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- ギフチョウ(Luehdorfia japonica)について
ギフチョウ(Luehdorfia japonica)
【IUCN】現時点での絶滅危険度は小さいが、生息条件の変化によっては「絶滅危惧」に移行する可能性のある種
【環境省】絶滅の危険が増大している種
- 【 学名 】
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Luehdorfia japonica Leech, 1889
目次
基本情報
- 生息状況
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環境省レッドリスト−絶滅危惧II類 (VU)
近年、開発やスギ・ヒノキ植林による雑木林の減少と、人手不足で放置された林が荒廃したことにより、都市近郊の里山では数を減らしており、絶滅が危惧されている。
参考文献
最終更新日:2020-05-01 鍋
- 分類学的位置付け
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昆虫綱 (Insecta) チョウ目 (Lepidoptera) アゲハチョウ科 (Papilionidae) ウスバアゲハ亜科 (Parnassiinae) ギフチョウ族 (Zerynthiini) ギフチョウ属 (Luehdorfia) ギフチョウ (Luehdorfia japonica)
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形態
- 成虫の形質
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中型のチョウで、黄白色と黒の縞模様が特徴。後翅の亜外縁や肛角部近くに赤色や青色の斑紋があり、尾状突起を持つ。オスの体背面には長毛が密生し、メスは毛が少なく、前胸背に赤褐色毛を生ずる。翅の色彩斑紋は雌雄でほとんど差がない。
よく似たヒメギフチョウとは、前翅亜外縁の黄条が先端付近でずれて強く内側に曲がること、および後翅外縁にある紋がオレンジ色 (ヒメギフチョウは黄色) になることで区別できる。
2つの変異型が知られており、後翅赤色部が橙褐色に置き換わった型 (イエローテール型) と、縁毛が全て黄白色になった型 (イエローバンド型) がある。
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- 地理的変異
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地理的に軽微な変異が見られる。日本海側では、秋田県〜新潟県まで翅の黄色部がよく発達し、明るい印象を受ける。新潟県上越地方〜富山県あたりになると徐々に黄色部が減退し、福井県北部で顕著になっていく。福井県若狭地方〜鳥取県中部では、縁毛も黒色の割合が増え、黒い印象を受けるようになる。
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生態
- ライフサイクル
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年1化で、成虫は暖地では3月下旬〜4月下旬に発生し、最盛期は4月上旬ごろである。成虫の発生時期は北に行くほど、あるいは標高が高くなるほど遅くなり、最盛期はその地域のサクラの開花期とほぼ一致する。幼虫は6月下旬から7月前半に蛹化し、そのまま蛹で越冬する。
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- 特徴的な行動
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成虫は日中、森林の林床などの低い位置をやや緩やかに飛翔したり、高所をやや速く飛翔する。
若齢幼虫は葉裏で集団生活し、終齢になるにつれて分散する。
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