- 解説一覧
- コアシナガバチ(Polistes snelleni)について
基本情報
- 活動時期
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成虫出現時期(日本国内):5~10月
参考文献
- 2012 昆虫好きの生態観察図鑑Ⅱ コウチュウ・ハチ・カメムシ他 - 書籍全体, 鈴木欣司、鈴木悦子(著) 昆虫好きの生態観察図鑑Ⅱ コウチュウ・ハチ・カメムシ他. 緑書房. .
最終更新日:2020-08-21 ひろりこん
- 人間との関係
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アシナガバチ類は幼虫の食物としてチョウ・ガの幼虫など各種の昆虫を狩る益虫であるが、人を刺すこともある。女王バチが巣を守っている間は人に対する攻撃性はほとんどないが、働きバチの羽化後は巣を守る習性が発達し、刺激すると攻撃するようになる。
腹端に毒針を持ち、刺されても大抵の人は痛みと腫れだけで数日後に回復するが、蜂毒にアレルギー体質の人は血圧低下、発疹、吐き気など全身症状を呈し、2回目以降は死亡することもある。
本種の攻撃性は弱いが、巣に近づくと翅を震わせて威嚇し、7~8月ころ、働きバチが多くなった時期に草刈りや選定などで巣を刺激すると、一斉に飛び出し刺しに来る。
参考文献
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形態
- 成虫の形質
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体は黒色で斑紋は赤褐色。前伸腹節上の2縦線、雌の腹部第1・3・4(雄では1・3・4・5)節の後縁などは黄色。
翅は半透明で、前翅前縁は暗色。雌の頭楯は橙黄色だが、雄は顔面黄色で銀色の微毛を密生する。
参考文献
最終更新日:2020-08-21 ひろりこん
生態
- ライフサイクル
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本州以南では、4月下旬より営巣がはじまる。働きバチは6~7月、雄と新女王バチは7~9月に羽化する。最盛期の働きバチ数は20~50個体となる。
日当たりのよい石垣、生け垣の中、木の枝、人家の軒下、板壁など比較的低い場所に、灰褐色でそり返った特徴的な舟型の巣を造る。女王巣の育房数は30~40房で、働きバチの羽化後の採集育房数は、寒冷地では40~100房にとどまるが、本州以南では300~500房に達する。
晩秋、交尾に成功した新女王バチは納屋の柱の隙間、立ち枯れになった木の割れ目などで越冬する。
参考文献
- 2012 昆虫好きの生態観察図鑑Ⅱ コウチュウ・ハチ・カメムシ他 - 書籍全体, 鈴木欣司、鈴木悦子(著) 昆虫好きの生態観察図鑑Ⅱ コウチュウ・ハチ・カメムシ他. 緑書房. .
最終更新日:2020-08-21 ひろりこん
- 産卵
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コアシナガバチの雄は初夏に生まれてくることがあり、この雄と働きバチが交尾することで、女王バチだけでなく働きバチも雌となる倍数帯の卵を産むことが知られている。
参考文献
- 小島純一 1998 アシナガバチ亜科, 日高敏隆(監修) 石井実、大谷剛、常喜豊(編) 日本動物大百科10:昆虫Ⅲ. 平凡社. pp. 40-42.
最終更新日:2020-08-21 ひろりこん
関連情報
- 味や食感
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セグロアシナガバチ、フタモンアシナガバチなどと同様に食用になる。長崎、栃木、奈良、島根、埼玉、静岡、鳥取、愛媛、高知、宮崎など多くの県で幼虫と蛹を揚げ物やつけ焼きなどにして食べていた。
白山山麓地帯ではかつて幼虫や蛹を食べていたが、山で働く人たちは、蛹をクワの葉に包んで炭火で焼いて、クワの葉と一緒におやつ代わりに食べていたという。岡山県の南部でもハチの子と言ってアシナガバチの幼虫を醤油と砂糖で煮て、おかずとしていた。
参考文献
- 2008 世界昆虫食大全 - 書籍全体, 三橋淳(著) 世界昆虫食大全. 八坂書房. .
最終更新日:2020-08-21 ひろりこん