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カタクリ(Erythronium japonicum)の分類 ユリ科(Liliaceae)
カタクリ(Erythronium japonicum)の概要 Erythronium

カタクリ(Erythronium japonicum)

【 学名 】
Erythronium japonicum Decne.

基本情報

花期

早春

参考文献

  • 伊沢凡人 1980 カタクリ, 伊沢凡人(著) 原色版日本薬用植物事典. 誠文堂新光社. 270.

最終更新日:2020-05-21 ハリリセンボン

分布

北海道、南千島、サハリン、アムール地方、ウスリー地方から朝鮮半島と、日本海を取り囲むように分布する。

カタクリは各地に産するが、東北、北海道と北に行くほど群生する傾向がある。

参考文献

  • 伊沢凡人 1980 カタクリ, 伊沢凡人(著) 原色版日本薬用植物事典. 誠文堂新光社. 270.
  • 伊澤一男 1998 カタクリ, 伊澤一男(著) 薬草カラー大事典:日本の薬用植物すべて. 主婦の友社. 755.
  • 河野昭一 1997 カタクリ, 八尋洲東(編) 植物の世界10,種子植物 単子葉類2. 朝日新聞社. 22.

最終更新日:2020-05-21 ハリリセンボン

和名の解説

カタクリ属の属名は「赤い花を咲かせる」というギリシャ語に由来し、リンネによって記載されたヨーロッパ産のエリトロニウム・デンスカニスの花色に基づいている。

しかしその後、カタクリ属に属する北アメリカ産の植物に、黄色や白色の花を咲かせる種が数多く発見され、今となってはやや不適切な属名となってしまった。

またカタクリは古名を「堅香子」といい、万葉の昔より日本人にはとても親しまれてきた植物である。

参考文献

  • 河野昭一 1997 カタクリ, 八尋洲東(編) 植物の世界10,種子植物 単子葉類2. 朝日新聞社. 22.

最終更新日:2020-05-21 ハリリセンボン

分類学的位置付け

ユリ科

参考文献

  • 伊沢凡人 1980 カタクリ, 伊沢凡人(著) 原色版日本薬用植物事典. 誠文堂新光社. 270.

最終更新日:2020-05-21 ハリリセンボン

人間との関係

「もののふの八十娘子らが汲みまがふ寺井の上の堅香子の花」(『万葉集』第十九 大伴家持)。

天平のころはカタクリを堅香子と呼んでおり、この歌は清水を汲みながら談笑する乙女の笑い声と、カタクリの花を組み合わせた、春の明るい描写である。

『本草鋼目啓蒙』(1803)に、「東北の地方に産する者、苗根最肥大なり。その根茎を煮て食う。また根を用いて葛粉を造る法の如く製して粉をとる。純白にして葛粉の如し。餅として食う。カタコモチと呼ぶ」と記してある。

一般に、葉は浸し物に、鱗茎は甘煮やカタクリ飯にする。東北地方では若葉をゆでて食べる。

【成分】
乾燥品中には良質デンプン粉約40~50%含有する。

【薬効と用い方】
・擦り傷、おでき、湿疹に用いる
デンプンを患部にふりかける。

・風邪、下痢、腹痛のあとの滋養に用いる
カタクリデンプンに少量の水と砂糖を適量加えてこね、熱湯でくず湯のようにして飲む。

また大腸、カタルその他の病後食材料となる。

ただし、市販品のカタクリ粉は、主としてジャガイモデンプンで、このカタクリデンプンとは本質的に異なったものである。

参考文献

  • 伊沢凡人 1980 カタクリ, 伊沢凡人(著) 原色版日本薬用植物事典. 誠文堂新光社. 270.
  • 伊澤一男 1998 カタクリ, 伊澤一男(著) 薬草カラー大事典:日本の薬用植物すべて. 主婦の友社. 755.

最終更新日:2020-05-21 ハリリセンボン

形態

葉の形質

葉は地上すれすれのあたりから、1対でて柄が長く、狭卵~楕円形をしている。

表面は淡緑色で紫斑があり、へりはやや大きく波をうち、質は多少厚めで柔らかである。

参考文献

  • 伊沢凡人 1980 カタクリ, 伊沢凡人(著) 原色版日本薬用植物事典. 誠文堂新光社. 270.

最終更新日:2020-05-21 ハリリセンボン

茎(幹)の形質

根茎は地中深く横たわり、白色鱗片状で、数個つらなり肥厚し、白色でデンプンに富む。長さ 3~5 cmの長楕円形の鱗茎がある。

茎は鱗茎の先から早春に、ほぼ直上し、1本で 15 cmくらいになる。

参考文献

  • 伊沢凡人 1980 カタクリ, 伊沢凡人(著) 原色版日本薬用植物事典. 誠文堂新光社. 270.

最終更新日:2020-05-21 ハリリセンボン

花の形質

茎頂に1個、鮮やかな紅紫色の反曲した花被片を下向きにつけ、径 4~5 cmである。

花被片6は細長い披針形で先は反り返り、内側のもとの方には紫色のW字紋がある。

雄しべ6は長さがやや不同、葯は紫色、柱頭は短くて3裂である。

参考文献

  • 伊沢凡人 1980 カタクリ, 伊沢凡人(著) 原色版日本薬用植物事典. 誠文堂新光社. 270.
  • 河野昭一 1997 カタクリ, 八尋洲東(編) 植物の世界10,種子植物 単子葉類2. 朝日新聞社. 22.

最終更新日:2020-05-21 ハリリセンボン

果実の形質

果実はカマキリの頭状で、立夏のころ枯れて倒れ消える。

参考文献

  • 伊沢凡人 1980 カタクリ, 伊沢凡人(著) 原色版日本薬用植物事典. 誠文堂新光社. 270.

最終更新日:2020-05-21 ハリリセンボン

生態

生育環境

山中の日の漏れる陰湿斜地に生える。

参考文献

  • 伊沢凡人 1980 カタクリ, 伊沢凡人(著) 原色版日本薬用植物事典. 誠文堂新光社. 270.

最終更新日:2020-05-21 ハリリセンボン

関連情報

栽培方法

花が美しいため、野生品を採取して栽培するのもよいが、根が深いので注意する。

腐葉土質の半日陰のところに、野生の場合の2分の1ぐらい浅く植えるとよい。花後に移植する。

参考文献

  • 伊澤一男 1998 カタクリ, 伊澤一男(著) 薬草カラー大事典:日本の薬用植物すべて. 主婦の友社. 755.

最終更新日:2020-05-21 ハリリセンボン

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