- 解説一覧
- ハッカ(Mentha canadensis)について
基本情報
- 人間との関係
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『大和本草』をはじめ多くの古い書物に載っている。薄荷(ばか)、波可(ばか)、於々阿良岐(おおあらぎ)、目草(めぐさ)、目覚草(めざましぐさ)などの名がある。この目草、目覚草は目が疲れた時、葉をもんでこすると、メントールの作用で目がすっきりすることによる。
栽培されたハッカは、刈り取ったあと乾かして水蒸気蒸留し、取卸油という油をとる。その油を精製するとメントールとハッカ油が得られ、せっけん、たばこ、歯磨きなどの香料や、飲み物、菓子などに使われる。そのほかにも古くから健胃、鎮痛にも用いられてきた。
ハッカ油をとる目的で、北海道を主産地に岡山、広島などで栽培されている。
ハッカの主成分メントールは、世界中のハッカ属の中で日本産ハッカに最も多く含有している。合成メントールができるまでは、日本のハッカからとった天然メントールが世界中に輸出されていた。
『日本薬局方第6版』以後、ハッカは医薬品として収載されていなかったが、漢方処方で解熱、発汗、健胃などに使用する必要性が多くなったため、『日本薬局方第9版』に再び取り上げられている。
食用にするには春から秋まで、茎先の若葉を摘み集め、そのまま冷たいデザートやいろいろなサラダの飾りに使う。8月~10月頃の花穂は、ミントティー、サラダ、冷たいゼリー菓子に使う。そのまま天ぷらにしてもよい。
【成分】
芳香はメントールによるもので、このほか、ピネン、カンフェン、リモーネンなどを含んでいる。
【薬効と用い方】
・健胃や駆風に用いられる
健胃には乾燥した茎葉を小さく刻んで、茶さじ山盛り1杯分ぐらいに熱湯を注いで、食前か食後に服用するとよい。
駆風におなかが張り、気分の悪いときに、上記と同じ用量で飲む。ガスを放出し気分がよくなる。
参考文献
- 伊澤一男 1998 ハッカ, 伊澤一男(著) 薬草カラー大事典:日本の薬用植物すべて. 主婦の友社. 600.
- 山田卓三 1992 ハッカ, 山田卓三(著) 山田卓三(監修) 野草大百科. 北隆館. 88.
最終更新日:2020-06-01 ハリリセンボン
形態
- 葉の形質
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葉身は対生する短柄につき、長楕円~長卵形で、へりは鋸歯状に切れ込む。
両面にはまばらに毛が、裏側には油点があり、もむとハッカ臭がする。
参考文献
- 伊沢凡人 1980 ハッカ, 伊沢凡人(著) 原色版日本薬用植物事典. 誠文堂新光社. 121.
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- 茎(幹)の形質
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白い地下茎が長く横に伸びて繁殖し、茎は四角で直上し、30~60 cmぐらいになる。
少し毛があり、発育のいいものではまばらに分枝する。
参考文献
- 伊沢凡人 1980 ハッカ, 伊沢凡人(著) 原色版日本薬用植物事典. 誠文堂新光社. 121.
最終更新日:2020-06-01 ハリリセンボン
- 花の形質
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葉腋にむらがってつき、ごくうすい紫で先は4裂で花柄に毛がある。
がくは5裂で先は尖る。雄しべ4は同長、株により長雄しべ短雌しべのものと、逆のものがある。
参考文献
- 伊沢凡人 1980 ハッカ, 伊沢凡人(著) 原色版日本薬用植物事典. 誠文堂新光社. 121.
最終更新日:2020-06-01 ハリリセンボン
- 果実の形質
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分果はやや扁平で楕円状である。
参考文献
- 伊沢凡人 1980 ハッカ, 伊沢凡人(著) 原色版日本薬用植物事典. 誠文堂新光社. 121.
最終更新日:2020-06-01 ハリリセンボン
生態
- 生育環境
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日本全土の日のよくあたる湿性地に生える。
参考文献
- 伊沢凡人 1980 ハッカ, 伊沢凡人(著) 原色版日本薬用植物事典. 誠文堂新光社. 121.
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関連情報
- 栽培方法
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【採取時期】
野生のものは、湿地、小川の縁などに見られるが、秋に地上部を採取して日干しにする。
参考文献
- 伊澤一男 1998 ハッカ, 伊澤一男(著) 薬草カラー大事典:日本の薬用植物すべて. 主婦の友社. 600.
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