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スミナガシ(Dichorragia nesimachus)の分類 Nymphalidae
スミナガシ(Dichorragia nesimachus)の概要 Dichorragia

スミナガシ(Dichorragia nesimachus)

【 学名 】
Dichorragia nesimachus Boisduval, 1836

基本情報

大きさ・重さ

開長:55〜65 mm
幼虫体長:約 55 mm (終齢)

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最終更新日:2020-05-09

活動時期

5〜6月, 7〜8月

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最終更新日:2020-05-09

分布

本州・四国・九州・奄美大島・徳之島・沖永良部島・沖縄本島・八重山諸島。国外では朝鮮半島・台湾・中国・ヒマラヤ・東南アジア島嶼部に分布。

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生息状況

各種開発や植林によって減少しているが、丘陵地〜山地の良好な樹林には広く生息している。

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和名の解説

「スミナガシ」という和名は、翅の模様が "墨流し" (昔宮中などで行われた遊びの一つで、流水中に墨を流して模様の変化を見て楽しむ) を想起させることに由来している。

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亜種

多くの亜種に分かれ、アッサム産が名義タイプ亜種となる。

・スミナガシ日本 (屋久島以北) 亜種 D. n. neisiotes (Fruhstorfer, 1898)
…青森県から九州 (対馬・屋久島) まで分布。

・スミナガシ八重山亜種 D. n. ishigakianus (Shirozu, 1952)
…八重山諸島に分布。日本 (屋久島以北) 亜種に比べてやや大型で、翅表の地色は藍色を帯びて暗く、白斑がややくすんで減退するのが特徴。

・スミナガシ沖縄亜種 D. n. okinawaensis (Shimagami, 1986)
…奄美大島・徳之島・沖縄本島に分布。色調は八重山亜種に似るが、前翅中室端の白条の発達が悪く、後翅亜外縁の黒色斑列が発達するなどの差がある。

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分類学的位置付け

昆虫綱 (Insecta) チョウ目 (Lepidoptera) タテハチョウ科 (Nymphalidae) イチモンジチョウ亜科 (Limenitidinae) スミナガシ族 (Pseudoergolini) スミナガシ属 (Dichorragia) スミナガシ (Dichorragia nesimachus)

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形態

成虫の形質

中型のチョウ。翅表は青緑色の光沢があり、外縁を中心に白色の斑紋が散らばり、後翅の中央付近に青斑が見られる。翅裏は暗色だが、前翅の中央部から外縁に細い白斑が目立つ。口吻が赤く、野外では目立つ。春型は夏型に比べて小型である。
メスは翅形がやや幅広いが色彩斑紋はオスと同じであり、外見による雌雄の区別は難しい。

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蛹の形質

蛹は虫食いのある枯れ葉のような姿をしており、野外で発見するのは難しい。

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幼体の形質

地色は濃緑色で、胴部に鞍掛状の白緑色部がある。1対の外側へ湾曲する大きな角状突起を頭部に持つ。

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生態

成虫の生息環境

平地〜山地の広葉樹林に生息。

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成虫の食性

クヌギ、タブノキなどの樹液や獣糞、ミミズなどの死骸に好んで集まり吸汁するほか、地面で吸水する性質も強い。

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幼虫の食性

幼虫はアワブキ・ミヤマハハソ・ヤマビワ (南西諸島ではナンバンアワブキやヤンバルアワブキ) などのアワブキ科植物を食草とする。

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ライフサイクル

日本本土では年2回の発生で、第1化 (春型) は5〜6月に、第2化 (夏型) は7〜8月に出現する。稀に第3化が散発的に9〜10月に見られることがある。石垣島・西表島では2月に第1化の採集記録があり、第2化が5月中旬より出現するので、年4化と推定される。幼虫は全5齢で、蛹で越冬する。

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活動時間帯

日中

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生殖行動

交尾しながら飛翔する際はオスがメスを連行する。

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特徴的な行動

飛翔は敏捷。オスは春は14〜16時の間、夏は夕刻に山頂などで占有行動を示す。メスも山頂に飛来して交尾が成立した例や、メスが占有行動を行った例も知られている。
中齢幼虫は食べ残した葉片を葉の中脈にカーテンのように吊るす習性がある。

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その他生態

終齢幼虫は葉表で生活する。
蛹化場所が変わっており、越冬蛹はほとんど例外なく、食樹の近傍に生ずる木本の樹枝上で、枝に枯れ葉の落ちかかった場所の下面またはその周辺に見出される。

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種・分類一覧