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ニラ(Allium tuberosum)の分類 Amaryllidaceae
ニラ(Allium tuberosum)の概要 Allium

ニラ(Allium tuberosum)

【 学名 】
Allium tuberosum Rottler ex Spreng.

基本情報

花期

8月~9月

参考文献

  • 佐竹義輔 1982 ニラ, 大橋広好(著) 佐竹義輔、大井次三郎 、北村四郎 、亘理俊次 、冨成忠夫(編) 日本の野生植物 草本Ⅰ 単子葉類. 平凡社. 36.

最終更新日:2020-05-19 ハリリセンボン

分布

パキスタン、インド、中国、日本(本州~九州)に分布するといわれるが、日本では真の自生かどうか疑わしい。

参考文献

  • 佐竹義輔 1982 ニラ, 大橋広好(著) 佐竹義輔、大井次三郎 、北村四郎 、亘理俊次 、冨成忠夫(編) 日本の野生植物 草本Ⅰ 単子葉類. 平凡社. 36.

最終更新日:2020-05-19 ハリリセンボン

別名・方言名

別名:フタモジ(二文字)

古名:ミラ(美良)、コミラ(古美良)

参考文献

  • 伊沢凡人 1980 ニラ, 伊沢凡人(著) 原色版日本薬用植物事典. 誠文堂新光社. 264₋265.

最終更新日:2020-05-19 ハリリセンボン

分類学的位置付け

ユリ科

参考文献

  • 柴田桂太 2001 ニラ, 柴田桂太(著) 資源植物辞典. 北隆館. 543₋544.

最終更新日:2020-05-19 ハリリセンボン

人間との関係

ニラは東アジアの各地に野生し、中国では少なくとも紀元前後から栽培が始まったとみられている。

『斉民要術』には、一度種子をまけば、永年収穫が続けられる無精者向きの野菜であること、年間5回も刈り取れるが、刈り取った後には肥料を施した方がよいこと、花も食用にできること、種子の発芽を試みること、冬期の間の利用法と軟化栽培と思われる方法などが記載されている。この記述からみても中国の北部では古くから重要な野菜とされていたことが知られる。

中国では現在も重要な野菜の1つで、例えば呉耕民氏の最近の著書を見ると、花用品種2、葉花兼用種3など10品種をあげ、普通栽培や軟化法などを述べている。また中国料理にニラがよく用いられる。

ニラは東南アジアや日本では古くから食用に供しているが、ヨーロッパでは現在もほとんど栽培されていない。聖書の日本語訳にはニラが何か所も出てくるが、これはリーキのことだろうと言われている。

わが国には古代に中国から伝わり、ニラの名は古い文書にも各所にみられる。

例えば『古事記』には加美良、『本草和名』と『和名抄』では古美良、『万葉集』では久久美良として出ている。

『延喜式』には美良として一段の栽培にはタネ五石を用い、75人の人手を要し、8月開花し、9月結実することなど詳しい記載がある。

以上のような古代の記述から見ても、ニラはわが国では古くからよく栽培されていたことが見られる。

ニラは葉ばかりでなく花蕾の若いものも特別の風味があり、茹でて浸し物にしたり塩漬にしたりする。葉は生食、煮食ともによく、あるいは焼いてから煮食し、粥に入れてニラ粥に炊く。

中国北部では冬の間、土こうに移し馬尿で培い、暖気と共に尺ばかりに伸びたものを食用にするが、風日を見せないからその若葉は黄で、これを韮黄と称えて賞美する。

【成分】
ニンニクのアリインに似たものが含まれると推定されているが、詳しくは分かっていない。

【薬効と用い方】
・強壮、強精、下痢止めに用いる
葉をみそ汁に浮かべたり、味噌和えにしたり、ニラ粥、ニラ雑炊にして食べるとよい。

・腰痛、小便回数の多い症状に用いる
乾燥した種子(韮子)を1回量として30~40粒砕き、水で服用する。

参考文献

  • 青葉高 2013 ニラ, 青葉高(著) 日本の野菜文化史事典. 八坂書房. 308₋310.
  • 伊澤一男 1998 ニラ, 伊澤一男(著) 薬草カラー大事典:日本の薬用植物すべて. 主婦の友社. 762.
  • 柴田桂太 2001 ニラ, 柴田桂太(著) 資源植物辞典. 北隆館. 543₋544.

最終更新日:2020-05-19 ハリリセンボン

形態

葉の形質

葉は茎の下方にあり、数葉集合し、3~6 cmの葉鞘をなして茎の基脚を包む。

葉身は立ち、線形で鈍頭、幅 1~6 ㎜ばかりで、扁平でやや厚い。背面に稜があり、中実で質が柔らかく、翠緑である。

参考文献

  • 柴田桂太 2001 ニラ, 柴田桂太(著) 資源植物辞典. 北隆館. 543₋544.

最終更新日:2020-05-19 ハリリセンボン

茎(幹)の形質

鱗茎は痩せ、その下端は根茎となって延長する。

根茎は斜在あるいは横行し、上下に平たい円柱形をなし、その外囲は、暗灰褐色の網状繊維に変じた古葉鞘で包まれる。質は硬実である。

またその下側には多数の太い髭根を出し、また短く結節して再三分岐する。各分岐は斜開し、先端に向かって次第に太まり、鱗茎に連なる。

茎は中空、痩長で単一あるいはまれに分岐し、30~40 cm程度である。直立し、円柱形で上方はやや側扁する。

参考文献

  • 柴田桂太 2001 ニラ, 柴田桂太(著) 資源植物辞典. 北隆館. 543₋544.

最終更新日:2020-05-19 ハリリセンボン

花の形質

花は小形で、6片の花被は長さ 4~7 mm程度である。平開し、後に下反する。

長楕円形あるいは長楕円状披針形で短鋭尖頭、白色で背面は中脈が帯緑または帯褐である。6個の雄花は花被よりもやや短く、黄葯を有する花糸は線状球形で、基部で互いに癒合しまた花被とも癒着する。

子房は扁倒卵形で3起し、凹頭、直立する花柱は花被よりも短く、柱頭は肥厚しない。

参考文献

  • 柴田桂太 2001 ニラ, 柴田桂太(著) 資源植物辞典. 北隆館. 543₋544.

最終更新日:2020-05-19 ハリリセンボン

果実の形質

蒴果は上半において最も幅広く、熟すると胞背で3片に開裂し、各室に2個ずつ合計6個の平たい黒色の種子を入れる。

参考文献

  • 柴田桂太 2001 ニラ, 柴田桂太(著) 資源植物辞典. 北隆館. 543₋544.

最終更新日:2020-05-19 ハリリセンボン

種子の形質

種子は扁平で黒色、果実の中に6個入っている。

参考文献

  • 伊澤一男 1998 ニラ, 伊澤一男(著) 薬草カラー大事典:日本の薬用植物すべて. 主婦の友社. 762.

最終更新日:2020-12-16 ハリリセンボン

関連情報

栽培方法

庭先に数株を栽培するためには、9月頃、株間 15 cmぐらいに根分けしたものを植え、11月頃と翌年3月頃、木灰か硫安(硫酸アンモニウム)を肥料として与えるとよい。

4~5月頃根元から刈り取り、肥料を与えてやると、間もなく柔らかい葉が出てくる。こうして3回ぐらいは利用できる。

種子をとる株は、葉を刈らない方が良い。

参考文献

  • 伊澤一男 1998 ニラ, 伊澤一男(著) 薬草カラー大事典:日本の薬用植物すべて. 主婦の友社. 762.

最終更新日:2020-05-19 ハリリセンボン

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