- 解説一覧
- ワサビ(Eutrema japonicum)について

基本情報
- 分布
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北海道から九州まで深山の清い渓流の浅瀬に自生している。
参考文献
- バーバラ・サンティッチ/ジェフ・ブライアント 2012 ワサビ, バーバラ・サンティッチ、ジェフ・ブライアント(著) 世界の食用植物文化図鑑 起源・歴史・分布・栽培・料理. 柊風舎. 299.
- 大場秀章 1997 ワサビ, 日向康吉(著) 植物の世界6,種子植物 双子葉類6. 朝日新聞社. 196₋197.
最終更新日:2020-05-28 ハリリセンボン
- 原産地
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日本の山岳地帯
参考文献
- バーバラ・サンティッチ/ジェフ・ブライアント 2012 ワサビ, バーバラ・サンティッチ、ジェフ・ブライアント(著) 世界の食用植物文化図鑑 起源・歴史・分布・栽培・料理. 柊風舎. 299.
- 大場秀章 1997 ワサビ, 日向康吉(著) 植物の世界6,種子植物 双子葉類6. 朝日新聞社. 196₋197.
最終更新日:2020-05-28 ハリリセンボン
- 和名の解説
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和名の由来にはいくつかの説があるが、植物民族研究家の深津正によると、早生を指す「ワサ」と、口に入れると辛い菜を意味する「ヒビナ」から、「ワサヒビナ」と呼ばれたのがつまって「ワサビナ」となり、さらに「ナ」が略されて、「ワサビ」になったという。
参考文献
- 大場秀章 1997 ワサビ, 日向康吉(著) 植物の世界6,種子植物 双子葉類6. 朝日新聞社. 196₋197.
最終更新日:2020-05-28 ハリリセンボン
- 亜種・変種・品種
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【変種】
・カラフトワサビ(var. sachalinense)
サハリン原産で、花柱が短い。北海道にも分布するが、北海道のワサビがすべてこの変種かどうかは、まだ判明していない。
参考文献
- 大場秀章 1997 ワサビ, 日向康吉(著) 植物の世界6,種子植物 双子葉類6. 朝日新聞社. 196₋197.
最終更新日:2020-05-28 ハリリセンボン
- 分類学的位置付け
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アブラナ科
参考文献
- 伊澤一男 1998 ワサビ, 伊澤一男(著) 薬草カラー大事典:日本の薬用植物すべて. 主婦の友社. 231.
最終更新日:2020-05-28 ハリリセンボン
- 人間との関係
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【食べ方】
厚い先端部が風味も辛味も強いため、そこからおろす。金属はワサビに合わないため、おろし金は金属製より鮫皮でできたものが好まれる。陶器製のおろし金もおすすめである。
おろしたら、風味が損なわれないよう、30分以内に食べるが、数分は置いたほうが風味が増す。
おろしワサビはアジア風料理の薬味として出される。日本の寿司や刺身にはつきものである。
魚、鳥などのなます、蕎麦その他の諸味に添え、汁の吸口にもする。味噌に入れ、更にこれを酢でのべる。現代の料理では新しい形でも使われる。
葉を生で食べたり、酢漬けにしたり、ポテトチップスのように揚げて食べたりもできる。また菓子に入れわさび羊羹に作り、求皮にも入れる。
昔から、食中毒の治療に、解毒剤、抗菌剤として使われてきた。最近の研究は、強い抗がん作用の可能性を示唆している。民間では、搾汁は魚鳥肉の中毒の際に用いて効果があるとされている。
【成分】
辛味の成分はカラシ油配糖体のシニグリンで、これが酵素ミロジナーゼに加水分解され、強い刺激性のアリルイソチオチアナート(アリルカラシ油)を生ずる。
【薬効と用い方】
・リウマチ、神経痛に用いる
すりおろしたものを、布に薄く伸ばして、患部に貼る。10分ぐらいで取り去るとよい。
参考文献
- バーバラ・サンティッチ/ジェフ・ブライアント 2012 ワサビ, バーバラ・サンティッチ、ジェフ・ブライアント(著) 世界の食用植物文化図鑑 起源・歴史・分布・栽培・料理. 柊風舎. 299.
- 伊澤一男 1998 ワサビ, 伊澤一男(著) 薬草カラー大事典:日本の薬用植物すべて. 主婦の友社. 231.
- 柴田桂太 2001 ワサビ, 柴田桂太(著) 資源植物辞典. 北隆館. 867₋868.
