- 解説一覧
- ナズナ(Capsella bursa-pastoris)について
基本情報
- 分布
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北半球の温帯にまで広く分布する。
参考文献
- 伊澤一男 1998 ナズナ, 伊澤一男(著) 薬草カラー大事典:日本の薬用植物すべて. 主婦の友社. 228.
最終更新日:2020-05-25 ハリリセンボン
- 和名の解説
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ナズナの語源については、ナズナは秋に発芽し、寒くなってくると放射状にひろげた葉をロゼット状にひろげ、これが地面を撫でつけるように越冬する。このロゼット葉を「撫で菜」と見立ててつけられたという。
また「和訓栞」には、「撫菜の義愛する意成へし」とあり、ナデシコ(撫子)と同じようにかわいいことから、「撫で葉」というとしている。
参考文献
- 山田卓三 1992 ナズナ, 山田卓三(著) 山田卓三(監修) 野草大百科. 北隆館. 304.
最終更新日:2020-05-25 ハリリセンボン
- 別名・方言名
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別名:ペンペングサ(ペンペンは三味線の溌の意味)
方言名:シャミセングサ、ガラガラグサ、ジャミセングサ、シャミセンバナ、コンガラサマノスズ、ネコノシャミセン、ナナクサ
方言名は三角形の実の形に由来したものが多い。
参考文献
- 伊沢凡人 1980 ナズナ, 伊沢凡人(著) 原色版日本薬用植物事典. 誠文堂新光社. 11.
- 山田卓三 1992 ナズナ, 山田卓三(著) 山田卓三(監修) 野草大百科. 北隆館. 304.
最終更新日:2020-05-25 ハリリセンボン
- 人間との関係
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春の七草の1つ。
『農業全書』(1696)には、ナズナを菜之類に入れてネギやホウレンソウの項目と並べているが、貝原益軒も『大和本草』(1708)で菜疎類に加えている。
正月7日の祝儀として行われた七草がゆは、ナズナが主役であり、「七草囃子」は「なな草ナズナ、唐土の島が日本の土地へ渡らぬ先に」と唱えながら、拍子をとってナズナを刻んだ行事である。
江戸時代には、正月の七草のときばかりでなく、吸い物、和え物、浸し物などにも利用され、「なずな売り元はただだとねぎられる」という川柳もあるほど、庶民生活に溶け込んでいたらしい。
ほかにも根を包丁の背で叩きくずして、きんぴらを作ることもできる。
【成分】
コリン、アセチルコリン、フマール酸を含む。
【薬効と用い方】
目の充血に用いられる。乾燥した全草 10 gを水 200 ㏄で煎じ、二重ガーゼでこして人肌に冷ましてから、脱脂綿に煎じ汁を含ませて洗眼する。
また鉄分を含み、貧血症にもよい。
参考文献
- 伊澤一男 1998 ナズナ, 伊澤一男(著) 薬草カラー大事典:日本の薬用植物すべて. 主婦の友社. 228.
- 山田卓三 1992 ナズナ, 山田卓三(著) 山田卓三(監修) 野草大百科. 北隆館. 304.
最終更新日:2020-05-25 ハリリセンボン
形態
- 葉の形質
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葉身は頭大で、普通羽深裂し、裂片は細長く耳片があるものがある。
茎上葉は無柄で、基部は耳状になっていて茎を抱き、上のほうにつくものほど線状披針形となる。
参考文献
- 伊沢凡人 1980 ナズナ, 伊沢凡人(著) 原色版日本薬用植物事典. 誠文堂新光社. 11.
最終更新日:2020-05-25 ハリリセンボン
- 茎(幹)の形質
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茎は裂片の真ん中から直上して分枝し、30~40 cmぐらいになり、全体に疎毛がある。
参考文献
- 伊沢凡人 1980 ナズナ, 伊沢凡人(著) 原色版日本薬用植物事典. 誠文堂新光社. 11.
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- 根の形質
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ごぼう状の白い主根が地中にあり、側根を分枝し、早春、有柄の根生葉が地面に接して開出する。
参考文献
- 伊沢凡人 1980 ナズナ, 伊沢凡人(著) 原色版日本薬用植物事典. 誠文堂新光社. 11.
最終更新日:2020-05-25 ハリリセンボン
- 花の形質
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茎頂に総状にかなりたくさん長い柄でつき、白色十字形で小さく、下のものから順次咲く。雄しべは4本だけが長く、雌しべは1本である。
参考文献
- 伊沢凡人 1980 ナズナ, 伊沢凡人(著) 原色版日本薬用植物事典. 誠文堂新光社. 11.
最終更新日:2020-05-25 ハリリセンボン
- 果実の形質
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果実は倒三角形で頭部が少し凹み、三味線の溌に似ている。
参考文献
- 伊沢凡人 1980 ナズナ, 伊沢凡人(著) 原色版日本薬用植物事典. 誠文堂新光社. 11.
最終更新日:2020-05-25 ハリリセンボン
- 種子の形質
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種子はごく小さく、1果中に20~25個ぐらいある。
参考文献
- 伊沢凡人 1980 ナズナ, 伊沢凡人(著) 原色版日本薬用植物事典. 誠文堂新光社. 11.
最終更新日:2020-05-25 ハリリセンボン
生態
- 生育環境
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日のよく当たる道端、庭先、田畑の空き地などに生える。ほかにも屋根の上に生えることがある。
参考文献
- 伊沢凡人 1980 ナズナ, 伊沢凡人(著) 原色版日本薬用植物事典. 誠文堂新光社. 11.
- 伊澤一男 1998 ナズナ, 伊澤一男(著) 薬草カラー大事典:日本の薬用植物すべて. 主婦の友社. 228.
最終更新日:2020-05-25 ハリリセンボン