- 解説一覧
- ヤママユ(Antheraea yamamai)について
目次
基本情報
- 分布
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北海道・本州・四国・九州・対馬・屋久島。国外では台湾・朝鮮半島・中国・ロシア・スリランカ・インド・ヨーロッパに分布 (ヨーロッパのものは日本からの移入) 。
参考文献
最終更新日:2020-05-01 鍋
- 亜種
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以下の5亜種に分けられる。
・A. y. yamamai … 基亜種。本州・四国・九州・対馬・屋久島に分布。
・A. y. yoshimotoi … 奄美大島・沖縄本島に分布。
・A. y. ussuriensis … 北海道・中国北部・極東ロシアに分布。
・A. y. superba … 台湾に分布。
・A. y. bergmani … 朝鮮半島に分布。
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- 人間との関係
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まゆから糸をとる目的で飼育されてきた。飼育の歴史は古く、長野県穂高地方で江戸時代の天明年間(1781〜1789年)から始められ、古来この天蚕糸は珍重されてきた。
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形態
- 成虫の形質
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体色および翅の色はガ類では珍しく変異に富み、黄色、赤褐色、黒褐色など様々な色彩を持つ。翅は大きく、前後翅ともに太い横縞と大きな目玉模様がある。オスの触角は羽毛状で大きく、メスの触角は細い。また、オスの前翅の先はメスのものより突出する。成虫は口吻が退化しており、何も食べられない。
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- 蛹の形質
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蛹は褐色で体長 35〜45 mm 。雌の方が大きい。
繭は 25×50 mm 程度で緑色。両端がやや突出した俵形をしており、枝に固定させる繭柄を有する。
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- 幼体の形質
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孵化幼虫は頭が赤褐色、体色は黄色である。終齢幼虫は太いイモムシ型で各節背面が隆起しており、頭部がコバルトブルー色、体色が緑色で、葉色と保護色になっている。淡褐色の二次刺毛を持つ。
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生態
- 幼虫の食性
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主にクヌギ、アベマキ、コナラなどブナ科に属する植物の葉を食べる。その他、バラ科、ヤマモモ科、ヤナギ科、マンサク科に属する植物の葉も食べる。水を飲む習性がある。
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- ライフサイクル
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年1回の発生で、卵で越冬する。幼虫は4月中・下旬ごろに孵化し、4回の脱皮を経て終齢幼虫になる。老熟した幼虫は、6月上・下旬ごろ、孵化から50〜60日で繭を作りはじめ、3日ほどで葉と同色のまゆが完成する。まゆを作りはじめてからおよそ1週間で蛹化する。成虫は主に9月に羽化し、直ちに交尾する。幼虫の体は卵殻内で産卵後およそ10日で出来上がり、その状態で休眠・越冬する。
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- 活動時間帯
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ヤママユガ科の成虫は一般的に夜行性である。
参考文献
- 神保宇嗣@寺本憲之 2011 カイコガ上科, 駒井古実、吉安裕、那須義次、斉藤寿久(編) 日本の鱗翅類 系統と多様性. 東海大学出版会. p. 407.
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- 生殖行動
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交尾は夜間に行われる。交尾は蛹期や成虫の交尾期の温度、日射量、日長バランス、風量などが微妙に影響すると考えられ、雄と雌の成虫を1つの籠の中に入れても条件が整わないと交尾が成立しにくい。
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- 特徴的な行動
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ヤママユガ科に共通な習性として、よく灯火に飛来する。
参考文献
- 神保宇嗣@寺本憲之 2011 カイコガ上科, 駒井古実、吉安裕、那須義次、斉藤寿久(編) 日本の鱗翅類 系統と多様性. 東海大学出版会. p. 407.
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関連情報
- 飼育方法
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クヌギなどの飼料樹園を造成して、鳥やハチなどの天敵を避けるためにパイプハウスを組んでその上から飼育ネットをかぶせ、卵を直接飼料樹皮につけて飼育を行う山付け法や、室内で稚蚕飼育された2〜3齢幼虫を放す放飼育法が行われている。
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