- 解説一覧
- キマダラルリツバメ(Spindasis takanonis)について
キマダラルリツバメ(Spindasis takanonis)
- 【 学名 】
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Spindasis takanonis (Matsumura, 1906)
目次
基本情報
- 分類学的位置付け
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昆虫綱 (Insecta) チョウ目 (Lepidoptera) シジミチョウ科 (Lycaenidae) シジミチョウ亜科 (Lycaeninae) キマダラルリツバメ族 (Aphnaeini) キマダラルリツバメ属 (Spindasis) キマダラルリツバメ (Spindasis takanonis)
参考文献
最終更新日:2020-06-05 鍋
形態
- 成虫の形質
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小型。裏面の地色は淡黄色で、中央に細い銀色線を持つ黒条斑が複数走る。後翅の肛角部付近に橙斑が目立ち、2本の尾状突起がある。裏面の色彩は雌雄で同じである。翅表は雌では暗褐色で、雄では前後翅の基半に紫色の光沢をあらわすが、これがない個体もいる。確実な雌雄の判別方法としては、雄では前翅の翅頂が尖り、雌では丸みを帯びること、後翅裏面の1b+c脈に沿ってあらわれる黒条が雄では肛角付近の橙色斑まで達するのに対し、雌では途中で途切れることで区別される。
様々な型が知られている。裏面地色が橙色となるトラ型、後翅裏面の肛角の橙色斑が黄白色になるシマウマ型、裏面の黒条が発達し、内縁部が黒くなったネグロ型などがあり、それらの出現頻度は産地によって異なる。
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- 幼体の形質
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地色は赤褐色で、第8腹節背面に1対の伸縮する突起を持つ。第2, 3, 7腹節背面には蜜腺がある。終齢幼虫は頭部が前胸板から外にはみ出している。
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- 地理的変異
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岩手県産は、雄の翅表の紫色部が特に広く、前翅裏面内縁の2本の黒条がギザギザになる傾向がある。また中部地方産では、後翅裏面7脈のところで、下側の斑紋が上側の斑紋の外側に外れる傾向がある。鳥取県周辺のものでは、裏面の黒帯は細く、雄の翅表の紫色部は広い。滋賀県の東近江市付近に産するものでは、裏面の黒帯が幅広く、雄の翅表の紫色部は一般にやや狭い。広島県産は前翅裏面の内縁から2番目の黒条が切れて、2b室紋が外に外れる傾向があり、朝鮮半島産に似ていると言われる。
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生態
- 幼虫の生息環境
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幼虫は幼齢からハシブトシリアゲアリの巣中に見出される。蛹化間近の終齢幼虫や蛹はアリの巣中の浅いところやその付近の樹皮の隙間、樹皮上の割れ目や地衣類の下などから見出される。
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- ライフサイクル
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年1回の発生で、暖地では6月上・中旬から7月上旬、寒冷地では7月中旬から8月に成虫が出現する。幼虫はハシブトシリアゲアリと共生関係にあり、孵化後直ちにアリの巣に入り (幼虫自らアリの巣に入るのか、アリが幼虫を加えて巣に連れ込むのかは不明) 、アリに餌を与えられて育つ。幼虫齢数は6または7齢で、幼虫で越冬する。
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- 産卵
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卵はハシブトシリアゲアリが造巣しているアカマツ・クロマツ・アキグミ・ソメイヨシノ・ヤマザクラ・ヤエザクラ・クリ・キリ・クワ・カエデ・カシワなどの樹上や枝上で、アリの巣の近くの樹皮の割れ目や地衣類の下に産み付けられる。記録された最大産卵数は46個。
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- 特徴的な行動
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雄は夕刻 (16:30〜17:30ごろ) 占有行動を取り、日当たりの良い葉上に翅を半開きにして静止し、ときおり付近を敏速に飛翔して元の場所に戻る。雌は午後〜夕方、発生木付近をやや緩やかに飛翔する。
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- その他生態
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幼虫は蜜腺から分泌液を分泌してアリに与える。アリの巣を刺激したり、タンパク質が不足するとアリは本種の幼虫や蛹を捕食してしまうことが知られている。
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