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キタテハ(Polygonia c-aureum)の分類 Nymphalidae
キタテハ(Polygonia c-aureum)の概要 Polygonia

キタテハ(Polygonia c-aureum)

【 学名 】
Polygonia c-aureum Linnaeus, 1758

基本情報

大きさ・重さ

開長:50〜60 mm
幼虫体長:約 32 mm (終齢)

参考文献

  • 安田守 2010 キタテハ, 安田守(著) 高橋真弓、中島秀雄(監修) イモムシハンドブック. 文一総合出版. 33.

最終更新日:2020-05-06

活動時期

ほぼ一年中

参考文献

  • 白水隆 2006 キタテハ, 白水隆(著) 日本産蝶類標準図鑑. 学習研究社. 187.

最終更新日:2020-05-06

分布

北海道 (南西部)・本州・四国・九州。国外では朝鮮半島・中国・台湾・ベトナムなどに分布。

参考文献

  • 白水隆 2006 キタテハ, 白水隆(著) 日本産蝶類標準図鑑. 学習研究社. 187.

最終更新日:2020-05-06

生息状況

北海道は減少が著しく、かつては函館市、江差町などで珍しくなく、札幌市や平取町、苫小牧市などでも見られたが、最近は確実に見られる産地がない。その他の地域では普通に見られる。

参考文献

  • 白水隆 2006 キタテハ, 白水隆(著) 日本産蝶類標準図鑑. 学習研究社. 187.

最終更新日:2020-05-06

和名の解説

「黄色のタテハチョウ」の意味。

参考文献

  • 白水隆 2006 キタテハ, 白水隆(著) 日本産蝶類標準図鑑. 学習研究社. 187.

最終更新日:2020-05-06

亜種

日本産は名義タイプ亜種 c-aureum とされる。

参考文献

  • 白水隆 2006 キタテハ, 白水隆(著) 日本産蝶類標準図鑑. 学習研究社. 188.

最終更新日:2020-05-06

分類学的位置付け

昆虫綱 (Insecta) チョウ目 (Lepidoptera) タテハチョウ科 (Nymphalidae) タテハチョウ亜科 (Nymphalinae) タテハチョウ族 (Nymphalini) キタテハ属 (Polygonia) キタテハ (Polygonia c-aureum)

参考文献

  • 白水隆 2006 タテハチョウ科の分岐図, 白水隆(著) 日本産蝶類標準図鑑. 学習研究社. 173.

最終更新日:2020-05-06

形態

成虫の形質

中型のチョウ。表は橙色で、黒斑が広がる。裏は褐色を基調とした色。前翅外縁の中央部が凹み、後翅外縁の中央部には突起がある。
顕著な季節型を示し、秋型では夏型に比べて外縁部の凹凸が強く、翅表の地色は強く赤味を帯び、裏面の地色斑紋ははるかに濃色である。
秋型は特にシータテハに類似しているが、同一の季節型どうしを比較すると、本種はシータテハに比べて翅縁の外縁部の凹凸が弱く、後翅第4脈端の尾状突起が短いことなどで区別される。また、本種では前翅表面中室基部および後翅表面中室内に黒斑があるが、シータテハには全く出現せず、逆にシータテハの前翅表面第2室基部に現れる黒斑は本種では全く出現しない。また本種では前翅表面下部および後翅表面第2〜6室 (あるいは第2〜5室) の黒斑の上に藍色の小斑点が現れるが、シータテハでは絶対にこの小斑点は出現しない。さらに、シータテハの秋型の裏面には部分的にコケ状の暗緑色斑が現れる場合が多いが、本種の秋型にはこの暗緑色斑はない。
雌は雄に比べてやや翅形が幅広い。夏型では雌雄の色彩斑紋はほとんど同じである。一方秋型では裏面の色彩斑紋が明瞭に異なり、雌は地色褐色で外縁部が濃褐色だが、雄の地色は黄色を帯び、雲状紋が目立ち、外縁部の濃褐色部がない。

参考文献

  • 長谷川大・永幡嘉之・中村康弘・須田真一・矢後勝也 2019 キタテハ シータテハ, 日本チョウ類保全協会(編) フィールドガイド 増補改訂版 日本のチョウ. 誠文堂新光社. 231.
  • 白水隆 2006 キタテハ, 白水隆(著) 日本産蝶類標準図鑑. 学習研究社. 187~188.

