- 解説一覧
- イラガ(Monema flavescens)について
基本情報
形態
- 成虫の形質
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前翅頂端から後縁にいたるわずかにS字状に曲がる横線があり、その外側は茶褐色、内側は黄色。細い外横線は外側の茶褐色部の中にあり明瞭。褐色の横脈紋はときに不明瞭。後翅は一様に淡褐色。触角は雌雄ともに糸状で、雄のほうが太い。
参考文献
最終更新日:2020-08-08 ひろりこん
- 蛹の形質
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淡泊褐色で太い黒色条斑がある。幼虫が蛹化のとき吐き出すたんぱく質により硬化し、シュウ酸カルシウムにより白くなることが知られている。
参考文献
- 2010 イモムシハンドブック - 書籍全体, 安田守(著) イモムシハンドブック. 文一総合出版. .
最終更新日:2020-08-08 ひろりこん
- 幼体の形質
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胴部は幅広く、A1が最も高く盛り上がり、A7が次いで盛り上がる。胴部は鮮やかな黄緑色、体表は光沢があり、全体に小顆粒を密布する。側面にはA1-A5にかけて細長い楕円形の紋がある。T2の亜背・側部に2対、A1とA7の亜背部、A8の側部、A9に1対の円錐状黄緑色の肉質突起が高く突出する。
T1は赤褐色~暗緑色で背楯に1対の黒斑を持つ。T2-A2、A6-A7とA7-A8の背域には大きなチョコレート色の斑紋があり、T2-A2の斑紋とA6-A7に広がる斑紋は青色の条で結ばれる。A6-A8の亜背域から側域にかけて1対のチョコレート色のひょうたん型斑紋をもつ。さらにA9の背域中央にチョコレート色楕円形斑と側域には1対のチョコレート色の小ひょうたん型斑をもつ。さらに、A9の背域中央にチョコレート色楕円形斑と側域には1対のチョコレート色の小ひょうたん型斑をもつ。A9の有刺肉質突起の背前方にはやや盛り上がったまるい淡褐色微毛が密生する円形刺毛群隆起をもつ。A3-A5の側域には2本の細い青色線が走る。気門下線は黄色でやや隆起する。気門は白色、気門輪は淡褐色。
肉質突起の先端部が皮膚に触れると毒が注入されると考えられている。毒液の成分はヒスタミンやなんらかの揮発性物質だと考えられているが詳細は不明である。
参考文献
最終更新日:2020-08-08 ひろりこん
生態
- 幼虫の食性
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クヌギ(ブナ科)、ハンノキ(カバノキ科)、クルミ類(クルミ科)、ヤナギ類(ヤナギ科)、ケヤキ(ニレ科)、モミジ類(カエデ科)、スズカケノキ類(スズカケノキ科)、ソメイヨシノ(バラ科)、カキノキ(カキノキ科)、チャノキ(ツバキ科)、サルスベリ(ミソハギ科)など各種広葉樹類
参考文献
最終更新日:2020-08-08 ひろりこん
- ライフサイクル
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通常年1化、ときに年2化。2化の場合、成虫は6~9月、幼虫は7~8月および8~10月に出現するが、8月下旬~9月に多い。越冬体は前蛹。
参考文献
最終更新日:2020-08-08 ひろりこん
関連情報
- 味や食感
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群馬県では冬にイラガの繭を採集して越冬中の前蛹を取り出し、焙烙鍋などで少量の塩を混ぜて煎って食べていた。
参考文献
- 2008 世界昆虫食大全 - 書籍全体, 三橋淳(著) 世界昆虫食大全. 八坂書房. .
最終更新日:2020-08-08 ひろりこん