- 解説一覧
- キキョウ(Platycodon grandiflorus)について
キキョウ(Platycodon grandiflorus)
【環境省】絶滅の危険が増大している種
- 【 学名 】
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Platycodon grandiflorus (Jacq.) A.DC.
基本情報
- 花期
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8月~9月
参考文献
- 北村四郎, 村田源, 堀勝 1957 キキョウ, 北村四郎、村田源、堀勝(著) 原色日本植物図鑑・草本編Ⅰ・合弁花類. 保育者. 91.
最終更新日:2020-05-19 ハリリセンボン
- 分布
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暖帯、温帯:日本全土、朝鮮、中国(北部)、満州、シベリア東部、ウスリーに分布する。
参考文献
- 岡崎純子 1997 キキョウ, 八尋洲東(編) 植物の世界2,種子植物 双子葉類2. 朝日新聞社. 34₋35.
- 北村四郎, 村田源, 堀勝 1957 キキョウ, 北村四郎、村田源、堀勝(著) 原色日本植物図鑑・草本編Ⅰ・合弁花類. 保育者. 91.
最終更新日:2020-05-19 ハリリセンボン
- 学名の解説
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属名の Platycodon は「広い鐘」という意味である。
参考文献
- 岡崎純子 1997 キキョウ, 八尋洲東(編) 植物の世界2,種子植物 双子葉類2. 朝日新聞社. 34₋35.
最終更新日:2020-05-19 ハリリセンボン
- 和名の解説
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キキョウの名は、中国名の「桔梗」から出たものである。それはこの植物の根がしっかりと充実しており、硬直であることによる。
参考文献
- 岡崎純子 1997 キキョウ, 八尋洲東(編) 植物の世界2,種子植物 双子葉類2. 朝日新聞社. 34₋35.
最終更新日:2020-05-19 ハリリセンボン
- 分類学的位置付け
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キキョウ科 キキョウ属
参考文献
- 岡崎純子 1997 キキョウ, 八尋洲東(編) 植物の世界2,種子植物 双子葉類2. 朝日新聞社. 34₋35.
最終更新日:2020-05-19 ハリリセンボン
- 人間との関係
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秋の七草の1つで、観賞用にも栽培される。
多くの歌人・俳人たちに愛でられ秋の季語となっている。
『万葉集』の中で山上憶良によって「秋の野に咲きたる花を指折り、かき数ふれば七草の花。萩の花、尾花、葛花、撫子の花、女郎花また藤袴、朝貌の花」と歌われた「朝貌」とはキキョウのことであるという説が強い。
なぜかといえば、現在「朝顔」と呼んでいるヒルガオ科のアサガオは熱帯アジア原産で、日本へは平安時代に入り、8世紀の『万葉集』の時代にはまだ渡来していなかったと考えられるからである。
キキョウは家紋としても用いられ、美濃の国・土岐氏の紋としてよく知られている。
花の裏面を表したものを裏桔梗、割ってあるものを割桔梗という。淡青色のものを水色桔梗といい、土岐氏の出身である明智光秀の家紋は、この水色桔梗である。
根の貯蔵主成分はイヌリンで、食用にもなる。茹でて水にさらすことによって、有毒成分のサポニンを取り除いたのち、揚げ物、煮物、漬物などにされる。
キキョウは薬用としても非常に有用な植物で、根にはトリテルペノイド・サポニンと微量のステロールが含まれている。
根茎を水洗し、根を乾燥させたものは「桔梗根」と呼ばれ、漢方の重要な薬の1つとなっている。
鎮咳、去痰、解毒作用があり、ほかの生薬と配合して気管支炎、化膿性疾患、扁桃炎、咽喉痛などに用いられる。現在はそのほとんどを、中国、韓国からの輸入に依存している。
参考文献
- 北村四郎, 村田源, 堀勝 1957 キキョウ, 北村四郎、村田源、堀勝(著) 原色日本植物図鑑・草本編Ⅰ・合弁花類. 保育者. 91.