最終更新日:2020-05-06

幼体の形質

地色は暗褐色または淡褐色で、各節に黄褐色の不連続な条と横線が入る。全身に黄褐色の棘状突起を持つ。

参考文献

最終更新日:2020-05-06

似ている種 (間違えやすい種)

シータテハ

参考文献

  • 白水隆 2006 キタテハ, 白水隆(著) 日本産蝶類標準図鑑. 学習研究社. 187.

最終更新日:2020-05-06

生態

成虫の生息環境

人家や公園、荒地、墓地、河川堤防など、主に平地〜低山地のカナムグラがよく生える草地に生息し、都市部にも多い。シータテハに比べて暖地を好む種である。

参考文献

  • 長谷川大・永幡嘉之・中村康弘・須田真一・矢後勝也 2019 キタテハ シータテハ, 日本チョウ類保全協会(編) フィールドガイド 増補改訂版 日本のチョウ. 誠文堂新光社. 231.
  • 白水隆 2006 キタテハ, 白水隆(著) 日本産蝶類標準図鑑. 学習研究社. 187.

最終更新日:2020-05-06

幼虫の生息環境

荒地のカナムグラなどに生息する。

参考文献

最終更新日:2020-05-06

成虫の食性

ヒメジョオン、オカトラノオなど各種の花を訪れて吸蜜する他、樹液、腐った果実などにも集まる。

参考文献

  • 長谷川大・永幡嘉之・中村康弘・須田真一・矢後勝也 2019 キタテハ シータテハ, 日本チョウ類保全協会(編) フィールドガイド 増補改訂版 日本のチョウ. 誠文堂新光社. 231.

最終更新日:2020-05-06

幼虫の食性

カナムグラ・アサ・カラハナソウなどのクワ科およびホソバイラクサなどのイラクサ科の植物を食草とする。

参考文献

  • 白水隆 2006 キタテハ, 白水隆(著) 日本産蝶類標準図鑑. 学習研究社. 187.

最終更新日:2020-05-06

ライフサイクル

暖地では年4, 5化、寒冷地では年2化。成虫で越冬し、越冬成虫は早春に出現して交尾・産卵する。それより生じた第1化 (夏型) は暖地では5月中旬〜6月上旬より出現し、以後9月ごろまで連続的に夏型の発生を繰り返す。9月ごろより秋型が出始め、11月まで羽化が続く。幼虫は全5齢。

参考文献

最終更新日:2020-05-06

活動時間帯

日中

参考文献

  • 長谷川大・永幡嘉之・中村康弘・須田真一・矢後勝也 2019 キタテハ シータテハ, 日本チョウ類保全協会(編) フィールドガイド 増補改訂版 日本のチョウ. 誠文堂新光社. 231.

最終更新日:2020-05-06

生殖行動

越冬成虫は越冬後に交尾する。

参考文献

  • 白水隆 2006 キタテハ, 白水隆(著) 日本産蝶類標準図鑑. 学習研究社. 187.

最終更新日:2020-05-06

特徴的な行動

成虫は日中、草地上を低く緩やかに飛び、葉上によく止まる。
幼虫は食草の葉をつづって巣を作り、その中に潜む。

参考文献

  • 長谷川大・永幡嘉之・中村康弘・須田真一・矢後勝也 2019 キタテハ シータテハ, 日本チョウ類保全協会(編) フィールドガイド 増補改訂版 日本のチョウ. 誠文堂新光社. 231.
  • 白水隆 2006 キタテハ, 白水隆(著) 日本産蝶類標準図鑑. 学習研究社. 187.

最終更新日:2020-05-06

種・分類一覧