- 解説一覧
- シソ(Perilla frutescens var. crispa)について

シソ(Perilla frutescens var. crispa)
- 【 学名 】
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Perilla frutescens var. crispa (Thunb.) H.Deane
基本情報
- 原産地
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中国南西部及びその周辺地域
参考文献
- 星川清親 1997 シソ, 八尋洲東(編) 植物の世界2,種子植物 双子葉類2. 朝日新聞社. 246₋247.
最終更新日:2020-05-20 ハリリセンボン
- 和名の解説
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香気が爽快で食欲を進め、人をしてよみがえらしめるので蘇、また葉が紫なので「紫蘇」という。
参考文献
- 草川俊 1992 シソ, 草川俊(著) 野菜・山菜博物事典. 東京堂出版. 114₋117.
最終更新日:2020-05-20 ハリリセンボン
- 人間との関係
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シソは中国では古くから食用または薬用に栽培されてきた。
シソはエゴマより遅れて日本に入ってきた。福井県の鳥浜貝塚の縄文時代早・前期の層から種子が検出されたという報告がある。
『本草和名』(918)には「イヌエ」の名で記載され、また『延喜式』(927)の「典薬寮諸国貢進年料雑薬」のなかにも蘇子(いぬえのみ)の名が記されている。
当時の人たちは、食用と考える前に、まず燃やしたらどうなるかの方が関心が強かった。
シソの種子から絞ったシソ油をさっそく燃やしてみると、当時灯火用に使っていた「荏油」より明るさ、輝きが断然優れていた。ちょうど石油ランプから電灯へ変わった光の革命のように、多くの人々は「荏油」から「シソ油」へと変わっていった。
次の時代にはナタネ油に変わるが、当時はシソ油の栽培が盛んであった。そのため、油以外のシソの利用法も工夫され、梅干し、しば漬けと、食品加工に応用されていった。
今日では多くの品種があり、日本文化と切り離せない植物のひとつとなっている。
シソは大きく、赤ジソ系と青ジソ系に分けられる。
「紫蘇」は字意からも明らかなように赤ジソを指したもので、アントシアン系の色素を含み、それを含まない青ジソが「蘇」である。
食用には両者とも用いられ、芽ジソや梅干しには前者が、葉の生食にはもっぱら後者が利用される。
アントシアンは酸で赤く発色し、梅干しが鮮紅色になるのはウメに含まれる有機酸の作用である。
薬用としては赤ジソが賞用され、青ジソでは効果がないとされる。
漢方では葉を乾燥させたものを「紫蘇葉」、種子を「紫蘇子」といい、ともに鬱滞した木を巡らせる気剤の一種である。
また発汗作用があり、精神不安定や風邪の諸症状に応用される。
青ジソの生の葉には魚肉中毒に対する解毒作用があるとされ、刺身のつまとして添えられる。
シソ特有の香りは、ぺリラアルデヒド、リモネンなどの精油に由来する。
【成分】
特にチリメンジソ葉よりアントシアン色素のシアニジン、アントシアン配糖体ぺリラニンが抽出される。香気成分はシソ油で、ぺリラアルデヒド55%を含んでいて防腐力が強い。
またぺリラアルデヒドからは、甘味料のシソ糖ができて市販されたが、熱や唾液に分解されやすいという欠点があり、市場から消えた。
梅干しの色は、アントシアン色素が梅のクエン酸によって分解され、独特の色になる。
【薬効と用い方】
・風邪に用いる
葉も種子も同様に用いてよい。1日量 6~10 gを水 200 ㏄で半量に煎じて、2~3回に分けて服用する。
・魚による中毒に用いる
種子1回 3~6 gを水で服用するか、細かく砕いた乾燥葉茶さじ1杯に、熱湯を注いで飲む。
参考文献
- 星川清親 1997 シソ, 八尋洲東(編) 植物の世界2,種子植物 双子葉類2. 朝日新聞社. 246₋247.
- 伊澤一男 1998 シソ, 伊澤一男(著) 薬草カラー大事典:日本の薬用植物すべて. 主婦の友社. 590.
最終更新日:2020-05-20 ハリリセンボン
形態
- 葉の形質
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葉身は対生する長柄につき、広卵形で、先は尖る。へりは鋸歯状に切れ込み、赤みを帯びた紫色で、嗅ぐとシソ臭がする。
赤ジソは葉の表面または両面が赤紫色になり、青ジソは緑色である。
参考文献
- 星川清親 1997 シソ, 八尋洲東(編) 植物の世界2,種子植物 双子葉類2. 朝日新聞社. 246₋247.
- 伊沢凡人 1980 シソ, 伊沢凡人(著) 原色版日本薬用植物事典. 誠文堂新光社. 123₋124.
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- 茎(幹)の形質
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茎は四角で直上し、30~80 cmぐらいになり分枝する。
参考文献
- 伊沢凡人 1980 シソ, 伊沢凡人(著) 原色版日本薬用植物事典. 誠文堂新光社. 123₋124.
最終更新日:2020-05-20 ハリリセンボン
- 花の形質
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分かれた枝頂および葉腋から伸びた軸に穂になって総状につき、淡紫色、唇形で下のものから順々に開き、筒部は短く、下唇が長大である。
花下には小さい包があり、がくは5裂(上唇3裂、下唇2裂)、2強雄しべがある。
赤ジソは花の色が赤紫色、青ジソは白色である。
参考文献
- 星川清親 1997 シソ, 八尋洲東(編) 植物の世界2,種子植物 双子葉類2. 朝日新聞社. 246₋247.
- 伊沢凡人 1980 シソ, 伊沢凡人(著) 原色版日本薬用植物事典. 誠文堂新光社. 123₋124.
最終更新日:2020-05-20 ハリリセンボン
- 果実の形質
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果実は球状の4分果からなり、宿存がくに包まれ、噛むとわずかに油様でシソ臭がする。
参考文献
- 伊沢凡人 1980 シソ, 伊沢凡人(著) 原色版日本薬用植物事典. 誠文堂新光社. 123₋124.
最終更新日:2020-05-20 ハリリセンボン
- 種子の形質
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種子には休眠する性質があり、採取後数ヵ月は発芽しにくい。
参考文献
- 草川俊 1992 シソ, 草川俊(著) 野菜・山菜博物事典. 東京堂出版. 114₋117.
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関連情報
- 栽培方法
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【採取時期と調整法】
葉は7~9月に採取し、半日ほど日干しにしたあと、風通しのよい所で陰干しにする。種子は10月頃、実をもんで種子を取り出し、陰干しにする。
参考文献
- 伊澤一男 1998 シソ, 伊澤一男(著) 薬草カラー大事典:日本の薬用植物すべて. 主婦の友社. 590.
最終更新日:2020-05-20 ハリリセンボン