- 解説一覧
- ウラゴマダラシジミ(Artopoetes pryeri)について
目次
基本情報
- 生息状況
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東京付近では平地の雑木林にも少なくないが、暖地では稀で、九州では産地は主として山地に限られる。
人里に近い生息地では、開発などにより生息環境が狭まりつつある。
参考文献
最終更新日:2020-06-02 鍋
- 分類学的位置付け
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昆虫綱 (Insecta) チョウ目 (Lepidoptera) シジミチョウ科 (Lycaenidae) シジミチョウ亜科 (Lycaeninae) ミドリシジミ族 (Theclini) ウラゴマダラシジミ属 (Artopoetes) ウラゴマダラシジミ (Artopoetes pryeri)
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形態
- 成虫の形質
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小型。翅表は濃い青〜青紫色で、外縁付近は黒帯で縁取られる。裏は灰白色の地色に外中央部〜亜外縁にかけて2列の黒点列がある。ルリシジミ類に類似するが、裏面の特徴から識別は容易。
色彩斑紋は雌雄でほぼ同じだが、雌は翅形がより幅広く、翅表の青色部の白斑がやや大きいこと、雄は青色部の色彩が雌に比べて紫色を帯びることで区別される。
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- 卵の形質
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卵は中央部が盛り上がる麦わら帽子状をしている。
産卵後間もない卵は雌の分泌物によって濃赤褐色を呈するが、孵化までの間に次第にその色彩は褪せる。
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- 地理的変異
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北海道産は小型。陸中地方と中部地方の山地帯に産するものは翅表が黒化し、青色部が減退する。四国産はふつうこれよりさらに強く黒化し、後翅表は一様に黒色となり、裏面では翅脈に沿う細い暗条が顕著である。ただし、稀に他の地域のものと区別できない個体も出現する。これらの黒化型は静岡県西部〜愛知県東部、神奈川県、山梨県、隠岐、熊本県や宮崎県からも発見されている。
また、青森県北部と北海道渡島半島の一部では、裏面の外縁斑列が消失する型が得られている。
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生態
- ライフサイクル
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年1化で、関東地方の平地から低山地では5月下旬から出現し、6月上〜中旬に最盛期を迎える。岩手県では6月下旬より発生して8月上旬に及ぶ。卵で越冬し、卵は早春、食樹が芽吹くとともに孵化する。幼虫齢数は4齢。
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- 特徴的な行動
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雄は林縁の小高い位置に一定のコースをとってやや速く飛ぶ。他の個体や銀白色のものに関心を持ち、ミラーなどの人工物に引かれることもある。雌の行動は緩慢。
孵化した初齢幼虫はミドリシジミ亜族の他の種のように新芽に食い込まず、芽の付け根の枝または新芽の横に糸を吐いて静止する。
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