- 解説一覧
- ニシキギ(Euonymus alatus)について
目次
基本情報
- 別名・方言名
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ヤハズニシキギ(コルク質の翼を矢筈にたとえた)、シラミコロン、ソメキ/ママチギリ(青森、岩手)、トリトマラズ(岩手、秋田)、カミソリノキ(栃木、茨城)、ニシキ(三重、奈良、和歌山)、ホーチョーギ(岡山)、ヤハズノキ(熊本)/ラプシュニュ(アイヌ「翼のついている木」)
参考文献
最終更新日:2020-04-30 キノボリトカゲ
- 人間との関係
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庭園や公園に植えられ、野趣を添えたりする添景樹として用いる。秋の紅葉を賞する。
材は黄白色、緻密で工作しやすく、ろくろ細工、櫛材、木釘、彫刻材、弓、杖などに適する、大径木は得られない。
枝にあるコルク質の翼を採取し、乾燥させたものが衛矛で、煎じて月経不順に用いる。また、かつては実をひき砕いて水、油を加え、練ったものを頭髪に塗り、シラミの駆除に用いたという。
和紙では恋愛歌に「立つ」「千束」の語とともに歌われる。
果実は有毒であるが、昔はこの実をすりつぶしてアタマジラミを退治するのに用いたという。
また中医方では翼のついた枝や翼を鬼箭羽の名で、駆虫、通経、産後の止血、乳汁分泌不全、腹痛や皮膚病に用いた。
古和名では「おにのやがら」ともいい、鬼を殺したり、呪詛によって取りついた虫も除くとされていた。
室町時代の『壒嚢抄』には、陸奥国の風習として、恋文を書く代わりに、枝を1尺ほど切って思う女の家の門に立てたとある。
女は承知のしるしにそれを家に取り入れ、取り入れぬ場合は拒絶を意味した。だが、それでも男が立てつづけ、1000束に達すると恋が成就する場合もあった。
日本特有の用途として、黒焼きにして飯粒を練って刺抜に外用する。
季題は「秋」。「錦木の花や籬にもたれ見る 虚子」の句がある。
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最終更新日:2020-04-30 キノボリトカゲ
形態
- 葉の形質
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葉は対生、短柄で葉身は楕円形または倒皮針形で鋭頭、長さ 1.5~6 ㎝、幅 1~4 ㎝、縁にはきょ歯がある。
側脈は両面に突出する。
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最終更新日:2020-04-30 キノボリトカゲ
生態
- その他生態
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繫殖はさし木と実生による。さし木は春ざしと梅雨ざしによる。実生は秋に採種、保湿低温貯蔵し春に播種する。
手入れは自然樹形を基調として整枝を行う。施肥は必要ないが、生育の悪いものには春に施す。
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最終更新日:2020-04-30 キノボリトカゲ