- 解説一覧
- クリ(Castanea crenata)について
クリ(Castanea crenata)
【IUCN】現時点での絶滅危険度の低い種
- 【 学名 】
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Castanea crenata Siebold & Zucc.
目次
基本情報
- 和名の解説
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①果皮の色から、クリ(黯)の意味。またはクロ(黒)の転。
②落ちた実が石のようであることから、石を意味する古語クリの転。
③クルクル転がる実のようすから。
④樹実を意味するクラから。
⑤朝鮮語kulによる。ほかにも諸説ある。
参考文献
最終更新日:2020-04-30 キノボリトカゲ
- 亜種・変種・品種
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トゲナシグリ、シダレグリ、ヤツブサグリ
参考文献
- 志村勲@堀田満@緒方健@飯島吉晴@田中謙一@鈴木晋一@辻静雄 1989 Castanea Mill. クリ属, 堀田満、緒方健、新田あや、星川清親、柳宗民、山崎耕宇(編) 世界有用植物事典. 平凡社. pp. 227-228.
最終更新日:2020-04-30 キノボリトカゲ
- 人間との関係
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堅果の果皮と渋皮を取り除いて食用とする。糖分が多く甘味があり、栗飯や焼き栗のほか羊羹、きんとん、マロングラッセなどの菓子材料とする。花は蜜源となる。
材は環孔材で、木目は粗く、辺材は淡黄白から淡灰黄色。心材はくすんだ淡黄褐色から黄褐色を示す。気乾比重約 0.55、耐朽性の高いことで知られる。
腐朽しにくいので、枕木をはじめ建築や器具材、土木、船舶、シイタケの榾木など広くに用いられる。
樹皮のタンニンは染料やなめし皮に用いる。
葉、いが、樹皮のどれかを乾燥させて煮詰めたものを冷湿布すると、かぶれ、湿疹に効果的という。
クリは縄文時代の遺跡から出土しており、古来重要な食糧とされてきた。
『古事記』にも登場し『万葉集』では山上憶良の「子等を思ふ歌」に「瓜食めば、子等思ほゆ、栗食めば、まして思はゆ」とあるのが有名。『延喜式』にも丹波や但馬の栗の記載がある。
丹波産の大粒の栗は丹波栗として有名で、海外にも輸出されている。
戦国時代には兵糧として用いられた。クリの実を臼でひいたかちぐりは、「勝」に通じるとして戦陣に欠かせないものであった。現在も正月の縁起物として用いられる。
イタリアでは聖マルティンの日(11月11日)、貧しい人々にクリを分け与える習慣がある。
「火中の栗を拾う」はラ・フォンテーヌ(1621~95)の『寓話』が出典。他人の利益のために危険を冒す事を戒める諺。
宮沢賢治の童話の中ではクリが非常に重要で象徴的な存在として描かれる。
季題は「夏」栗の花。「秋」栗。「よすがらや花栗匂う山の宿 子規」「栗のつや落ちしばかりの光なる 室生犀星」などの句がある。
参考文献
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形態
- 葉の形質
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葉は互生、有柄、長楕円状皮針形、鋭尖頭、基部鈍形または心臓形、左右不整、葉縁には波状のきょ歯があり、側脈が突出して芒状となるがクヌギより短い。
葉身の長さは 8~15 ㎝、幅 3~4 ㎝。上面深緑色で平滑、下面淡緑色で小腺点があり、脈上は有毛、側脈が目立つ。
参考文献
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- 茎(幹)の形質
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幹は直立し、樹皮は灰色から黒褐色。若木のうちは平滑、老木になると縦に深い割れ目が著しい。1年枝は灰白色の短毛があり皮目が多い。
参考文献
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- 花の形質
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雌雄同株。雄花序は新枝の下方の葉えきに直上し、長さ 15 ㎝ぐらい、多数の黄白色の雄花をつけ、においが強く、虫媒。
雌花は雄花序の下部につき、無柄。3個の雌花が集まり、鱗片ある総包に包まれ、花柱は5~9。
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