- 解説一覧
- サカハチチョウ(Araschnia burejana)について
目次
基本情報
- 亜種
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・A. b. burejana Bremer, 1861 … 名義タイプ亜種。ロシア南東部に分布。
・A. b. strigosa Butler, 1866 … 日本産亜種。
日本産も名義タイプ亜種 burejana とされる場合もある。
参考文献
最終更新日:2020-05-28 鍋
- 分類学的位置付け
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昆虫綱 (Insecta) チョウ目 (Lepidoptera) タテハチョウ科 (Nymphalidae) タテハチョウ亜科
(Nymphalinae) タテハチョウ族 (Nymphalini) サカハチチョウ属 (Araschnia) サカハチチョウ (Araschnia burejana)
参考文献
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形態
- 成虫の形質
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小型。季節的変異が顕著で、春型では、翅表は黒い地色と橙色斑のまだら模様を示す。翅裏は赤褐色で、複雑な黄線模様が走り、前翅の翅頂近くと後翅の外中央に小白点とそれを縁取る不明瞭な淡色斑がある。夏型では、翅表の地色は黒色で、中央に太い白帯があり、亜外縁などに赤斑が並ぶ。翅裏は赤褐色で、白色〜黄白色の帯がある。
北海道に分布するアカマダラと似ているが、本種の方がはるかに大型である。また、後翅外縁中央部の突出は弱く、裏面の地色は明るくアカマダラのように暗色を帯びない。他に、夏型では、翅表亜外縁に赤斑が並ぶこと (アカマダラではこの赤斑はほとんどない) 、前翅表の中室外側の斜白斑が前縁に達しないこと (アカマダラでは最前縁に達す) などで区別される。
雌雄の区別に関してはアカマダラとほぼ同じで、雌は雄に比べて翅形が丸く、腹部が太い。また、春型の雄の翅表は雌より黒色部が広く、橙斑は小さい。夏型の雌では雄より白帯が広い。
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- 幼体の形質
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幼虫は全身に棘状突起があり、頭部の突起が特に長くなる。体色に関しては変異があり、全体が黒褐色のものや、地色は黒褐色だが背線や突起などは黄褐色になるものがいる。
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- 地理的変異
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北海道や本州の高地帯などでは、稀に春型と夏型の中間的な斑紋を持つ個体が発見されることがある。また隠岐諸島の個体は春型でも黒化することが知られている。
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生態
- 幼虫の食性
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幼虫はミヤマイラクサ・エゾイラクサ・ムカゴイラクサ・イラクサ・ホソバイラクサ・コアカソ・アカソ・クサコアカソ・メヤブマオ・ヤブマオなどのイラクサ科を食草とする。
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- ライフサイクル
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全国的にはふつう年2化で、第1化 (春型) は5〜6月、第2化 (夏型) は7〜8月に出現する。暖地では年3化 (4〜5月、6〜8月、8〜9月) 、寒冷地では年1化 (6〜7月) の場合もある。幼虫齢数は5齢で、蛹で越冬する。
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