- 解説一覧
- ジュンサイ(Brasenia schreberi)について
ジュンサイ(Brasenia schreberi)
【IUCN】現時点での絶滅危険度の低い種
- 【 学名 】
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Brasenia schreberi J. F. Gmel.
基本情報
- 花期
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6~8月
参考文献
- 田村道夫 1982 ジュンサイ, 佐竹義輔、大井次三郎、北村四郎 、亘理俊次 、冨成忠夫(編) 日本の野生植物 草本Ⅱ 離弁花類. 平凡社. 93.
最終更新日:2020-05-20 ハリリセンボン
- 分布
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北海道~琉球、中国、朝鮮、北アメリカ、オーストラリア、西アフリカなど、広く世界の温帯各地に分布する。
参考文献
- 草川俊 1992 ジュンサイ, 草川俊(著) 野菜・山菜博物事典. 東京堂出版. 126-129.
- 田村道夫 1982 ジュンサイ, 佐竹義輔、大井次三郎、北村四郎 、亘理俊次 、冨成忠夫(編) 日本の野生植物 草本Ⅱ 離弁花類. 平凡社. 93.
最終更新日:2020-05-20 ハリリセンボン
- 和名の解説
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『古事記』(712)にヌナワの名で出ているのが最初で、『万葉集』にもヌナワの歌が一首ある。
『本草和名』(918)は和名奴奈波に蓴の漢名をあげ、『和名抄』(932)はこの漢名に和名沼奈波をあげている。
また、1697年(元禄10)の『本朝食鑑』の水菜類に蓴が出ており、和名は奴奈波いまも同じ、とあるので、『古事記』以来ずっとヌナワの名で呼んでいたらしい。
しかし、その後呼び方が変わり、1713年(正徳3)に出た『和漢三才図会』には、蓴は蒓に同じ、いまは蓴菜と言う、としている。
著者寺島良安によると、蓴の中国音チュンがなまってジュンになり、水菜類なので菜をつけてジュンサイに、また茎が長くてぬるぬるし、乾燥させたものは物を束ねることが出来ることから滑る縄、略してヌナワの名がついたとしている。
参考文献
- 伊澤一男 1998 ジュンサイ, 伊澤一男(著) 薬草カラー大事典:日本の薬用植物すべて. 主婦の友社. 173.
最終更新日:2020-05-20 ハリリセンボン
- 別名・方言名
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古名:ぬなは(蓴、沼縄、奴奈波)、くり(久理)、うきぬなは(浮蓴)、とちつかみ
別名:水アオイ、奴那波、奈免、馬蹄草
参考文献
- 草川俊 1992 ジュンサイ, 草川俊(著) 野菜・山菜博物事典. 東京堂出版. 126-129.
- 山田卓三 1992 ジュンサイ, 山田卓三(著) 山田卓三(監修) 野草大百科. 北隆館. 341.
最終更新日:2020-05-20 ハリリセンボン
- 分類学的位置付け
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スイレン科
参考文献
- 伊澤一男 1998 ジュンサイ, 伊澤一男(著) 薬草カラー大事典:日本の薬用植物すべて. 主婦の友社. 173.
最終更新日:2020-05-20 ハリリセンボン
- 人間との関係
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日本でも各地の沼地に自生するが、最近の水質汚濁で、次第に減少してきている。
春から初夏にかけて、若芽や若葉はぬるぬるとした粘液質を分泌する。
透明で寒天質のようなものに包まれている若芽・若葉を摘む。巻いている葉が小さいものほど味がよい。
さっと熱湯をくぐらせ、冷水で冷まして水を切り、すまし汁、ワサビ酢、ワサビ醤油などで味わう。また生のまま三杯酢や汁の実にすると、淡泊な味のため、なめらかな舌ざわりとともに賞味される。
半夏生(太陽歴で7月2日頃)を過ぎると、東北や北海道では少々かたくなるので、塩漬けにし、瓶詰めとして出荷する。
食用にするのは、日本と中国だけである。
5月頃から6月上旬採取のものを一番芽と称し、品質、収量ともに最高である。二番芽は6月上旬から7月上旬、三番芽は8、9月採取のものである。採取の最盛期は梅雨頃の6月上旬である。
【成分】
寒天状の粘質物のなかに、胃腸や肝臓障害によく効き、強壮作用の成分を含むことが知られている。新鮮なものほど粘質物がよく周りについており、小粒の若芽ほど上質とされる。
【薬効と用い方】
・腫れ物(悪性のおでき)に用いる
生の全草をもんで、その汁をつける。
・解熱、利尿に用いる
1日量として、乾燥した全草 6~15 gを水 400 ㏄で3分の1量に煎じ、3回に分けて服用する。
参考文献
- 伊澤一男 1998 ジュンサイ, 伊澤一男(著) 薬草カラー大事典:日本の薬用植物すべて. 主婦の友社. 173.
- 草川俊 1992 ジュンサイ, 草川俊(著) 野菜・山菜博物事典. 東京堂出版. 126-129.
- 山田卓三 1992 ジュンサイ, 山田卓三(著) 山田卓三(監修) 野草大百科. 北隆館. 341.
最終更新日:2020-05-20 ハリリセンボン
形態
- 葉の形質
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葉は水面に浮かぶ。葉身は楕円形で径 5~10 cm、裏面は紫色を帯びる。
参考文献
- 田村道夫 1982 ジュンサイ, 佐竹義輔、大井次三郎、北村四郎 、亘理俊次 、冨成忠夫(編) 日本の野生植物 草本Ⅱ 離弁花類. 平凡社. 93.
最終更新日:2020-05-20 ハリリセンボン
- 茎(幹)の形質
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根茎は泥中を横に這う。
参考文献
- 田村道夫 1982 ジュンサイ, 佐竹義輔、大井次三郎、北村四郎 、亘理俊次 、冨成忠夫(編) 日本の野生植物 草本Ⅱ 離弁花類. 平凡社. 93.
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- 花の形質
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水面で開き、径 2 cm程度で、腋生して、花柄は長い。
花被片は紫褐色で、花時には普通反曲ぎみであるが、果時には果実を包むように立ってくる。紫紅色で目立つのは雄しべで、花糸は細長い。
参考文献
- 田村道夫 1982 ジュンサイ, 佐竹義輔、大井次三郎、北村四郎 、亘理俊次 、冨成忠夫(編) 日本の野生植物 草本Ⅱ 離弁花類. 平凡社. 93.
最終更新日:2020-05-20 ハリリセンボン
生態
- 生育環境
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水質がやや酸性に偏り、ミズゴケがよくはえ、底に有機物の堆積した古い池にはえる。
参考文献
- 田村道夫 1982 ジュンサイ, 佐竹義輔、大井次三郎、北村四郎 、亘理俊次 、冨成忠夫(編) 日本の野生植物 草本Ⅱ 離弁花類. 平凡社. 93.
最終更新日:2020-05-20 ハリリセンボン
- その他生態
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ジュンサイは多年生水草で、1属1種の植物で同類がない。
若芽と摘むと、また新しい芽が伸びてくる。
参考文献
- 草川俊 1992 ジュンサイ, 草川俊(著) 野菜・山菜博物事典. 東京堂出版. 126-129.
最終更新日:2020-05-20 ハリリセンボン