- 岡崎純子 1997 キキョウ, 八尋洲東(編) 植物の世界2,種子植物 双子葉類2. 朝日新聞社. 34₋35.
- 佐竹義輔 1981 キキョウ, 佐竹義輔、大井次三郎、北村四郎、亘理俊次、富成忠夫(編) 日本の野生植物 草本Ⅲ 合弁花類. 平凡社. 149₋150.
最終更新日:2020-05-19 ハリリセンボン
形態
- 葉の形質
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葉は狭卵形で長さ 4~7 cm、幅 1.5~4 cmで下面はそう白色を帯びる。
先は尖り、無柄かまたはごく短い柄があり、縁に鋭鋸歯がある。表面は無毛、裏面は短毛があって粉白色を帯びる。
参考文献
- 北村四郎, 村田源, 堀勝 1957 キキョウ, 北村四郎、村田源、堀勝(著) 原色日本植物図鑑・草本編Ⅰ・合弁花類. 保育者. 91.
最終更新日:2020-05-19 ハリリセンボン
- 茎(幹)の形質
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太い根茎は深く地中に入り、茎は高さ 40~100 cmで、ときに上方が分枝する。
参考文献
- 北村四郎, 村田源, 堀勝 1957 キキョウ, 北村四郎、村田源、堀勝(著) 原色日本植物図鑑・草本編Ⅰ・合弁花類. 保育者. 91.
- 佐竹義輔 1981 キキョウ, 佐竹義輔、大井次三郎、北村四郎、亘理俊次、富成忠夫(編) 日本の野生植物 草本Ⅲ 合弁花類. 平凡社. 149₋150.
最終更新日:2020-05-19 ハリリセンボン
- 花の形質
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花は茎頂近くに数個つき、花冠は径 4~5 cm。
柄があり、青紫色であるが、淡紫色や白色のものもある。
がく歯は三角状披針形で長さ 0.5~5 ㎜である。雄しべは5本で花糸は基部が幅広く、柱頭は5裂する。
蒴果は先で胞背裂開する。
参考文献
- 北村四郎, 村田源, 堀勝 1957 キキョウ, 北村四郎、村田源、堀勝(著) 原色日本植物図鑑・草本編Ⅰ・合弁花類. 保育者. 91.
- 佐竹義輔 1981 キキョウ, 佐竹義輔、大井次三郎、北村四郎、亘理俊次、富成忠夫(編) 日本の野生植物 草本Ⅲ 合弁花類. 平凡社. 149₋150.
最終更新日:2020-05-19 ハリリセンボン
- 種子の形質
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種子は長さ約 2 mmである。
参考文献
- 北村四郎, 村田源, 堀勝 1957 キキョウ, 北村四郎、村田源、堀勝(著) 原色日本植物図鑑・草本編Ⅰ・合弁花類. 保育者. 91.
最終更新日:2020-05-19 ハリリセンボン
生態
- 生育環境
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日当たりのよい山野の草地に生える。
参考文献
- 北村四郎, 村田源, 堀勝 1957 キキョウ, 北村四郎、村田源、堀勝(著) 原色日本植物図鑑・草本編Ⅰ・合弁花類. 保育者. 91.
最終更新日:2020-05-19 ハリリセンボン
- 送粉様式
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雄しべははじめ直立して若い雌しべを取り囲んでおり、つぼみのうちに成熟して、開花するとまもなく葯が破れて花粉を出す。
雄しべはあとから伸びだして、花柱の周りにはえた毛にその花粉がつき、葯がからになると雄しべは倒れる。
その頃花冠の底の蜜を求めて訪れた昆虫によって、花粉は他花に運ばれる。柱頭が5裂して開くのはそれからである。他花受粉で雄しべ先熟のよい例である。
参考文献
- 佐竹義輔 1981 キキョウ, 佐竹義輔、大井次三郎、北村四郎、亘理俊次、富成忠夫(編) 日本の野生植物 草本Ⅲ 合弁花類. 平凡社. 149₋150.
最終更新日:2020-05-19 ハリリセンボン