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- クヌギ(Quercus acutissima)について
クヌギ(Quercus acutissima)
【IUCN】現時点での絶滅危険度の低い種
- 【 学名 】
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Quercus acutissima Carruth.
目次
基本情報
- 和名の解説
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①クニキ(国木)の転。『日本書記』に景行天皇がこれを命名した伝承説話があることから。
②クノキ(食之木)の転。食用の実をつけるブナ科樹木の総称であることから。
③クリニギ(栗似木)の転。
④皮を煎じて染料にすることからクヅニルキ(屑煎木)の意味。ほかにも諸説ある。
参考文献
最終更新日:2020-05-19 キノボリトカゲ
- 別名・方言名
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ツルバミ(古名)、ドングリノキ、クニギ、フシマキ、カタギ、フシクレボク、クネギ、クノギ/カシ(青森)、マキ(長野、兵庫、中国地方)、ホーソ(岐阜、島根)、カナギ(石川、福井)、メク(京都、兵庫)、ジザイガシ(兵庫)、ミズマキ(岡山、広島、島根)
参考文献
最終更新日:2020-05-19 キノボリトカゲ
- 人間との関係
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材は器具、船舶、車両に使われ、火持ちがよく火力も強いので薪炭材として極めて良好で、「池田炭」「佐倉炭」と呼ばれ重宝される。
シイタケのほだ木としても用いられる。
樹皮は赤竜皮と呼ばれ薬用に用いられる。また、樹皮や殻斗からタンニンをとり、染料やなめし皮用とする。
上代の頃、クヌギの実を煮だして染めた衣服は庶民が着るものであった。
そのため『万葉集』では「橡(つるばみ)の衣」という言葉が身分の低い人を例えるのに使われている。
「橡の衣は人皆事なしと言ひし時より着欲しく思ほゆ」(7・1311・作者不詳)。平安時代以降は貴族の喪服の染料に用いられた。
堅果は中医方で橡実と称し下痢に、殻斗(橡実売)は下痢、脱肛、帯下に、樹皮および根皮(橡木皮)も下痢、解毒などに用いられる。
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形態
- 葉の形質
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葉は互生、有柄、長楕円形または長楕円状皮針形、鋭尖頭、基部円形、左右不整、葉縁に波状きょ歯があり、側脈が葉身の外まで伸びている。
葉身の長さ 8~15 ㎝、幅 2~4 ㎝、初め両面に軟毛密生。のち上面無毛、緑色。
下面は淡緑色、脈えきを除いて無毛、側脈は12~16対。
冬に葉は枯れるが、新芽展開時までおちない。柄は 0.5~2 ㎝。
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- 花の形質
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雌雄同株。雄花序は新枝の基部に出て細長く下垂。長さ 10 ㎝、軟毛が密生し、雄花は褐色、雄しべは3~6個。
雌花序は新枝の上部にえき生、1~3個の雌花をつけ、花柱は3。
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- 果実の形質
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堅果は2年目の秋に熟し無柄、褐色、大形でほぼ球形、直径 2~2.5 ㎝、コナラ属中で最大のドングリである。
殻斗は大形で椀形、細長い鱗片多数が外周にらせん状に並び、外側にそり返り、灰白色の短毛が密生する。
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