- 解説一覧
- イシガケチョウ(Cyrestis thyodamas)について
目次
基本情報
- 亜種
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日本産は全て亜種 mabella (Fruhstorfer, 1898) とされるが、本土産と南西諸島産で形態にやや違いが見られることから、屋久島以北のものを亜種 kumamotensis (Matsumura, 1929) とする場合もある。
参考文献
最終更新日:2020-05-28 鍋
- 分類学的位置付け
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昆虫綱 (Insecta) チョウ目 (Lepidoptera) タテハチョウ科 (Nymphalidae) イチモンジチョウ亜科 (Limenitidinae) イシガケチョウ族 (Cyrestidini) イシガケチョウ属 (Cyrestis) イシガケチョウ (Cyrestis thyodamas)
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形態
- 成虫の形質
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中型のチョウ。オスの翅の地色は常に白色で、メスの地色は白色のものからかなり濃い黄色のものまで変異がある。表面全体に黒褐色の細条、後翅の外中央に褐色帯、前翅の後角や後翅の肛角部に橙斑がある。裏は表に似るが、やや淡色。翅形は縦長で尾状突起を持つ。
夏型のオスでは翅表前翅端の黒斑が強く発現する。メスではふつう夏型でもこの黒斑は発現しないが、稀に発現する個体もいる。低温期では地色が白色のものは雌雄の判別が難しく、腹部の形状を見る必要がある。
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- 幼体の形質
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特異な姿をしており、頭部に長く湾曲する1対の角状突起を持ち、第2腹節、第8腹節の背面にも大型の突起を持つ。体色は背面が鮮緑色で、気門下線の下は褐色。
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- 地理的変異
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八重山諸島に産するものは本土産のものに比べて一般的に大型になり、後翅藍色条外側の帯状斑は強く褐橙色を帯び、翅表の色彩はより鮮やかになる。この傾向は沖縄本島、奄美大島のものにも見られるが、北上するにつれてその発現は次第に弱くなる。
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生態
- 幼虫の食性
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幼虫はイヌビワ・ホソバイヌビワ・ムクイヌビワ・オオイヌビワ・オオバイヌビワ・ハマイヌビワ・イチジク・ガジュマル・アコウ・イタビカズラなどクワ科の Ficus 属を食草とする。そのほか沖縄ではヤエヤマネコノチチ (クロウメモドキ科) でも幼虫が発見されている。
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- ライフサイクル
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年3〜5化で、夏型 (第1化) は九州の低山地域では5月中旬ごろより出現し、以後発生を継続し、9月ごろまで夏型がみられる。9〜10月ごろより秋型が発生し、秋型は成虫で冬を越す。一般的に越冬するのはメスだけだが、オスが越冬した報告もある。南西諸島では通年発生する。幼虫は全5齢。
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- 特徴的な行動
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成虫は日中、樹上から地表付近までの様々な高さを、滑空を交え緩やかに飛翔する。葉上や地上に翅を開いて静止し、驚いたら葉の裏面に羽を水平に広げて止まる習性がある。
幼虫には造巣性が見られる。
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