- 解説一覧
- ウド(Aralia cordata)について
基本情報
- 分布
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日本全土、朝鮮半島、中国に分布する。
参考文献
- 八田洋章 1997 ウド, 八尋洲東(編) 植物の世界3,種子植物 双子葉類3. 朝日新聞社. 130₋131.
最終更新日:2020-05-22 ハリリセンボン
- 人間との関係
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「山でうんまいもんオケラにトトキ、まだうんまいもんウド、ワラビ」と都々逸で歌われたように、ウドは独特の香りと風味をもち、古くから山菜や薬草として親しまれてきた。
作物としての栽培も盛んで、茎を軟化させて食べる茎菜類の1種である。
いくつかの品種群が分化しており、また栽培の技術も進んで、1年中賞味できるが、普通は秋の終わりごろ地上部の枯れた株の上に 50 cmくらい盛り土し、4~5月ごろ長さ 65 cmほどに伸びた真っ白いもやし状の若い根茎を収穫する。
サラダ、酢味噌和え、煮物などにして食べる。てんぷらにも好適である。
「吉野椀 短冊独活に桜鯛」晩春から初夏の季節感にあふれるこの川柳。黒塗りの上に宋うるしで花鳥をあしらった吉野塗のおわん、ふたをとるとウドの香りが鼻をつくというものだが、独活と書いてウドと読ませている。
また多くの本草書にも、この字のほかに土当帰を使っているが、現在では、これは誤りであるとされている。
独活はセリ科のシシウドと、中国産ハナウドの一種の根、土当帰は中国産セリ科のシシウド属の一種の根とされており、いずれもウコギ科ではない。セリ科の多年草の根である。
いまのところ、ウドの漢字名ははっきりしていない。
ウドは野生が多いが、一般に八百屋の店頭に出るのは、温度25℃くらいの室で軟化栽培したものである。野生も栽培種もウドに変わりはない。
『本朝食鑑』(1697)には、「高さ4~5尺、あるいは7~8尺より1丈余り伸びたときは食べてはいけない」と記してあるが、ウドの大木のたとえではないが、まずくて食べられないということもあろう。
ウドは香気と歯ざわりにその生命がある。新鮮なものの皮をむき、適当に切って塩少量加えた水でアク抜きしてから、酢の物や塩をつけて生で食べる。
【成分】
ジテルペンアルデヒドのほかアミノ酸、タンニンなどが含まれている。
【薬効と用い方】
頭痛、めまい、歯痛に用いられる。よく乾燥した根茎を1日 15 g、水 400 ㏄で半量にまで煎じて、1日3回に分けて服用する。食前、食後どちらに飲んでもよい。
参考文献
- 八田洋章 1997 ウド, 八尋洲東(編) 植物の世界3,種子植物 双子葉類3. 朝日新聞社. 130₋131.
- 伊澤一男 1998 ウド, 伊澤一男(著) 薬草カラー大事典:日本の薬用植物すべて. 主婦の友社. 487.
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形態
- 葉の形質
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葉は長柄について互生し、2回羽状複葉で、小葉は卵形~楕円形をしている。
先は尖り、へりは歯状に細かく切れ込み、表面には細毛がある。長さは 0.5~1 mである。
参考文献
- 八田洋章 1997 ウド, 八尋洲東(編) 植物の世界3,種子植物 双子葉類3. 朝日新聞社. 130₋131.
- 伊沢凡人 1980 ウド, 伊沢凡人(著) 原色版日本薬用植物事典. 誠文堂新光社. 29.
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- 茎(幹)の形質
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根茎はふくらみ香りがあり、茎は円柱状中実で毛があり、若いうちは香るが、しまいには木質化する。高さは 1~1.5 mになる。
参考文献
- 伊沢凡人 1980 ウド, 伊沢凡人(著) 原色版日本薬用植物事典. 誠文堂新光社. 29.
- 山田卓三 1992 ウド, 山田卓三(著) 山田卓三(監修) 野草大百科. 北隆館. 192.
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- 花の形質
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茎の上部からのびた長い軸に、だいたい総状に花序がつき、1花序は散形球状で淡緑色である。上部は両性花、下部は雄花となる。
花弁5、雌蕊5、下位子房、花柱5、下位子房、花柱5である。
参考文献
- 八田洋章 1997 ウド, 八尋洲東(編) 植物の世界3,種子植物 双子葉類3. 朝日新聞社. 130₋131.
- 伊沢凡人 1980 ウド, 伊沢凡人(著) 原色版日本薬用植物事典. 誠文堂新光社. 29.
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- 果実の形質
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果実は卵状球形で直径 3 cmほど、秋に紫黒色に熟す。
参考文献
- 八田洋章 1997 ウド, 八尋洲東(編) 植物の世界3,種子植物 双子葉類3. 朝日新聞社. 130₋131.
- 伊沢凡人 1980 ウド, 伊沢凡人(著) 原色版日本薬用植物事典. 誠文堂新光社. 29.
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生態
- 生育環境
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日の差し込む野や丘陵疎林下に生息する。
谷沿いなどのやや湿った草地や崩壊地に多く、ときに群生する。
参考文献
- 八田洋章 1997 ウド, 八尋洲東(編) 植物の世界3,種子植物 双子葉類3. 朝日新聞社. 130₋131.
- 伊沢凡人 1980 ウド, 伊沢凡人(著) 原色版日本薬用植物事典. 誠文堂新光社. 29.
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関連情報
- 栽培方法
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ウドは古くは盛り土軟化法といって、秋から冬に盛り土し、そこから頭を出したところで掘り出して収穫していた。
また芽の出る前にもみがらなどをかぶせ、軟化栽培していたが、現在は温度25℃くらいの室で軟化栽培している。
【採取時期】
秋に野生のウドの根茎を掘り取り、水洗いしてから薄く切片状にして、初め3~4日は日干しする。そのあとで風通しのよい所で陰干しして、乾燥させる。
参考文献
- 伊沢凡人 1980 ウド, 伊沢凡人(著) 原色版日本薬用植物事典. 誠文堂新光社. 29.
- 山田卓三 1992 ウド, 山田卓三(著) 山田卓三(監修) 野草大百科. 北隆館. 192.
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- その他
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東京、埼玉、千葉、群馬、愛知など、大都市周辺が主産地となっている。
参考文献
- 八田洋章 1997 ウド, 八尋洲東(編) 植物の世界3,種子植物 双子葉類3. 朝日新聞社. 130₋131.
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