- 解説一覧
- ムラサキケマン(Corydalis incisa)について
基本情報
- 草丈・樹高
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ほぼ直上し、高さ 20~50 cmになる。
参考文献
- 伊沢凡人 1980 ムラサキケマン, 伊沢凡人(著) 原色版日本薬用植物事典. 誠文堂新光社. 106.
最終更新日:2020-06-05 ハリリセンボン
- 分布
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北海道から沖縄まで各地に自生する。朝鮮半島、中国にも分布する。
参考文献
- 伊澤一男 1998 ムラサキケマン, 伊澤一男(著) 薬草カラー大事典:日本の薬用植物すべて. 主婦の友社. 222.
最終更新日:2020-06-05 ハリリセンボン
- 和名の解説
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花の色からムラサキ、ケマンは中国原産で日本で栽培されるケマンソウ(ケシ科)に似ていることから来ている。
苞が裂けていることから、中国では核裂紫菫また裂苞紫菫と書く。
参考文献
- 伊澤一男 1998 ムラサキケマン, 伊澤一男(著) 薬草カラー大事典:日本の薬用植物すべて. 主婦の友社. 222.
最終更新日:2020-06-05 ハリリセンボン
- 別名・方言名
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別名:ヤブケマン(藪華鬘)
方言名:カジバナ、キツネノニンジン、クサニンジン、キツネノケマン
参考文献
- 伊沢凡人 1980 ムラサキケマン, 伊沢凡人(著) 原色版日本薬用植物事典. 誠文堂新光社. 106.
- 山田卓三 1992 ムラサキケマン, 山田卓三(著) 山田卓三(監修) 野草大百科. 北隆館. 311.
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- 人間との関係
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全草に有毒成分が含まれている。この毒草を飲むと、涙と唾液の分泌が増え、心筋運動に障害が現れて、痙攣を起こすが、死亡するほどの強い毒性ではない。アルカロイドのプロトピンが含まれている。
神戸女子薬科大学の谷千秋教授らによって『薬学雑誌』第82巻4号に詳細な「ムラサキケマンのアルカロイドの研究」が発表され、数種のアルカロイドの存在が明らかになった。サングイナリン、テトラハイドロコリサミン、コリサミンなどである。
プロトピンはムラサキケマンばかりでなく、多くのケシ科植物に含まれていて、軽い鎮痙、鎮痛の作用がある。
参考文献
- 伊澤一男 1998 ムラサキケマン, 伊澤一男(著) 薬草カラー大事典:日本の薬用植物すべて. 主婦の友社. 222.
最終更新日:2020-06-05 ハリリセンボン
形態
- 葉の形質
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葉身は長柄につき、2回3出羽状裂し、へりは切れ込み、質は柔らかい。
葉全体は三角状の卵形で長さ 3~8 cm、小葉は羽状に裂けて鋸歯がある。
参考文献
- 伊沢凡人 1980 ムラサキケマン, 伊沢凡人(著) 原色版日本薬用植物事典. 誠文堂新光社. 106.
- 伊澤一男 1998 ムラサキケマン, 伊澤一男(著) 薬草カラー大事典:日本の薬用植物すべて. 主婦の友社. 222.
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- 茎(幹)の形質
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秋に芽を出し、地下茎はやや肉質長楕円状で通常地面に横たわる。茎は無毛でやや稜があり、柔らかい。切ると水が出る。
参考文献
- 伊沢凡人 1980 ムラサキケマン, 伊沢凡人(著) 原色版日本薬用植物事典. 誠文堂新光社. 106.
最終更新日:2020-06-05 ハリリセンボン
- 花の形質
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花茎の上部に 10 cmほどに伸びる総状花序に斜下~横向きにつき、下のものから順次開き、紅紫色~白地に紅紫斑を伴う。花色はまれに完全な白色のものが見られる。長さは 12~18 ㎜である。
花弁は4枚で、外側の2枚は大きく、上側の1枚は距となって後ろに突き出す。
苞は扇状くさび形~倒披針形でへりは切れ込み、花冠は筒状唇形で一方が開き、一方は距となり、雄しべ3本ずつ両体になっている。
参考文献
- 伊沢凡人 1980 ムラサキケマン, 伊沢凡人(著) 原色版日本薬用植物事典. 誠文堂新光社. 106.
- 伊澤一男 1998 ムラサキケマン, 伊澤一男(著) 薬草カラー大事典:日本の薬用植物すべて. 主婦の友社. 222.
- 山田卓三 1992 ムラサキケマン, 山田卓三(著) 山田卓三(監修) 野草大百科. 北隆館. 311.
最終更新日:2020-06-05 ハリリセンボン
- 果実の形質
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果実は下に傾いてつき、長楕円形~狭長楕円形をしている。
両端は狭まり、熟すと果皮がまくれて開き、黒くつやのある種子が散る。
参考文献
- 伊沢凡人 1980 ムラサキケマン, 伊沢凡人(著) 原色版日本薬用植物事典. 誠文堂新光社. 106.
最終更新日:2020-06-05 ハリリセンボン
生態
- 生育環境
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日のさす山麓地帯や路ばた・畑の近く・藪かけなどに生える。
参考文献
- 伊沢凡人 1980 ムラサキケマン, 伊沢凡人(著) 原色版日本薬用植物事典. 誠文堂新光社. 106.
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- その他生態
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種子にはアリの好む付属体があり、アリによって散布される。
ウスバシロチョウの食草である。
ムラサキケマンやキケマンの仲間は、ケマンを名乗っているが、中国原産のケマンソウとは別の属であり、花の印象も全く違っている。
参考文献
- 山田卓三 1992 ムラサキケマン, 山田卓三(著) 山田卓三(監修) 野草大百科. 北隆館. 311.
最終更新日:2020-06-05 ハリリセンボン