- 解説一覧
- ヒイラギ(Osmanthus heterophyllus)について
目次
基本情報
- 和名の解説
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①ヒヒラギギ(柊木)の義。「柊ぐ(ヒヒラク、ヒビラグ、ヒイラグ)」とは、ヒリヒリあるいはズキズキと痛むこと。葉に刺があり、さわるとひひらくごとから。
②ハイラキ(葉苛木)の義。「苛」はヒリヒリとするさまを表す。
③ハハリアリキ(葉刺在木)の義。
参考文献
最終更新日:2020-05-18 キノボリトカゲ
- 別名・方言名
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オニノメツキ(鬼の目突き)/カミナリヨケ(静岡)、アタタノキ(福井)、イタイタ(三重、奈良)、メツッパリ(岡山)、ヒイバラ(高知)
参考文献
最終更新日:2020-05-18 キノボリトカゲ
- 人間との関係
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材は淡黄白色、目が緻密で強靭なので、将棋の駒、印章、算盤の玉、櫛、楽器などにする。
古来より邪気を払う植物とされ、『古事記』にも、ヤマトタケルノミコトが東征の際に、「比比羅木の八尋の矛」を賜ったとある。
節分の日にヒイラギの枝にイワシの頭をさしたものを門口にたてるのは、イワシの悪臭とヒイラギの鋭い刺が鬼を払うとされるため。
古い時代にはイワシではなく「ナヨシ」(ボラの幼魚で 30 ㎝ほどのもの)の頭を刺した。
平安の頃は大晦日の越年行事で、紀貫之『土佐日記』にも記述されている。
クリスマスの飾りに使い俗にヒイラギといわれているのはセイヨウヒイラギで、モチノキ科の常緑高木。
ヒイラギを図案化した紋所に抱き柊、三つ柊、違い柊などがある。
ヒイラギを屋敷内に植えると魔除けとなり流行病にかからないというところも多く、逆に富山県氷見市ではヒイラギが枯れると死者が出るという。
ヒイラギは「延喜式」に卯杖の材料の一つとして挙げられているように、古くから強い生命力と魔除けの力をもつ常緑樹とされてきた。
『想山著聞奇集』などによれば、京都下加茂の比良木社(下鴨社の境内末社出雲井於神社)は「柊さん」ともよばれ、疱瘡の神で、願がかなったお礼に社頭に任意の木を植えておくと、いつの間にかヒイラギになってしまうと伝えている。
このほか、ヒイラギに餅花をつけて神饌としたり、節分にヒイラギの葉の燃え方で一年の天気占いをする風習もあり、民間療法でもヒイラギは病気除けとして使われる。
季題は「冬」。柊挿す・柊木の花。「柊の花一本の香かな 素十」「柊をさすや灯の漏る戸袋に 泊雲」などの句がある。
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最終更新日:2020-05-18 キノボリトカゲ
形態
- 葉の形質
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葉は対生、有柄、葉身は長さ 3~5 ㎝、幅 2~3 ㎝、卵形または長楕円形。
大木の下方の枝の葉と若木の葉は、先端がとげで終わる大尖葉が葉縁に並ぶ。老木になると、上部の葉は小さく、とげの数が減り、ついに全縁となる。
肉厚く、硬質で、表面は暗緑色、光沢があり、下面は淡緑色または黄緑色。
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最終更新日:2020-05-18 キノボリトカゲ
- 花の形質
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葉えきに白色の小花を散形状に束生する。花には芳香がある。
がくは4裂し、裂片は全縁、花冠は4深裂、長さ 0.4~0.5 ㎝、裂片は楕円形、雄しべ2個と雌しべ1個を有する。
花は同形であるが雄雌異株。雌株の花は雌しべが発達して結実する。雄株の花は結実しない。
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