- 解説一覧
- ショウブ(Acorus calamus)について
ショウブ(Acorus calamus)
【IUCN】現時点での絶滅危険度の低い種
- 【 学名 】
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Acorus calamus L.
基本情報
- 分布
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アジアに広く分布するほか、アメリカやヨーロッパでも自生の状態になっている。
我が国にも自生するものが多いが、これは古代に中国から入ったとする説もある。
参考文献
- 伊澤一男 1998 ショウブ, 伊澤一男(著) 薬草カラー大事典:日本の薬用植物すべて. 主婦の友社. 834.
最終更新日:2020-05-22 ハリリセンボン
- 和名の解説
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和名は菖蒲を日本読みにしたものである。しかしこの菖蒲という漢名は、正しくは庭の下草などに植えられているサトイモ科のセキショウの漢名である。
本種の漢名は白菖である。
参考文献
- 山田卓三 1992 ショウブ, 山田卓三(著) 山田卓三(監修) 野草大百科. 北隆館. 394.
最終更新日:2020-05-22 ハリリセンボン
- 別名・方言名
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方言名:コンサイロ、ソドメ、ノキシノブ、アヤメグサ、ウタカタグサ、ノキアヤメ、フキクサ、フキショウブなどがある。
参考文献
- 山田卓三 1992 ショウブ, 山田卓三(著) 山田卓三(監修) 野草大百科. 北隆館. 394.
最終更新日:2020-05-22 ハリリセンボン
- 人間との関係
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ほととぎす 待てど来鳴かず あやめぐさ たまに貫く日を いまだ遠みか(大伴家持)
『万葉集』8巻の中の歌である。
この中のあやめぐさは今日のショウブのことで、「ほととぎすが来るのを待っているが、まだ来て鳴かない。しょうぶを通して作った薬玉を飾る五月五日の日は、まだ遠いのであろうか」という意味で、宮内で端午の節句を待つ様子を歌にしてある。
この歌の中の薬玉は、古代中国の風習によるもので、平安のころ、盛んに用いられた。
ジャコウや丁子などの香料を玉にして袋に入れ、糸で飾り、ショウブやヨモギをあしらったもので、邪気を避けるために、端午の節句に、すだれや柱にかけた。これは現在でも行われている。
また、端午の節句に、軒端にショウブとヨモギを束にして差す行事は、平安のころの薬玉の行事の名残である。
戦国時代になると武勇が尊ばれるようになり、「尚武」にかけて男子の節句に飾ったり、頭に巻いたりする行事になった。
【成分】
精油を含み、この中にアザロン、オイゲノール、メチルオイゲノールなどを含む。
【薬効と用い方】
神経痛、リウマチに用いられる。薬湯料として、細かく刻んだ根茎を軽く一握り分布袋の中に入れ、まず鍋で適当量の水で煮沸し、冷めないように袋ごと湯せんに移して入浴する。
参考文献
- 伊澤一男 1998 ショウブ, 伊澤一男(著) 薬草カラー大事典:日本の薬用植物すべて. 主婦の友社. 834.
- 山田卓三 1992 ショウブ, 山田卓三(著) 山田卓三(監修) 野草大百科. 北隆館. 394.
最終更新日:2020-05-22 ハリリセンボン
形態
- 葉の形質
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葉は根茎の先から、かたまって何枚も直上し、もとのほうは互いに抱き合って2列に並び、70 cmぐらいになる。
剣状にとがり、やや厚くつるつるしていて香りがある。
参考文献
- 伊沢凡人 1980 ショウブ, 伊沢凡人(著) 原色版日本薬用植物事典. 誠文堂新光社. 113.
最終更新日:2020-05-22 ハリリセンボン
- 茎(幹)の形質
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太い円筒状の根茎が横に長く伸び増えるので、普通群をなす。
色は白~淡黄色で、ときに赤味がさし、節がたくさんあって香りがある。
参考文献
- 伊沢凡人 1980 ショウブ, 伊沢凡人(著) 原色版日本薬用植物事典. 誠文堂新光社. 113.
最終更新日:2020-05-22 ハリリセンボン
- 根の形質
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根は根茎の下から出ていて髭状である。
参考文献
- 伊沢凡人 1980 ショウブ, 伊沢凡人(著) 原色版日本薬用植物事典. 誠文堂新光社. 113.
最終更新日:2020-05-22 ハリリセンボン
- 花の形質
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一見、葉のように見えてそれより細い花茎の中ほどに、斜横にでた軸状に肉穂状に密に集まってつき、花序の長さは約 5 cm、淡黄緑色で細かい。
両性花で、花被6、雄しべは飛び出して6、花糸は白く葯は黄色である。雌しべは1、子房は円状楕円形で柱頭は頭状である。
参考文献
- 伊沢凡人 1980 ショウブ, 伊沢凡人(著) 原色版日本薬用植物事典. 誠文堂新光社. 113.
最終更新日:2020-05-22 ハリリセンボン
生態
- 生育環境
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日のあたる池のへりや溝のそばに生息する。
参考文献
- 伊沢凡人 1980 ショウブ, 伊沢凡人(著) 原色版日本薬用植物事典. 誠文堂新光社. 113.
最終更新日:2020-05-22 ハリリセンボン
関連情報
- 栽培方法
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【採取時期】
11月から次の年の3月ごろまでか、または夏8~9月に根茎を掘り取る。髭根を除いて、きれいに水洗いしたのち、日干しにする。
参考文献
- 伊澤一男 1998 ショウブ, 伊澤一男(著) 薬草カラー大事典:日本の薬用植物すべて. 主婦の友社. 834.
最終更新日:2020-05-22 ハリリセンボン