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ハグロトンボ(Atrocalopteryx atrata)の分類 カワトンボ科(Calopterygidae)
ハグロトンボ(Atrocalopteryx atrata)の概要 Atrocalopteryx

ハグロトンボ(Atrocalopteryx atrata)

低危険種 (LC or LR/lc)

【IUCN】現時点での絶滅危険度の低い種

【 学名 】
Atrocalopteryx atrata Selys, 1853

基本情報

大きさ・重さ

・体長:19.5~28.0 mm
・中央鰓長:6.8~13.3 mm
・側鰓長:13.5~18.5 mm
・頭長:2.5~2.9 mm
・頭幅:3.6~3.9 mm
・触角長:3.3~4.0 mm
・後翅長:6.8~8.8 mm
・後腿節長:8.3~10.1 mm

参考文献

最終更新日:2020-06-29 キノボリトカゲ

分布

国内では本州、四国、九州に分布し、粟島、佐渡島、淡路島、隠岐、壱岐、対馬、五島列島、天草諸島、甑島列島の下甑島、南西諸島の種子島、屋久島などの離島にも産する。

国外では朝鮮半島から中国にかけて記録されている。

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別名・流通名・方言名

ゴクラクトンボとかホトケトンボ、カミサマトンボ、メクラトンボなどとよばれるのはこの独特のムードによる。

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分類学的位置付け

均翅亜目 カワトンボ科 アオハダトンボ属

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形態

成虫の形質

国内のトンボの中では例外的に縁紋が存在しない。雄には腹部腹面には白色紋がなく、雌も翅が一様に黒褐色であることで近縁種と区別できる。

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幼体の形質

幼虫は淡褐色あるいは淡い緑褐色をした細身の大きなヤゴ。

アオハダトンボに酷似しているが、体つきがひとまわり大きく、尾鰓の先端のまるみが強い。

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生態

成虫の生息環境

おもに平地や丘陵地の水生植物が繁殖するゆるやかな流れに生息するが、尾瀬ヶ原六兵衛堀(1500 m)などの高所の記録もある。

全国的にかなり普遍的に生息しているが、青森県や九州南部では産地が少ない。

幼虫はおおむね水中植物の茂みでそのなかにもぐるように植物体にしがみついて生活している。

成虫は東海地方では5月末から出現して10月中頃までみられるが、高知県や鹿児島県では11月下旬の記録もある。

羽化は水辺の挺水植物などに定位して行うことが多い。

未熟な個体は暗がりを好む性質が強く、水辺からやや離れたうす暗い林地に移って、林床でしばらく生活する。

初夏にこんもりとしげった神社の森陰でたくさんの個体を見かけるのは、すべて未熟な個体群である。

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ライフサイクル

卵期間2~3週間程度、幼虫期間1~2年程度(1~2年1世代)。幼虫で越冬する。

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生殖行動

雌を発見して雄は、雌の前でのホバリングや水面に後翅をつけるアピールを行い、雌が拒否しなければ連結して移精、交尾を行う(上が雄)。

交尾は数分で終わり、雌は産卵に向かう。

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産卵

雌は単独で水中に沈んだ植物組織内に産卵する。その間、雄は近くに止まって警護する。集団産卵や潜水産卵もみられる。

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特徴的な行動

黒い翅をヒラヒラと大きくはためかせてナヨナヨと飛ぶ行動はあまり活発でなく、うす暗い環境にまっ黒なトンボがとけこんで一種の幽玄さを感じさせる。

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種・分類一覧