- 解説一覧
- ショウガ(Zingiber officinale)について
基本情報
- 草丈・樹高
-
60~90 cm
参考文献
- バーバラ・サンティッチ/ジェフ・ブライアント 2012 ショウガ, バーバラ・サンティッチ、ジェフ・ブライアント(著) 世界の食用植物文化図鑑 起源・歴史・分布・栽培・料理. 柊風舎. 301.
最終更新日:2020-05-18 ハリリセンボン
- 和名の解説
-
古名はクレノハジカミ、すなわち、呉のハジカミで、最初はその根茎が支那から渡来し、かつサンショウの如き辛味があるため細かく呼ばれた。
ツチハジカミ、アナハジカミとも呼ばれ、これらはみなサンショウの古名ハジカミに対する称呼である。
サンショウはまた別に、ナルハジカミ、フサハジカミともいわれて、クレノハジカミは後に単にハジカミと呼ばれるようになったが、さらに転じて、今のショウガになり、古のハジカミはやがてサンショウになった。
参考文献
- 柴田桂太 2001 ショウガ, 柴田桂太(著) 資源植物辞典. 北隆館. 336₋337.
最終更新日:2020-05-18 ハリリセンボン
- 人間との関係
-
野生種が知られていないため、原産地は厳密にわからない。東南アジア原産ともいわれているが、古代中国で使用されていたという記録もある。
コーラン、ヒンドゥー教の文献、孔子の言にも言及されているため、紀元前650年には使用されていたことになる。
エジプトでは料理に使われ、薬用にもされていた。
ローマ帝国とギリシアでは、料理用スパイスとしてよりも、医薬品として高く評価されていた。
ローマ兵によってヨーロッパとイングランドにもたらされ、その結果コショウ並みの人気を博したらしい。
13世紀から14世紀の間には、取引量がもっとも多いスパイスの1つになった。当時は、1ポンドのショウガがヒツジ1頭分と同じ価値があったという。
16世紀にスペイン人がアメリカ大陸に伝えて栽培を始め、ヨーロッパで独占販売していた業者を出し抜いた。
ジャマイカ、西アフリカ、ブラジルも重要な産地になった。
わが国の記録としては758年(天平宝字2年)の正倉院文書中に生薑の名があり、『新撰字鏡』には干薑、久礼乃波自加彌、『本草和名』では草の部に、『和名抄』では園菜に薑、和名久礼乃波之加美と記されている。
『古事記』では神武天皇が登美毘古を撃たんとするときの歌「みつみつし、くめのこらが、かきもとにうえし波之加美、くちひひくわれはわすれじ、うちてしやまむ」にハシカミ(ハジカミ)の名がある。これは端赤みの意との説もあるが、歯じかみで辛辣な味のものを指し、『古事記』のハジカミは山椒で、呉国より伝わったショウガをクレノハシカミと呼んだともいわれる。
『延喜式』には6~8月に生薑八房を、正月に干薑をまた稚薑三斗を漬物用に納めたなどの記録や、内膳司では一段の栽培に種子四石、総労力78人を要するという栽培概要を記録し、当時ショウガは主要な野菜として多肥、集約な栽培がなされていたことが知られる。
なお『節用集』には生薑(ハジカミ)、『下学集』には生薑とあり、乾薑に対して生薑を室町時代からはショウガと呼んだ。江戸時代には生姜とも書かれ、『親民鑑月集』には生姜苛としている。
江戸時代の農書を見ると『親民鑑月集』と『百姓伝記』には半日は陰になる畑が良いなど栽培方法が記され、また『農業全書』には薑として「しょうがはすぐれたる上品な物なり、論語にも不徹して食すとあり」とし、乾姜にして薬屋に売ったり、根際が赤くなり紫薑と呼ばれるようになったのは、料理によく市町に売るなど利潤多きものとし、旱と寒気を嫌うなどと栽培法と貯蔵法を述べている。
『成形図説』では「此種大小柔硬の品あり、九州、四国わたりに産は大にして柔に、尤も辛辣なり、関東地方のもの皆小なり、中に柔硬両種あり、柔にして筋少なきを良とす」と品種にふれている。
【食べ方】
アジア料理でおなじみのショウガは、生でも乾燥しても使える。
スープ、野菜、炒め物、カレー、穀物、マリネ、チャツネ、飲料、ドレッシング、ピクルスや一部のデザート、糖菓などには生が好まれる。たいていの焼き菓子には、乾燥したものがよい。
日本では薄く切ったものを甘酢につけたピンク色の甘酢ショウガが、伝統的に寿司の薬味として使われている。
【効能・有効成分】
ショウガは、その薬効が実質的に証明されている数少ないスパイスの1つである。
乗り物酔い、術後の吐き気、細菌性の下痢、マラリア、咳、片頭痛の治療に効果があることが分かっている。
ショウガの抽出物には血中コレステロールを減らし、低血圧を緩和し、ガンを防ぐ作用がある。
ショウガの辛味の原因となるジンゲロールという化学物質が、痛みや熱の治療に役立つ。また、揮発性の油は、風邪やインフルエンザのウイルスに効果があるのではないかといわれている。
参考文献
- 青葉高 2013 ショウガ, 青葉高(著) 日本の野菜文化史事典. 八坂書房. 222₋227.
