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ツマグロキチョウ(Eurema laeta)の分類 Pieridae
ツマグロキチョウ(Eurema laeta)の概要 Eurema

ツマグロキチョウ(Eurema laeta)

【 学名 】
Eurema laeta (Boisduval, 1836)

基本情報

大きさ・重さ

開長:35〜40 mm
幼虫体長:25〜27 mm (終齢)
(安田, 2012, p. 15)

参考文献

  • 2012 イモムシ ハンドブック② - 書籍全体, 安田守(著) 高橋真弓、中島秀雄(監修) イモムシ ハンドブック②. 文一総合出版. .

最終更新日:2020-05-22

活動時期

周年 (白水, 2006, p. 66)

参考文献

  • 2006 日本産蝶類標準図鑑 - 書籍全体, 白水隆(著) 日本産蝶類標準図鑑. 学習研究社. .

最終更新日:2020-05-22

分布

本州・四国・九州 (屋久島以北) 。分布北限は太平洋側では福島県、日本海側では福井県南部。国外では台湾、中国、インドシナ半島、インド、スリランカ、ジャワ島、フィリピン、チモール島、ケイ諸島、オーストラリアなどに分布。(白水, 2006, p. 66)

参考文献

  • 2006 日本産蝶類標準図鑑 - 書籍全体, 白水隆(著) 日本産蝶類標準図鑑. 学習研究社. .

最終更新日:2020-05-22

生息状況

分布は局所的で、かつては普通種だったが、農地開発や草地の管理放棄などによって全国的に減少が著しい。一方、静岡・愛知・岐阜では外来種のアレチケツメイで本種が発生し、近年個体数が増加している。

参考文献

  • 2019 フィールドガイド 増補改訂版 日本のチョウ - 書籍全体, 日本チョウ類保全協会(編) フィールドガイド 増補改訂版 日本のチョウ. 誠文堂新光社. .
  • 2006 日本産蝶類標準図鑑 - 書籍全体, 白水隆(著) 日本産蝶類標準図鑑. 学習研究社. .

最終更新日:2020-05-22

亜種

日本産は亜種 betheseba (Janson, 1878) になる。(白水, 2006, p. 66)

参考文献

  • 2006 日本産蝶類標準図鑑 - 書籍全体, 白水隆(著) 日本産蝶類標準図鑑. 学習研究社. .

最終更新日:2020-05-22

分類学的位置付け

昆虫綱 (Insecta) チョウ目 (Lepidoptera) シロチョウ科 (Pieridae) モンキチョウ亜科 (Coliadinae) ヤマキチョウ族 (Gonepterygini) キチョウ属 (Eurema) ツマグロキチョウ (Eurema laeta)

参考文献

  • 2019 フィールドガイド 増補改訂版 日本のチョウ - 書籍全体, 日本チョウ類保全協会(編) フィールドガイド 増補改訂版 日本のチョウ. 誠文堂新光社. .

最終更新日:2020-05-22

形態

成虫の形質

小型のチョウ。表裏ともに地色は黄色で、表には外縁黒帯がある。季節的変異は顕著で、夏型は小型で、雄の翅表は鮮黄色、前翅黒帯は後角に向かって次第に細まり、後翅の黒縁は細く黄色部との境界はやや鮮明である。雌の翅表は地色は淡黄色で、全面に黒鱗を散布するので黒っぽく見える。前翅黒縁は第1b室に達せず、後翅前縁角に幅広い暗色斑をあらわす。雌雄ともに裏面は無紋あるいはほとんど無紋である。秋型は夏型よりはるかに大型で、前翅外縁は直線状で翅端は裁断状を呈し、後翅裏面に互いに平行な2本の褐色条をあらわす。色彩斑紋および翅形は雌雄でほとんど同じであり、腹部の形態のほか、雄には前翅裏面中脈両側に沿って薄桃色の性斑がある (透かして見ると暗斑として認められる) ことで雌雄判別される。
秋型は特異な翅形と斑紋を持つのでキタキチョウと混同されることはないが、夏型はキタキチョウと誤認されることが多い。本種の夏型は一般的にキタキチョウよりはるかに小さく、前翅端が角張ること、キタキチョウでは前翅表外縁の黒帯が中央内側で凹み、後方で太くなるが、本種では中央内側では凹まず、後方ではほぼ消失することなどで区別される。

参考文献

  • 2019 フィールドガイド 増補改訂版 日本のチョウ - 書籍全体, 日本チョウ類保全協会(編) フィールドガイド 増補改訂版 日本のチョウ. 誠文堂新光社. .
  • 2006 日本産蝶類標準図鑑 - 書籍全体, 白水隆(著) 日本産蝶類標準図鑑. 学習研究社. .

最終更新日:2020-05-22

幼体の形質

幼虫は黄緑色で、黄色の気門線が目立つ。(安田, 2012, p. 15)

参考文献

  • 2012 イモムシ ハンドブック② - 書籍全体, 安田守(著) 高橋真弓、中島秀雄(監修) イモムシ ハンドブック②. 文一総合出版. .

