- 解説一覧
- ヤマユリ(Lilium auratum)について

基本情報
- 分布
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本州(東北より近畿まで)に自生する。北海道、九州、四国、北陸、中国地方などには自生しない。
参考文献
- 伊澤一男 1998 ヤマユリ, 伊澤一男(著) 薬草カラー大事典:日本の薬用植物すべて. 主婦の友社. 748.
最終更新日:2020-05-26 ハリリセンボン
- 和名の解説
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「山百合」と書き、山に生えるユリの意味である。細長い茎の先に大きい花を数個つけるため、わずかな風にも花が揺れ動いて、ユリの名になる。
参考文献
- 伊澤一男 1998 ヤマユリ, 伊澤一男(著) 薬草カラー大事典:日本の薬用植物すべて. 主婦の友社. 748.
最終更新日:2020-05-26 ハリリセンボン
- 別名・方言名
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別名:ヨシノユリ(吉野百合)、エイザンユリ(叡山百合)、ホウライジユリ(鳳来寺百合)、リョウリユリ
エイザンユリは京都府、滋賀県境の比叡山に多いことから、ホウライジユリは愛知県の鳳来寺山に多いことから、リョウリユリは奈良県多武峰・談山神社付近の方言である。
方言名:ガアラバナ、カッコウ、シロユリ、ホトケユリ、ヤマヨリ、ヤリガミ、ヨウヨリ、ヨロ
参考文献
- 伊沢凡人 1980 ヤマユリ, 伊沢凡人(著) 原色版日本薬用植物事典. 誠文堂新光社. 271.
- 伊澤一男 1998 ヤマユリ, 伊澤一男(著) 薬草カラー大事典:日本の薬用植物すべて. 主婦の友社. 748.
- 山田卓三 1992 ヤマユリ, 山田卓三(著) 山田卓三(監修) 野草大百科. 北隆館. 412.
最終更新日:2020-05-26 ハリリセンボン
- 人間との関係
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1860年に来日し、1年余り日本に滞在していたイギリスの園芸研究家であり、植物採集家でもあったロバート・フォーチュンは、日本植物の採集と園芸事情を視察して帰国後、『江戸と北京』(三宅馨訳)という見聞記を出版した。
ヤマユリのことが次のようにみえている。「丘の斜面に見事なユリ(Lilium auratum)の花が咲き乱れていたので、その根を掘り取って私のコレクションに加へた」。イギリスに持ち帰ったこのヤマユリは、園芸家の関心を集め人気を博した。
戦前から大量のヤマユリが輸出されていた。観賞、食用、薬用など用途も広く、古くから文学にも取り上げられている。
最近では道路を切り開いたあとにできた、山の斜面のような所にも群生していることがあり、関東地方では身近な花であり、神奈川県の県花となっている。
中部地方以西では、山に咲くユリは、ササユリが多いため、ササユリを山のユリとして「ヤマユリ」と呼ぶ人が多い。そのため、関西のある町で町花を決める際、町内の山に咲く花として標準和名、ササユリを「ヤマユリ」として登録した。しかしあとになり、ヤマユリは別のものであることに気づき、「ササユリ」と訂正したという話もある。
食用には10月~11月頃掘り取り、鱗片をほぐしてよく洗う。ヤマユリの鱗片には少し苦味があるが、酢を加えて茹でて砂糖煮などにできる。つぼみも重曹を入れて茹で、しばらく流水にさらすと各種和え物にして食べることができる。
【成分】
鱗茎の粘質性成分は、粘質多糖類のグルコマンナンである。種子の成分としては、フェルラ酸、クマリン類のパラ・クマリン酸が含まれ、花粉粒中にフラボン配糖体の黄色結晶ナルキシンを含んでいる。
【薬効と用い方】
咳止め、解熱に用いられる。1回に 4~10 gを、水 400 ㏄で2分の1量に煎じて服用する。
参考文献
- 伊澤一男 1998 ヤマユリ, 伊澤一男(著) 薬草カラー大事典:日本の薬用植物すべて. 主婦の友社. 748.
- 山田卓三 1992 ヤマユリ, 山田卓三(著) 山田卓三(監修) 野草大百科. 北隆館. 412.
最終更新日:2020-05-26 ハリリセンボン
形態
- 葉の形質
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葉には短柄があり散生するが、傾いた茎では普通2列に並び、披針~広披針形で先は鋭くとがる。
もとのほうは丸味をおび、縁は濃く、質ややや厚めでかたく、葉面はなめらかである。
参考文献
- 伊沢凡人 1980 ヤマユリ, 伊沢凡人(著) 原色版日本薬用植物事典. 誠文堂新光社. 271.
最終更新日:2020-05-26 ハリリセンボン
- 茎(幹)の形質
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地下には扁球形の鱗茎があり、鱗片は卵状披針形で厚く類白色。茎は直上し、1 mを越すものがあり、開花期は花の重みで一方に傾く。
参考文献
- 伊沢凡人 1980 ヤマユリ, 伊沢凡人(著) 原色版日本薬用植物事典. 誠文堂新光社. 271.
最終更新日:2020-05-26 ハリリセンボン
- 根の形質
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根は鱗茎の下から房状に出て、鱗茎の上方(地表に近いあたり)からは盛んに子球を出す。
参考文献
- 伊沢凡人 1980 ヤマユリ, 伊沢凡人(著) 原色版日本薬用植物事典. 誠文堂新光社. 271.
最終更新日:2020-05-26 ハリリセンボン
- 花の形質
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茎頂に数個つき甘い香りが漂い、開いた時の径は約 15~20 cmで、椀状鐘形で先は外側に反り返る。
白色で内側には赤褐色の斑があり、ときに20個以上の花をつけることもある。そして花びらの基部が狭まった爪にならないのはユリ属中で本種だけである。
雄しべ6は花被とほぼ同長、葯は赤褐色で長さが 2 cmほどあり、花粉は黒褐色である。
参考文献
- 伊沢凡人 1980 ヤマユリ, 伊沢凡人(著) 原色版日本薬用植物事典. 誠文堂新光社. 271.
最終更新日:2020-05-26 ハリリセンボン
- 果実の形質
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花後長楕円形の大きい果実(蒴果)を結ぶ。
参考文献
- 伊澤一男 1998 ヤマユリ, 伊澤一男(著) 薬草カラー大事典:日本の薬用植物すべて. 主婦の友社. 748.
最終更新日:2020-05-26 ハリリセンボン
生態
- 生育環境
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日本全土の日の当たる山地、丘陵、日の差し込む疎林下に生える。
参考文献
- 伊沢凡人 1980 ヤマユリ, 伊沢凡人(著) 原色版日本薬用植物事典. 誠文堂新光社. 271.
最終更新日:2020-05-26 ハリリセンボン
関連情報
- 栽培方法
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【採取時期と調整法】
秋に地上部が枯れた頃、鱗茎を掘り、水洗いにして、鱗片をはぎとりばらばらにし、これに熱湯を注ぎ、日干しにする。これが生薬でいう百合である。
参考文献
- 伊澤一男 1998 ヤマユリ, 伊澤一男(著) 薬草カラー大事典:日本の薬用植物すべて. 主婦の友社. 748.
最終更新日:2020-05-26 ハリリセンボン