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形態
- 葉の形質
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根葉は茎頭に叢生し、長柄があり、葉柄は基脚肥厚しかつ扁大して茎を包み、往々紫彩を帯びる。
葉身は円形で深い心脚をなし、微尖頭、へん縁に不斉の微歯がある。葉面深縁無毛で光沢があるが、黄緑を帯びるものもある。
葉脈は掌状に出で、細脈は網状をなして下面に隆起し、上面は凹み葉面には皺がある。
参考文献
- 柴田桂太 2001 ワサビ, 柴田桂太(著) 資源植物辞典. 北隆館. 867₋868.
最終更新日:2020-05-28 ハリリセンボン
- 茎(幹)の形質
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太い茎で円柱形をなし、外皮は緑色である。これを断つと皮部は淡緑である。高さは 60 cmほどになる。30~45 cmほどの茎の先端に、大きな丸い葉がつく。
葉痕の腋に芽が出て小塊茎になる。小塊茎は2、3岐し、白色の長い根を生じ、かつ萌芽し生長して分岐茎を有する大きな株になることがある。
3年を経た主茎は心部が木質化して4年目には枯死するが、分岐茎は主茎に代わって成長し、更に分岐を繰り返す。
中心に向かって小さな白い花が頂茎につく。
参考文献
- バーバラ・サンティッチ/ジェフ・ブライアント 2012 ワサビ, バーバラ・サンティッチ、ジェフ・ブライアント(著) 世界の食用植物文化図鑑 起源・歴史・分布・栽培・料理. 柊風舎. 299.
- 柴田桂太 2001 ワサビ, 柴田桂太(著) 資源植物辞典. 北隆館. 867₋868.
最終更新日:2020-05-28 ハリリセンボン
- 果実の形質
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角果は湾曲し、数箇のくびれを有し、先端に嘴があり、中に楕円形の小種子を入れる。
参考文献
- 柴田桂太 2001 ワサビ, 柴田桂太(著) 資源植物辞典. 北隆館. 867₋868.
最終更新日:2020-05-28 ハリリセンボン
生態
- 生育環境
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山中の涼しいところにつくられる。直射日光を忌み、常に流水のあるところを好む。
水温は11~14℃が適温で、夏冷たく冬暖かで、季節によって変化が少ないこと、また水温が変わらないためには、水源が豊かで、水量に増減のないことが必要である。
夏季の減水は水温を高めてワサビの生育を害し、増水は水の停滞を招いて根茎腐敗の原因となる。冬の水涸れも凍害を受ける。冬も湧き水のあるところ、あるいは谷間の雪の下で、ワサビはよく越冬する。
以上のような条件を備えた谷間の緩急さまざまな傾斜面にわさび畠はつくられるが、段々畠にしてあるところも多い。
参考文献
- 柴田桂太 2001 ワサビ, 柴田桂太(著) 資源植物辞典. 北隆館. 867₋868.
最終更新日:2020-05-28 ハリリセンボン
- その他生態
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ワサビには青茎種と赤茎種など、2~3の品種が分化している。
静岡県では県の農業試験場ワサビ分場を伊豆に設置し、品種改良や栽培試験を行い、ワサビ産業の維持振興を図っている。
ワサビの辛味は配糖体シニグリンによるもので、ワサビがすりおろされ空気に触れると酵素の働きで生成される。そこでかじっただけではむしろ苦い。
商品とされる根ワサビは本来は茎で、茎から出ている葉柄は茎ワサビといい、ワサビ漬けの材料に用いられる。根ワサビと呼ばれる茎についている側芽を掻いたものが苗としてワサビ田に植え付けられ、1~2年、ときには3年後に収穫される。
ワサビは水湿の多い畑で栽培することがあり、これを沢ワサビ(水ワサビ)に対して畑ワサビと呼んでいる。畑ワサビは沢ワサビに比べ品質が劣る。岩手県、島根県、山口県には畑ワサビが多い。
参考文献
- 青葉高 2013 ワサビ, 青葉高(著) 日本の野菜文化史事典. 八坂書房. 228₋231.
最終更新日:2020-05-28 ハリリセンボン
関連情報
- 味や食感
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鼻につんとくる辛味をもつ。根茎、根、小塊茎、葉柄、葉身などみな特有の辛味と香気とをもつ。
参考文献
- バーバラ・サンティッチ/ジェフ・ブライアント 2012 ワサビ, バーバラ・サンティッチ、ジェフ・ブライアント(著) 世界の食用植物文化図鑑 起源・歴史・分布・栽培・料理. 柊風舎. 299.
- 柴田桂太 2001 ワサビ, 柴田桂太(著) 資源植物辞典. 北隆館. 867₋868.
最終更新日:2020-05-28 ハリリセンボン