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ミカドアゲハ(Graphium doson)の分類 Papilionidae
ミカドアゲハ(Graphium doson)の概要 Graphium

ミカドアゲハ(Graphium doson)

【 学名 】
Graphium doson (Felder & Felder, 1864)

基本情報

大きさ・重さ

開長:55〜90 mm (開長)
幼虫体長:約 45 mm (終齢)

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最終更新日:2020-05-06

活動時期

4〜5月, 6〜9月

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最終更新日:2020-05-06

分布

本州 (近畿以南)・四国・九州・対馬・種子島・屋久島・奄美大島・徳之島・沖縄本島・八重山諸島 (石垣島・西表島)。世界的には東洋熱帯に広く分布。

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生息状況

食草が神社や市街地によく植栽される為、近年北上傾向にあり、岡山県や香川県、愛知県でも発生が確認されている。

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保全の取り組み

高知県高知市や山口県萩市などでは天然記念物に指定されている。

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亜種

・日本本土亜種 G. d. albidum (Wileman, 1903)
…後翅裏面中央帯外側の斑紋が橙黄色のものと、赤色のものがあり、前者を黄斑型、後者を赤斑型と呼ぶ。九州産は全て黄斑型、四国では両型を混産し、対馬産、紀伊半島産は全て赤斑型である。屋久島産は後翅外縁の白色縁毛が著しく目立つものが多い。

・沖縄・八重山亜種 G. d. perillus (Fruhstorfer, 1908)
…雄の斑紋が奄美大島以北のものに比べて強い青緑色を帯びる。稀に黄白色型も出現する。

そのほか、対馬産はやや小型で前翅およびその中央白帯が幅広く、後翅裏面の赤斑は本土産よりも発達が悪いため、tsushimanum Fujioka, 1981 という亜種名が用いられることもある。

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分類学的位置付け

昆虫綱 (Insecta) チョウ目 (Lepidoptera) アゲハチョウ科 (Papilionidae) アゲハチョウ亜科 (Papilioninae) アオスジアゲハ族 (Graphiini) アオスジアゲハ属 (Graphium) ミカドアゲハ (Graphium doson)

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形態

成虫の形質

大型で、翅形は細長い。表は黒色で、中央に淡青緑色 (あるいは黄白色) の帯が目立つ。裏も同様だが、後翅の外中央と基部に赤色〜橙黄色の斑がある。中央の青緑色 (黄白色) 帯は春型では幅広いが、夏型ではそれより狭い。
アオスジアゲハと似ているが、本種には前翅表裏の亜外縁および前縁に斑点列があるのに対し、アオスジアゲハにはないことで区別できる。
翅形、色彩斑紋は雌雄でほぼ同じであり、雌雄の判別は野外では困難だが、オスでは後翅内縁部が上に反り返って袋状に膨らむことで区別される。

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蛹の形質

蛹は多くは緑色で、稀に褐色のものもいる。中胸背面突起が体軸に対して鋭角をなして前方に突出する。アオスジアゲハではこの突起が体軸とほぼ直角になるので、その点で区別される。

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幼体の形質

終齢幼虫の体色は緑色。後胸部背側に円錐状の突起が2つあり、突起の表面には中心が黒色の黄色眼状紋をあらわす。アオスジアゲハに似ているが、前述の突起を結ぶ黄色条がない (アオスジアゲハでは顕著) ことで区別される。3齢幼虫はビロードのような黒褐色をしている。

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似ている種 (間違えやすい種)

アオスジアゲハ

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生態

成虫の生息環境

本来の生息地は照葉樹林だが、社寺林や公園、街路樹などにも生息している。

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成虫の食性

トベラやミカン類、ネズミモチ、グミなど各種の花を訪れて吸蜜する。雄は吸水性が強く、しばしば湿地に集団を形成するのを見かける。

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幼虫の食性

幼虫はモクレン科のオガタマノキ・タイワンオガタマ・タイサンボクを食草とする。稀にトウオガタマやホオノキにつくこともある。

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ライフサイクル

発生回数は九州北部では最大年3化で、第1化 (春型) はふつう5月上旬ごろから、第2化 (夏型) は6月下旬ごろから、第3化は8月上旬ごろから発生する。しかし全てがこれに従うわけではなく、第2化を生ずべき蛹がそのまま越冬し翌春に羽化するケースが頻繁に見られる。また、第2化を生ずべき蛹が2ヶ月以上休眠して8〜9月に羽化する場合もある。春季にはあらゆる経過のものがほとんど全部一斉に羽化すると考えられ、1年のうち春季に最も多くの個体数が見られる。蛹で越冬し、2冬越した記録もある。

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活動時間帯

日中

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生殖行動

交尾飛翔については、飛翔不能という記録と、雌が雄を連行していた記録が存在する。

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産卵

卵は食草の新芽や若葉の裏面に1個ずつ産み付けられる。最大産卵数は約40個。

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特徴的な行動

日中、高所をアオスジアゲハよりやや緩やかに飛翔する。

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種・分類一覧