになり、越冬場所に移動する。越冬場所は比較的乾燥した暖かな場所で、瓦の下、石垣の隙間、板塀の裏などである。
参考文献
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- 生殖行動
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巣を離れたオスは、秋の暖かい日、壁のすき間など新女王の越冬場所のそばで待ち伏せ、やってきた新女王と交尾する。
参考文献
- 牧野俊一 1998 セグロアシナガバチ, 日高敏隆(監修) 石井実、大谷剛、常喜豊(編) 日本動物大百科10:昆虫Ⅲ. 平凡社. p. 43.
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- 特徴的な行動
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働きバチは羽化後2~3日で巣外に飛び立ち、木材の表面などから巣の材料を採集し、さらに数日後に最初の狩りを行うのがふつうである。成虫としての寿命は平均25~30日である。
羽化したオスは基本はたらかないが、働きバチから受け取った餌をかみほぐしたあとに幼虫に与えることがある。ただし、かんでいる時間が異常に長いので、養分を吸収したあとの残りかすを幼虫に与えるだけらしい。
参考文献
- 牧野俊一 1998 セグロアシナガバチ, 日高敏隆(監修) 石井実、大谷剛、常喜豊(編) 日本動物大百科10:昆虫Ⅲ. 平凡社. p. 43.
最終更新日:2020-08-12 ひろりこん
- その他生態
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基本的に一つの巣に女王バチは1匹しかいないが、ごくまれに複数の女王が共同で営巣する。女王は前年自分が羽化した巣の場所のそばに営巣することが多いので、周囲を探すと前年の巣が見つかることがある。
参考文献
- 牧野俊一 1998 セグロアシナガバチ, 日高敏隆(監修) 石井実、大谷剛、常喜豊(編) 日本動物大百科10:昆虫Ⅲ. 平凡社. p. 43.
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関連情報
- 味や食感
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コアシナガバチ、フタモンアシナガバチなどと同様に食用になる。長崎、栃木、奈良、島根、埼玉、静岡、鳥取、愛媛、高知、宮崎など多くの県で幼虫と蛹を揚げ物やつけ焼きなどにして食べていた。
白山山麓地帯ではかつて幼虫や蛹を食べていたが、山で働く人たちは、蛹をクワの葉に包んで炭火で焼いて、クワの葉と一緒におやつ代わりに食べていたという。岡山県の南部でもハチの子と言ってアシナガバチの幼虫を醤油と砂糖で煮て、おかずとしていた。
参考文献
- 2008 世界昆虫食大全 - 書籍全体, 三橋淳(著) 世界昆虫食大全. 八坂書房. .
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