- 解説一覧
- ウメ(Prunus mume)について
ウメ(Prunus mume)
【IUCN】現時点での絶滅危険度の低い種
- 【 学名 】
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Prunus mume (Sieb.) Sieb. & Zucc.
基本情報
- 草丈・樹高
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高さ 6 mぐらいになる。
参考文献
- 伊沢凡人 1980 ウメ, 伊沢凡人(著) 原色版日本薬用植物事典. 誠文堂新光社. 192₋193.
最終更新日:2020-06-02 ハリリセンボン
- 学名の解説
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ウメの学名は江戸時代に長崎出島に来ていたシーボルトによってつけられたもので、プルヌウス・ムメのラテン学名がつけられた。これは当時の日本人が呼んでいた名前をそのまま学名に取り入れたものであった。
参考文献
- 伊澤一男 1998 ウメ, 伊澤一男(著) 薬草カラー大事典:日本の薬用植物すべて. 主婦の友社. 270.
最終更新日:2020-06-02 ハリリセンボン
- 人間との関係
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ウメの花は万葉の昔から人々に愛され、花見(観梅)の対象にされてきた。果実も梅干しのほか、漬物、梅酒、シロップ作り、さらに漢方薬の原料などで、日本人と深い関わりを持っている。
和歌山県田辺市を中心とした農村では、種子が小さく果肉の大きい品種を栽培しているが、そのほか徳島、群馬、山梨など、ウメの栽培が盛んで、いずれも梅干しとして生産をしている。
ウメは古くに日本に渡来した植物である。中国最古の詩集『詩経』にも歌われて、古くから果実に薬用、食用などの面で関心がもたれ、花も前漢から唐代にかけて観賞されるようになっていたとされる。
日本への渡来は『古事記』や『日本書記』にはウメの記述がなく、文献上は『万葉集』に初めて登場することから7世紀後半ではないかと推測される。
ウメの中国での生薬としての名前は「烏梅」といい、「ウメイ」と発音する。この呼び名で日本に渡来し、その後「ウメ」または「ムメ」と訛って発音されるようになったと考えられている。明治時代まではウメとムメ両方で呼ばれていたが、どちらが主流だったかははっきりしていない。
【成分】
ウメの果肉の酸味は、有機酸のクエン酸、コハク酸、リンゴ酸、酒石酸によるが、そのほかオレアノール酸などのトリテルペンも含まれる。
【薬効と用い方】
・風邪に用いる
梅干し1〜2個を金網にのせ、ガス火で黒くなるまで焼き、熱いうちに茶碗に入れて熱湯を注ぐ。シュウと音を立てて梅干しが崩れるが、これを湯ごと飲む。
・疲労回復、健康保持に用いる
梅干しに含まれるクエン酸によるので、1日1個食べるとよい。梅酒も疲労や暑気あたりを防ぐので、大人1日1回 30 ccを限度として服用するとよい。
参考文献
- 伊藤義治, 大場秀章 1997 ウメ, 八尋洲東(編) 植物の世界5,種子植物 双子葉類5. 朝日新聞社. 82₋83.
- 伊澤一男 1998 ウメ, 伊澤一男(著) 薬草カラー大事典:日本の薬用植物すべて. 主婦の友社. 270.
最終更新日:2020-06-02 ハリリセンボン
形態
- 葉の形質
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葉身は互生する柄につき、卵形で先は尖り、へりは細かく鋸歯状に切れ込み、葉柄基部の托葉は早落性である。
参考文献
- 伊沢凡人 1980 ウメ, 伊沢凡人(著) 原色版日本薬用植物事典. 誠文堂新光社. 192₋193.
最終更新日:2020-06-02 ハリリセンボン
- 花の形質
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葉に先だって前年枝の葉腋に1~3個つき、白色5弁(ただし淡紅色・紅色・八重など園芸品種が多い)、がく片5、雄しべ多数、雌しべ1、子房に毛がある。
参考文献
- 伊沢凡人 1980 ウメ, 伊沢凡人(著) 原色版日本薬用植物事典. 誠文堂新光社. 192₋193.
最終更新日:2020-06-02 ハリリセンボン
- 果実の形質
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核果はほぼ球状で1本の溝があり、果肉は酸味に富み、梅雨期には黄熟し、中には種子がある。
果実は 5 gほどの品種から、50 g以上のものまである。果皮に毛がある石果で、核と果肉が離れにくい粘核である。
参考文献
- 伊沢凡人 1980 ウメ, 伊沢凡人(著) 原色版日本薬用植物事典. 誠文堂新光社. 192₋193.
- 伊藤義治, 大場秀章 1997 ウメ, 八尋洲東(編) 植物の世界5,種子植物 双子葉類5. 朝日新聞社. 82₋83.
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関連情報
- その他
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・烏梅
烏に梅で烏梅(ウバイ)と読むが、これは未熟果で自然に落ちた青梅をかごに集め、わらを燃やした煙を当てて燻製にするか、青梅にすすをまぶしたものを燻製にするかして作ったものである。外面が真っ黒で、こわれやすく、ほぼ 2〜3 cmの球形で、粗いしわがあって酸味が強い。ウメという樹木が日本に入る以前に、この烏梅が中国から薬用として入ってきている。
・梅干し
完熟一歩手前の青梅を塩で漬け、日干しにしてからシソの葉で漬け、また日干しで仕上げるが、日本人の考えついた独特の漬物の1つである。
中国の梅干(メイガヌ)というのは、日本の梅干しとは違って、ウメをじか火で焼いたもの。また漬梅(ズメイ)は塩漬けして日干しにするまでは日本と同じだが、干したものを甘草水に漬けてから干し上げたものである。
・梅酒
青梅 1〜1.2 kg、グラニュー糖 400 g、ホワイトリカー 1.8 ℓを用意する。傷のない青梅を水洗いし、水切りしてからよく乾いた布巾で1個ずつ水けをふき、容器にグラニュー糖、ホワイトリカーとともに入れ、ふたをして冷暗所におき、半年から1年後にこしてでき上がる。これは日本独特の健康酒となっている。
中国の青梅酒(チンメイジオウ)は青梅の果肉のみを濁り酒に漬け、それに水と砂糖を加えて2時間ほど煮て、冷めてからこして仕上げたものである。これも健康酒の1つである。
参考文献
- 伊澤一男 1998 ウメ, 伊澤一男(著) 薬草カラー大事典:日本の薬用植物すべて. 主婦の友社. 270.
最終更新日:2020-06-02 ハリリセンボン