- 解説一覧
- カイコ(Bombyx mori)について

基本情報
- 分類学的位置付け
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卵、幼虫、蛹、繭、成虫の形態上の差や生理上の差によって多くの品種が分けられており、色彩・斑紋・大きさ等の形態上の諸点だけでなく、眠性・化性なども品種によって差がある。
参考文献
最終更新日:2020-05-12 En
- 人間との関係
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カイコは5000〜6000年前に中国大陸で発見されたと考えられている。記録上では、中国でおよそ4600年前に黄帝がカイコを飼育させたという記述や、日本ではおよそ1800年前から飼育が始められたという記述がある。
日本で養蚕が始まったのは1~2世紀と言われている。中国の古代文献である『魏志倭人伝』には、邪馬台国の女王卑弥呼が魏の皇帝に絹を献上したと書かれている。
また、聖徳太子が6世紀に制定した『十七条憲法』には、農桑(農耕と養蚕のこと)の重要性が説かれている。生産された絹糸や絹織物は貴重品で、一般的に使用されることはなく、主に税として朝廷に納められた。奈良東大寺の正倉院には、当時の朝廷に献上された絹織物が今も残っている。
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形態
- 幼体の形質
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5(終)令幼虫の体色は一般に白色、第一胸節の背面には眼状斑紋、第二腹節の背面には C の字形に屈曲した一対の黒色の斑紋(いの字形)、第五腹節にも一対の星状斑紋をもつ。
しかし、斑紋は品種・系統によって異なる。幼虫の基本的な外部形態は一般的なガの幼虫と同じだが、カイコガの幼虫は、第二、第三胸節が大きくふくらんでおり、第八腹節の背面前域中央にはスズメガ科に属する幼虫と同じような尾角という円錐状の突起がついている。
孵化直後の幼虫は刺毛が目立っているために毛蚕(けご)と呼ばれ、また体表が黒っぽく一見アリのように見えるために蟻蚕(ぎさん)ともいう。
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- 卵の形質
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カイコの卵は一般に蚕種(さんしゅ)と呼ばれ、扁平な楕円形をしている。越冬期は、産下直後の卵は黄色だが、2〜3日経過すると藤紫色に変色する。孵化する日が近づくと、卵の横表面に幼虫の頭にあたる黒点が見えるようになり、さらに1〜2日後に薄青色に変化した後、幼虫が卵殻を食い破って出てくる。
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生態
- ライフサイクル
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卵で越冬する。一年あたりの世代数(化性)は品種・系統によって異なる。孵化した幼虫はクワの葉だけを食べ、 4回の脱皮を経て5令幼虫となる。このとき体内には、絹糸線という糸の元になる絹タンパク質が入った曲がりくねった細長い袋が出来上がっている。
終令幼虫は、体長 6〜7 ㎝ 、体重 5〜6 g 程度である。幼虫は行動範囲が狭く、餌がなくなっても、自分で歩いて餌を探そうとせず、たとえ野外の桑の木に放されても、枝を自由に移動して葉を食べるような習性はない。飼育が昔から室内で行われてきた結果であろう。
発育経過は飼育温度によって異なるが、孵化してからおよそ25日でクワの葉を食べなくなる。老熟した幼虫の体は徐々に細くなり、あめ色に変化してくる。あめ色になった老熟幼虫は、細くなった胸部を持ち上げたり、物をつたって上へ這い上がろうとしたりして、落ち着かない行動を取るようになる。
老熟幼虫は自分が気に入った場所を探して、そこで口器付近にある吐糸口(としこう)から絹糸を吐いて、最初に繭になる足場を作り、ついでその足場を利用して自分の体を包むようにして8の字形に絹糸を吐き、俵形の眉の形に仕上げていく。一般的な繭の重さは 2 g 程度である。
吐いた絹糸は繋がっていて、伸ばすと一本1200〜1500 m もの長い糸になる。繭1000粒からは 350〜400 g の生糸が取れる。繭は2〜3日で完成し、絹糸を吐き終わった老熟幼虫は、繭の中でもう一度脱皮して蛹になる。蛹は2週間くらい経ってから羽化する。繭の中で羽化した成虫は口からアルカリ性の液を出して繭をほぐし、頭と胸脚で押しかき分けて脱出する。脱出した直後の成虫の羽は縮んでいるが、しだいに伸びてくる。
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