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- アオハダトンボ(Calopteryx japonica)について
アオハダトンボ(Calopteryx japonica)
【環境省】現時点での絶滅危険度は小さいが、生息条件の変化によっては「絶滅危惧」に移行する可能性のある種
- 【 学名 】
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Calopteryx japonica Selys, 1869
基本情報
- 大きさ・重さ
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全長 雄 57~63 ㎜ 雌 55~59 ㎜
腹長 雄 41~48 ㎜ 雌 40~45 ㎜
後翅長 雄 31~37 ㎜ 雌 33~40 ㎜
幼虫 35~45 ㎜ 側尾鰓長 15~18 ㎜
参考文献
最終更新日:2020-05-10 瀬戸内味わいにぼし
- 分類学的位置付け
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始め、独立種 C. japonica として記載されたが、その後 Selys によってヨーロッパに広く分布するヨーロッパアオハダトンボ C. virgo Linne の亜種として訂正され、長年 C. virgo japonica としてあつかわれてきた。
しかし最近、形態及び斑紋に種レベルの相違があることが確認されて独立種に戻された。
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形態
- 成虫の形質
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雄の翅は多層膜干渉による構造色を持ち、成熟すると全体が青藍色に輝く。
国内のトンボでは例外的に縁紋が存在せず、雌には偽縁紋と呼ばれる白い斑紋が現れる。
雄は腹部第9・10節の腹面が白い。
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- 幼体の形質
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淡褐色あるいはやや緑がかった褐色をした細長い大きなヤゴ。
ハグロトンボに酷似しているが翅芽の幅がわずかに広く、後縁が丸みをおびてふくらみが大きい。
触角は短めで、第1節は頭部幅の1.0~1.2倍程度。
触角第2節は第3節より明らかに長い。
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生態
- 活動時間帯
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夜間、川の周囲の草の上で休息していた雄は、夜明けとともに活動を開始し、日の出から午前7時ごろまでは小昆虫の摂食を目的として静止場所から舞い上がってはすぐに戻ってしまう短い飛翔が多い。
雄のこのような小飛翔は午前8時を過ぎると少なくなり、以後は川の水面すれすれを素早く飛ぶ「縄張り確保」のための巡回飛翔が主体となっていく。
そのピークは正午前後となり、繁殖行動の日変化と対応している。
午後になると、このような「縄張り行動」に起因する活発な飛翔は減少し、午後3時を過ぎるころにはほとんど見られなくなる。
これに代わって午後4時を過ぎたころから穏やかでゆっくりとした飛翔が多くなり、これはねぐらを探す行動だと考えられている。
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- 生殖行動
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成熟雄は水辺の植物などに止まって縄張りを持ち、他の雄が接近すると激しく追い払う。
雌が現れると目の前で翅の輝きと腹部先端の白い部分を見せ、時に水面に浮かび数秒間流されてアピールしたのち、翅の偽縁紋を目印に雌をとらえる。
雌の偽縁紋を黒く塗りつぶすと、雄は目標を失って交尾できなくなる。
交尾は植物に静止しながら2~3分行われる。
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- 産卵
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産卵は雌が単独でごく浅い水中の植物組織内に行うが、しばしば集団産卵や潜水産卵も行う。
雌は単独で産卵し、雄は近くに止まって警護するが、雄の密度が高いと直接雌の翅に止まって警護することもある。
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