- 解説一覧
- ミヤマカラスアゲハ(Papilio maackii)について
目次
基本情報
- 分類学的位置付け
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昆虫綱 (Insecta) チョウ目 (Lepidoptera) アゲハチョウ科 (Papilionidae) アゲハチョウ亜科 (Papilioninae) アゲハチョウ族 (Papilionini) アゲハチョウ属 (Papilio) ミヤマカラスアゲハ (Papilio maackii)
シナカラスアゲハ P. syfanius はこれまで別種とされてきたが、現在では本種の亜種とされている。
参考文献
最終更新日:2020-05-06 鍋
形態
- 成虫の形質
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大型のチョウ。表は黒色で、青緑色を主とした鱗粉が広がり美しく輝く。裏は黒色で、外中央に黄白帯があり、後翅亜外縁に赤斑列がある。
季節的な差はやや顕著で、夏型は春型に比べはるかに大型で、一般に前後翅表面の明色帯、後翅裏面の黄色帯はより発達が弱い。
よく似たカラスアゲハとは、後翅裏面に黄色帯 (またはその痕跡) があることで区別される。また、カラスアゲハでは前翅裏面の白帯が後方より前方に向かって広がり、前翅外縁と白帯の内側の線が並行ではないが、本種ではその白帯は等幅で、外縁にほぼ平行になる。翅形にも差があり、本種ではカラスアゲハよりも前翅先端が尖り、後翅の丸みが無く、後翅肛角の赤斑が小さい。
雌雄の違いに関しては、オスは前翅表面の中央下方にビロード状の性標があるほか、他種同様腹端の形状が異なることで区別される。
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最終更新日:2020-05-06 鍋
生態
- 成虫の生息環境
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北海道では平地〜山地、本州では低山地〜山地の樹林帯に生息するほか、地域によっては海岸部の樹林にも生息する。山地では標高が高くなるにつれてカラスアゲハよりも優占する。
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- 幼虫の食性
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キハダ・ヒロハノキハダ・カラスザンショウ・ハマセンダンなどのミカン科植物を食草とする。他種に比べて食草の選択性の幅が狭く、イヌザンショウ・カラタチ・各種のミカン類 (Cirus) ではほとんど生育できない。
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- ライフサイクル
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普通年2化で、暖地では春型 (第1化) は4〜5月、夏型 (第2化) は7〜8月に発生する。北海道の山地帯では春型は6月中旬〜7月中旬、夏型は7月下旬〜8月下旬に発生する。九州南部から屋久島にかけては年3化になる。幼虫齢数は5齢で、蛹で越冬する。
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