最終更新日:2020-05-22

地理的変異

迷チョウとされる八重山諸島産の個体は、本土産の個体と比較して裏面が赤みを強く帯びる。(白水, 2006, p. 66)

参考文献

  • 2006 日本産蝶類標準図鑑 - 書籍全体, 白水隆(著) 日本産蝶類標準図鑑. 学習研究社. .

最終更新日:2020-05-22

似ている種 (間違えやすい種)

キタキチョウ・ミナミキチョウ・タイワンキチョウ (日本チョウ類保全協会, 2019, pp. 76-77)

参考文献

  • 2019 フィールドガイド 増補改訂版 日本のチョウ - 書籍全体, 日本チョウ類保全協会(編) フィールドガイド 増補改訂版 日本のチョウ. 誠文堂新光社. .

最終更新日:2020-05-22

生態

成虫の生息環境

平地〜山地の丈の低い草地に生息している。採草地や農地の畔、河川堤防など草刈りが頻繁に行われる場所や、河川の撹乱頻度が高くカワラケツメイの生える河川敷などで見られる。(日本チョウ類保全協会, 2019, p. 79)

参考文献

  • 2019 フィールドガイド 増補改訂版 日本のチョウ - 書籍全体, 日本チョウ類保全協会(編) フィールドガイド 増補改訂版 日本のチョウ. 誠文堂新光社. .

最終更新日:2020-05-22

成虫の食性

成虫はメドハギ、ヤハズソウ、ミヤコグサなど各種の花を訪れるほか、雄は盛んに湿地で吸水する。(日本チョウ類保全協会, 2019, p. 79)

参考文献

  • 2019 フィールドガイド 増補改訂版 日本のチョウ - 書籍全体, 日本チョウ類保全協会(編) フィールドガイド 増補改訂版 日本のチョウ. 誠文堂新光社. .

最終更新日:2020-05-22

幼虫の食性

幼虫の食草はカワラケツメイ・アレチケツメイ (マメ科) 。(日本チョウ類保全協会, 2019, p. 79)

参考文献

  • 2019 フィールドガイド 増補改訂版 日本のチョウ - 書籍全体, 日本チョウ類保全協会(編) フィールドガイド 増補改訂版 日本のチョウ. 誠文堂新光社. .

最終更新日:2020-05-22

ライフサイクル

年3〜4化で、第1化 (夏型) は5月下旬〜6月上旬ごろより出現し、以降発生を繰り返し、9月ごろ〜11月にかけて秋型が発生し、秋型は産卵することなく越冬に入る。越冬成虫は3月〜5月にかけて活動し、産卵する。幼虫齢数は5齢。

参考文献

  • 2019 フィールドガイド 増補改訂版 日本のチョウ - 書籍全体, 日本チョウ類保全協会(編) フィールドガイド 増補改訂版 日本のチョウ. 誠文堂新光社. .
  • 2006 日本産蝶類標準図鑑 - 書籍全体, 白水隆(著) 日本産蝶類標準図鑑. 学習研究社. .

最終更新日:2020-05-22

活動時間帯

日中 (日本チョウ類保全協会, 2019, p. 79)

参考文献

  • 2019 フィールドガイド 増補改訂版 日本のチョウ - 書籍全体, 日本チョウ類保全協会(編) フィールドガイド 増補改訂版 日本のチョウ. 誠文堂新光社. .

最終更新日:2020-05-22

生殖行動

交尾飛翔形式は雄が雌を連行するもの、雌が雄を連行するもの、雌雄交替飛翔の記録がある。(白水, 2006, p. 66)

参考文献

  • 2006 日本産蝶類標準図鑑 - 書籍全体, 白水隆(著) 日本産蝶類標準図鑑. 学習研究社. .

最終更新日:2020-05-22

産卵

雌は食草の双葉に産卵する。(白水, 2006, p. 66)

参考文献

  • 2006 日本産蝶類標準図鑑 - 書籍全体, 白水隆(著) 日本産蝶類標準図鑑. 学習研究社. .

最終更新日:2020-05-22

特徴的な行動

日中、草原を緩やかに飛翔する。発生場所周辺をあまり離れず、群生することが多い。越冬時には発生場所を離れ、周囲の樹林部へと移動する。越冬の際、キタキチョウは触角を翅の間に入れ外部からは見えないが、本種は触角を合わせて前方に突き出す。

参考文献

  • 2019 フィールドガイド 増補改訂版 日本のチョウ - 書籍全体, 日本チョウ類保全協会(編) フィールドガイド 増補改訂版 日本のチョウ. 誠文堂新光社. .
  • 2006 日本産蝶類標準図鑑 - 書籍全体, 白水隆(著) 日本産蝶類標準図鑑. 学習研究社. .

最終更新日:2020-05-22

種・分類一覧