- バーバラ・サンティッチ/ジェフ・ブライアント 2012 ショウガ, バーバラ・サンティッチ、ジェフ・ブライアント(著) 世界の食用植物文化図鑑 起源・歴史・分布・栽培・料理. 柊風舎. 301.
最終更新日:2020-05-18 ハリリセンボン
形態
- 葉の形質
-
細長い槍のような形の葉である。
茎上に2列に互生する葉は、竹の葉に似た長い葉身を備え、下部は緑色の長い葉鞘をなして固く茎を包んでいる。
根際に近く紅彩があり、下方の鞘は葉身を欠く。
参考文献
- バーバラ・サンティッチ/ジェフ・ブライアント 2012 ショウガ, バーバラ・サンティッチ、ジェフ・ブライアント(著) 世界の食用植物文化図鑑 起源・歴史・分布・栽培・料理. 柊風舎. 301.
- 柴田桂太 2001 ショウガ, 柴田桂太(著) 資源植物辞典. 北隆館. 336₋337.
最終更新日:2020-05-18 ハリリセンボン
- 茎(幹)の形質
-
根茎は横に広がるため、上に伸びるというより横に広がる。
花が着く長い穂は、品種によって茎の脇からか、葉の中心から伸びる。
参考文献
- バーバラ・サンティッチ/ジェフ・ブライアント 2012 ショウガ, バーバラ・サンティッチ、ジェフ・ブライアント(著) 世界の食用植物文化図鑑 起源・歴史・分布・栽培・料理. 柊風舎. 301.
最終更新日:2020-05-18 ハリリセンボン
- 花の形質
-
花の色はさまざまである。
参考文献
- バーバラ・サンティッチ/ジェフ・ブライアント 2012 ショウガ, バーバラ・サンティッチ、ジェフ・ブライアント(著) 世界の食用植物文化図鑑 起源・歴史・分布・栽培・料理. 柊風舎. 301.
最終更新日:2020-05-18 ハリリセンボン
関連情報
- 栽培方法
-
熱帯あるいは亜熱帯性気候の、肥よくで湿潤な水はけのよい土に、根茎を切って植えて増やす。
やや日陰の場所でよく育ち、根茎は約10ヵ月で根づき、9~10ヵ月で収穫できるようになる。
畑に作るには5月頃に、囲っておいた旧根茎を土に下ろし、夏~秋に新芽や茎葉を伴った新塊茎を収穫する。
秋の彼岸前後に出盛りになり、葉つきのまま束ねて売る。
これが新しょうがで、アシの芽のような新芽は紅紫色で、松が黄白色を帯び、また黄白の新塊茎は歯切れがよく、香気があってまだあまり辛くない。
秋分後も採取を続け、やがて霜後に、茎葉の凋萎する頃、十分成熟した根茎を採り、翌年4~5月頃まで貯蔵する。新ショウガのついている旧塊茎も随時掘り取る。
参考文献
- バーバラ・サンティッチ/ジェフ・ブライアント 2012 ショウガ, バーバラ・サンティッチ、ジェフ・ブライアント(著) 世界の食用植物文化図鑑 起源・歴史・分布・栽培・料理. 柊風舎. 301.
- 柴田桂太 2001 ショウガ, 柴田桂太(著) 資源植物辞典. 北隆館. 336₋337.
最終更新日:2020-05-18 ハリリセンボン