- 解説一覧
- カシワ(Quercus dentata)について
目次
基本情報
- 人間との関係
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葉は5月の節句に食べる柏餅でなじみ深い。若葉を蒸して乾燥させ、柏餅を包むのに使う。
材は土台、船材、定規、樽などに、樹皮はタンニンを多く含み、鞣皮材や、樺色、黒色の染料に用いる。
古くは木の葉に食物を盛ったが、カシワの葉がとくに多用されたことから「カシワ」は食物を盛る器として使われる木の総称でもある。
『万葉集』には確実にカシワを指すと考えられる歌が3例見られる。「秋柏潤和川辺の小竹の芽の人には忍び君に堪へなくに」(11・2478・人麻呂)など。
西行法師の『山家集』には「花のりを柏につつむしなの梨は緑なれどもあかしのみと見ゆ」とあり、カシワの葉を日常生活に用いていたことがうかがい知れる。
伊勢神宮の神事の一つに、カシワの葉を水に流し、浮かんで流れると吉、沈むと凶とする占いがある。
柏の葉を図案化した紋所に、三つ柏、抱き柏、丸に土佐柏、結び柏、丸三柏などがある。
サクサン(柞蚕)の飼育にも利用される。
また樹皮(槲皮)はタンニンを含み、皮なめしなどに使われ、中医方で下痢、下血などに、葉(樹葉)は吐血、血痢に、種子(槲実仁)も下痢に使われる。
材は硬く、建築材や枕木、器具材などに使われる。果実は渋抜きをして食用にされ、また炒ってコーヒーの代用にした。
季題は「夏」「秋」。
参考文献
最終更新日:2020-05-13 キノボリトカゲ
形態
- 葉の形質
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葉は互生、枝先には束生し、有柄。
葉身は大きく、長さ 10~30 ㎝、幅 6~18 ㎝、倒卵状長楕円形、鈍頭、基部はくさび形に狭くなり、縁に深い波状鈍いきょ歯がある。
上面濃緑色、初め星状毛が密生し、しだいに減少、裏面はやや灰白色で、褐色や黒色の小腺点が散在。短毛と星状毛が密生する。
側脈は8~12対。葉質厚く、冬に枯れても落ちないで残る。若芽の頃に落ちる。
参考文献
最終更新日:2020-05-13 キノボリトカゲ
- 果実の形質
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果実はどんぐりで、殻斗は椀形、堅果の半ば以上を包み、ほとんど無柄。鱗片は外反する。
堅果は球形、長さ 1.5~2 ㎝、先端に花柱が残る。
参考文献
最終更新日:2020-05-13 キノボリトカゲ